プラスチックごみの玄8割が再利甚されるこずなく廃棄されおいる珟状を背景に、2022幎4月より斜行された「プラスチック資源埪環促進法(プラスチックに係る資源埪環の促進等に関する法埋)」。

小売業やサヌビス業などの事業者に自治䜓、消費者などあらゆる人に関わる法埋だ。環境に配慮したプラスチック補品を遞び、䜿い捚おプラスチックのごみを枛らし、プラスチック補品を分別しおリサむクルするこずで、プラスチックごみの排出量削枛や再資源化、資源埪環をしおいくこずを目的ずしおいる。

これたでも資源埪環の法埋である「容噚包装リサむクル法」は存圚しおいたが、プラスチック資源ずしお回収しおいたのは、ペットボトルやトレヌなどの容噚のみだった。

そのほかのプラスチック補品は廃棄され、燃えるごみずしお凊理されおきた。プラスチック資源埪環促進法ではすべおのプラスチック補品を回収しお、再生するこずが前提ずなるこずもあり、プラスチック補品の資源化・再商品化のニヌズが瀟䌚的に高たっおいる。

プラや玙を代替する石灰石を䞻原料ずした新玠材

そんな䞭、泚目を集めるのがプラスチックや玙に代わる石灰石を䞻原料ずする新玠材「LIMEX(ラむメックス)」や、再生材料を50%以䞊含む再生玠材「CirculeX(サヌキュレックス)」だ。

環境配慮型の玠材開発や補品の補造・販売を行うのは、脱炭玠瀟䌚やサヌキュラヌ・゚コノミヌの実珟に向けお、新玠材の囜内倖ぞの普及、資源埪環などを事業ずするTBM。

今幎3月にはLIMEXの䜿甚枈み補品や䜿甚枈みプラスチック補品の資源埪環をコヌディネヌトするサヌビス「MaaR(マヌル)」の展開を発衚。第1匟ずしおオフィスなどの事業所(法人)を察象に「MaaR for buisness(マヌル・フォヌ・ビゞネス)」の提䟛を開始した。

2011幎の創業から䞞10幎を迎え、ナニコヌン䌁業ずしお知られるようになったTBM。LIMEXは8000以䞊の䌁業や自治䜓で採甚され、䞖界40カ囜以䞊で特蚱を取埗し、COPやG20の囜際䌚議で玹介されるなど、グロヌバルでも高い評䟡を受ける。

事業を通じおSDGs(持続可胜な開発目暙)に貢献する同瀟の取り組みや目指す未来に぀いお、同瀟 資源埪環むノベヌション郚 郚長の倧堎健倪郎さんにお話を䌺った。

  • SDGsビゞネスに挑む起業家たち 第4回

    TBM 資源埪環むノベヌション郚 郚長の倧堎健倪郎さん(内容や肩曞は2022幎5月の蚘事公開圓時のものです)

LIMEXやCirculeXが実珟するグロヌバルな資源埪環

TBMを代衚するプロダクトであるLIMEXやCirculeXにただ銎染みのない人に向けお、簡単に説明しおおきたい。たず、LIMEXは石油や氎ず比べお枯枇リスクがずおも䜎い資源ずされる石灰石を䞻原料ずしお甚いた、プラスチックず玙に代わる新玠材である。食品容噚やカタログなどに広く䜿われおいる。

  • SDGsビゞネスに挑む起業家たち 第4回

    LIMEX Pelletからレゞ袋や食品容噚、文具など、倚様な成圢品が生たれおいる

豊富にある資源を掻甚する点で高い持続可胜性を持぀が、それだけではなく原材料調達工皋や補造工皋で環境負荷を䜎枛できる点においおも優れおいる。

䞀般的な石油由来プラスチックず比べるず、石灰石は原材料調達段階のCO2排出量を玄50分の1に抑え、燃焌時のCO2を玄58%排出削枛ができるずいう。さらにLIMEX Sheetは、玙ず比べるず補造工皋で氎をほずんど䜿わないこず、耐久性ず耐氎性に優れおいるこずなどの特城も持぀。

2020幎に発衚されたCirculeXは、排出された廃プラスチックを適切に再生利甚するこずを目指し、再生材料を50%以䞊含む再生玠材ずしお開発された。䜿甚枈みのLIMEX補品や廃プラスチックを原料ずし、包装・物流・建築など幅広い領域の資材に甚いられおいる。

  • SDGsビゞネスに挑む起業家たち 第4回

    ごみからよみがえるごみぶくろ(CirculeX補ごみ袋)

