スペシャルインタビュー　経営トップが語る　新たなる1世紀への挑戦(10) 株式会社浅間製作所上席執行役員　生産本部　本部長　増田　清

パチンコ・パチスロなど遊技機用部品の企画・デザイン・開発・設計・製造をトータルに手掛けている浅間製作所。創業64年の歴史を誇り、特定の部品だけでなく、台を構成する全ての部品を提案できるメーカーとして、パチンコの歴史とともに発展を遂げてきたパチンコ部品業界のパイオニアだ。パチンコホールが減少し、マーケットが縮小している中でも、堅実な経営を続けている強さの秘訣とは。上席執行役員　増田氏にこれまでの64年と今後のビジョンについて聞いた。

--御社のサービスの特徴や強みを教えてください。--

遊技機用部品の製造販売を行っています。業務内容において「同業他社と何が違うか」と言われると、さほど大きな違いはないかもしれません。しかし、お客様の数だけで言えば、当社には圧倒的なアドバンテージがあります。国内のほぼ全てのパチンコ機・パチスロ機本体メーカーと取引があるため、取引社数は国内トップクラスの実績を誇っています。また、多くのメーカーからの多様なニーズに応えられる技術力と、幅広い種類の部品を取り扱っていることも当社の強みと言えるでしょう。

--これまでの64年について教えてください。--

当社は日本でパチンコが誕生したのとほぼ同時期に産声を上げ、業界のパイオニアとして走り続けてきました。パチンコ玉の射出頻度や、威力を調整する遊技機ハンドルの製造で会社をスタートさせました。創業当時は競合も少なく、いち早く市場を押さえることに成功しました。しかし、それだけに甘んじてきたわけではありません。当社が50年以上にわたり、着実な成長を続け、国内のほぼ全てのパチンコ・パチスロ機本体メーカーと取引しているのは、社員ひとりひとりがお客様の立場になって物事を考え、お客様の要望ひとつひとつに丁寧に応えてきた結果です。前例のない新たな分野に果敢に挑戦し、お客様のニーズに応えることで技術領域を広げてきた結果、現在の堅実な経営基盤を築くことができたのです。

--変化の激しい業界の中で、次はどのような展開を考えているのか、今後のビジョンを教えてください。--

常に新たな発見や刺激が求められるパチンコ・パチスロ業界。今後はただ言われたものを提供しているだけでは、エンドユーザーやクライアントに本当に喜んで頂くことは難しいと思っています。市場の動きを読み、エンドユーザーに求められるものを当社からクライアントであるメーカー企業に提案していく発信型の企業体へと転換していく必要があると考えています。そういった意味では、今後は若い社員たちの柔軟な発想力やアイデアが非常に重要になります。会社の規模を拡大していくことも視野には入れていますが、単に売上を上げることだけを考えている訳ではありません。数字を上げる社員の人間成長が何よりも当社が優先すべきことであって、今後はより社員の人間成長に力を注いでいくつもりです。特にホスピタリティ精神に富んだ人材の育成が当社にとって急務であり、社内外の研修等も積極的に取り入れ、おもてなしの心を持った社員の育成に取り組んでいきたいと思っています。

--御社のこれからを担う社員に期待することを教えてください。--

今いる社員も含め、これから当社で活躍していただく方に期待していることは、「もっと積極性を持ってほしい」ということ。最近、学生の方を数多く面接させていただき、個性的な人が少なくなったと感じています。社員や学生たちにはもっと自分をアピールして、「自分はこれがしたい」という主張をしていただきたいと思います。面接時にこちらから質問をすると、スマートな答えが返ってはきますが、「何がしたい。どうなりたい」という思いが伝わってくることは稀です。当社のビジネスは今後、様々な発想が必要になってきます。仕事に対する知識も大切ですが、それ以上に斬新な発想や積極性が重要になると考えています。例えば、業務で上司に何か確認する時も、「これはどうしたらいいですか？」ではなく、「自分はこうしたいのですが、いかがでしょう？」というように、他人に結論を委ねず、まず自分の考えを伝えることが大切。ボトムアップ型の社風を推進していきたいと思っていますので、主体的な行動のできる方に大きな期待を寄せています。