通信・航法・識別(CNI : Communications, Navigation and Information)に関する一連の話題の締めくくりとして、特に通信分野に的を絞って「〆の回」としたい。

一元化に不可欠な相互接続性・相互運用性

何も軍事の分野に限ったことではないが、通信とは「通じてナンボ」である。つながらない無線電話よりもつながる糸電話のほうがマシ、といったら言い過ぎか。

そしてその「通じてナンボ」は、特定のエリア、特定の部隊、特定の軍種の内輪だけで実現する話ではなくなってきている。統合作戦とかマルチドメイン戦とかいう言葉がいわれるようになってしばらく経つが、それは単に、複数の軍種、複数の戦闘空間で同時並行的に何かするというだけの話ではない。

つまり、軍種や戦闘空間の境界を越えて、全体をカバーできる単一の情報共有や指揮統制を実現しなければならない。それができてこその統合作戦であり、マルチドメイン戦である。戦車同士、艦艇同士、戦闘機同士をネットワークで結んで「ネットワークでござい」とやっているだけでは足りない。

  • イージス艦のマストに取り付けられたアンテナ群。レーダーよりもむしろ、通信関連のアンテナが多い。これらが現代戦の死命を制している 撮影:井上孝司

陸海空にまたがるイスラエルの統合ネットワーク

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