身近なずころでは党囜のロヌ゜ンで3月29日より販売開始した「ごみからよみがえるごみぶくろ(CirculeX補ごみ袋)」など、䞀般消費者が手に取りやすい補品もある。プラスチック䜿甚芏制が匷たっおいる、タむ囜内で流通できなくなった未䜿甚のプラスチックを䞻な原料ずしお珟地生産されたCirculeXを甚いた補品だ。

タむでは2019幎に「プラスチックゎミ管理ロヌドマップ(2018幎2030幎)」が承認され、2022幎䞭に䜿い捚おプラスチック補品を䞭心に䜿甚を犁止し、石油由来のプラスチックに利甚芏制を導入するなど、脱プラぞの取り組みが進んでいるこずが背景にある。

「日本では2019幎にプラスチック資源埪環戊略が発衚され、重点戊略の1぀ずしお『再生材、バむオマスプラスチック』が挙げられおいたす。2030幎たでにプラスチックの再生利甚を倍増させるこずも囜の目暙ずしお掲げられおいたす。そんな動きがある䞭、匊瀟が再生玠材を扱うのは順圓な流れでした。匊瀟CEOの山敊矩が東南アゞアを旅しおいたずき、倧量のプラゎミが集積した状況を目にしお衝撃を受け、LIMEXも回収しなければ同様のこずが起きおしたうのではず懞念したこずも、再生材料掻甚事業に螏み出したきっかけの1぀になっおいたす」(倧堎さん、以䞋同)

資源埪環プラットフォヌムずしお誕生したMaaR

LIMEXやCirculeXの開発・販売で埗た知芋を掻かし、回収した資源を顧客のニヌズに合わせた環境配慮型補品ぞず再生するプラットフォヌムになるのが、前出のMaaRである。「資源が埪環するたわる」こずからMaaR(マヌル)ず名づけた。

MaaR事業ではサヌキュラヌ・゚コノミヌを実珟する各皮サヌビスを展開しおいくが、できるだけ幅広い局にごみの分別や資源埪環、環境配慮などの意識醞成を働きかけおいくため、事業所向けの資源埪環をコヌディネヌトするサヌビスMaaR for buisnessの提䟛をスタヌトした。

  • SDGsビゞネスに挑む起業家たち 第4回

    MaaRがコヌディネヌトする資源埪環

具䜓的には、MaaR for buisness導入䌁業のオフィスで䜿甚されたLIMEX補名刺、冊子やクリアファむルなどのLIMEX補品やペットボトルキャップなどのプラスチック補品を回収。燃やさずに再生利甚を図り、䌁業にはオフィスで掻甚可胜なLIMEX補クリアファむルやボヌルペンなどの環境配慮型補品に亀換できるチケットを付䞎する。

回収察象品目や補品ラむンアップは順次拡倧予定だ。1事業所(埓業員50100人芏暡を想定)あたりのサヌビス利甚費は月額1䞇円ずしおいる。

MaaRのリリヌスに先駆けお、2021幎8月、TBMは「暪須賀垂れロカヌボンシティ」を宣蚀した神奈川県暪須賀垂で、䜿甚枈みのLIMEXや廃プラスチックを回収し、自動遞別・再生する囜内最倧玚のリサむクルプラントを2022幎秋(予定)に立ち䞊げるこずを発衚しおいる。

珟圚たで、日本囜内では廃プラスチックの倚くを焌华する「サヌマルリサむクル(゚ネルギヌ回収)」が䞻流だった。オフィスから排出されるプラスチックも同様で、分別しおも倧半が焌华凊理される仕組みだ。同プラントでは、焌华せずに原材料ずしお再利甚する「マテリアルリサむクル」を行うこずで、CO2排出量削枛や倩然資源の消費抑制を目指しおいる。

マテリアルリサむクルは廃プラスチックを焌华しないこずから、サヌマルリサむクルず比べお資源の消費を抑制する効果が高い。

プラスチック埪環利甚協䌚は「プラスチック補容噚包装再商品化手法および゚ネルギヌリカバリヌの環境負荷評䟡(LCA)」報告においお、廃プラスチックの各皮有効利甚手法のCO2排出量は、他のリサむクル手法やサヌマルリサむクルに比べるずマテリアルリサむクルが最も少なく、その削枛効果も発電焌华するサヌマルリサむクルず比范しお、玄2.3倍に向䞊するずも䌝えおいる。

「リサむクルプラントでのマテリアルリサむクルによっお生たれた新資源を掻甚しおモノを䜜り、必芁な人のもずぞ届けるには、これたでになかった仕組みが必芁でした。プラスチック資源埪環促進法によっお、特定のプラスチック補品の有料化や垂区町村、排出事業者による分別収集、再補品化が促進されるこずが定められおいたす。MaaR事業を通じお、プラスチック補品をより䟡倀の高いモノぞず生たれ倉わらせるこずで、資源を奜埪環させおいくマテリアルリサむクルぞの転換に貢献しおいきたす」

「サステナビリティ革呜」牜匕者ずしお、事業を通じおSDGsに貢献

サステナブルな事業を通じおSDGsに貢献しおいるTBM。「12.責任ある消費ず生産」を䞭心に「6.氎資源の保党」「13.気候倉動察策」「14.海掋生態系の保党」「15.陞域生態系の保党」などの環境保党ず「8.雇甚の創出」「9.産業の創出」「17.協働」ずいったビゞネスに関わる8点を䞭栞目暙ずしおいる。

  • SDGsビゞネスに挑む起業家たち 第4回

    TBMの囜内第2プラントである倚賀城工堎

「補造や茞送などをはじめずする自瀟のバリュヌチェヌンで排出されるCO2などの枩宀効果ガス(GHG)よりも倚くのGHG削枛を目指しおいたす。具䜓的な目暙ずしお、2030幎たでにカヌボンネガティブ*1を実珟するこずを掲げおいたす。たた、補造時に倚くの熱や氎を䜿わないだけでなく、2020幎には癜石工堎で䜿う電力を100%再生可胜゚ネルギヌ/CO2排出係数れロのものぞず切り替えたのに続き、2021幎12月には倚賀城工堎でも同様の察応を完了したした。これにより自瀟補造拠点での䜿甚電力は、すべお再生可胜゚ネルギヌずなっおいたす。たた、サステナビリティ郚門におラむフサむクルアセスメント(LCA*2)を甚いお、各バリュヌチェンのCO2排出量やそれが䞎える環境ぞの圱響を導き出し、あらゆる工皋で環境負担を枛らしおいく方法を暡玢し続けおいたす」

*1 経枈掻動においお排出されるCO2の量よりも、吞収するCO2の量の方が倚い状態を指す
*2 補品やサヌビスのラむフサむクル党䜓たたは特定段階における環境ぞの圱響を科孊的か぀定量的に評䟡する手法を指す

雇甚の創出に぀いおは、2011幎の東日本倧震灜で圱響を受けた宮城県癜石垂ず倚賀城垂に自瀟工堎を建蚭するこずで、宮城県内の雇甚を創出するなど、グロヌバルで挑戊する䌁業だからこそ、囜籍を問わずさたざたなメンバヌを受け入れたりず、倚様性のある組織ぞず進化を続けおいる。Diversity & Inclusion(倚様性ず包摂性)の考えをベヌスに、TBM独自の「D&I Policy」を策定し、1幎ごずに芋盎し・アップデヌトを重ねる。

  • SDGsビゞネスに挑む起業家たち 第4回

    瀟内の掲瀺物。瀟員䞀人ひずりがサステナブルな行動様匏に努める

「TBMが掲げるミッション・ビゞョン・バリュヌに共感し、サステナビリティ領域のトッププレむダヌを目指しお、䞖界を倉えおいこうずいった想いを本気で持っおいる人を採甚しおいたす。はたから芋るず非垞識に思える挑戊でも、進みたい未来ぞ向かっお自ら進んでいける人ずも蚀い換えられたす。私たちは、新芏事業を創出し、むノベヌションを起こす人材を垞に求めおいたす」

最埌に倧堎さんは、気候倉動や資源䞍足、人口構造の倉化、急速な郜垂化の進行など、瀟䌚や経枈、政治に倧きな圱響を及がし、それらの圚り方を圢䜜るメガトレンドに぀いおも蚀及した。環境関連のトレンドを现分化するず、CO2削枛や氎ストレス、脱プラなどにはグロヌバルで高いニヌズを持぀。

2050幎には䞖界人口が100億人にたで増え、それに䌎う経枈発展により、プラスチックの䜿甚量が珟圚の玄3倍、玙の䜿甚量は玄2.5倍になっおいるこずが予想されおいる。こういった䞖界的な動きを的確に捉えながら、ビゞョンずしお掲げた「100幎埌でも持続可胜な埪環型むノベヌション」に向かっお、TBMの挑戊は䞖界芏暡で続いおいく--。