2023年2月20日、英・ブリストル大学は、シマウマにアブが飛来しない理由を明らかにするために、そのストライプ模様がどのように影響しているのかを示す研究成果を報告している。では、シマウマにアブが飛来しない理由とはどのようなものだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。
シマウマにアブがつかないのは"ゼブラストライプ"のおかげ?
「シマウマにはアブが飛来しにくい」という事実をご存じだろうか。自然界で生きる動物にとって、虫から身を守ることは非常に重要であり、シマウマはアブ自体を寄せ付けないという強みがある。この性質については、すでにいくつかのメカニズムが提案されているが、それらは仮説のままで充分な実験的検証がなされていないというのが実情だ。
今回ブリストル大学では、飼育されている馬にさまざまなパターンが描かれたコートをまとわせ、馬の周りに飛来するアブを映像で観察した。この実験では、アブの飛来を阻止するメカニズムとして考えられる3つの視覚的メカニズム(エイリアシング・コントラスト・偏光)について検証するため、タイプの異なるコートを用いて検証が行われた。
その検証によると、アブは暗く大きな物体に引き寄せられる傾向が見られ、グレー単色のコートにアブは群を抜いて引き寄せられたという。しかし、白と黒の三角形が並べられた模様の場合には、その飛来は少なかったとのこと。さらに、チェック柄や、黒の正方形が不規則に並んだ模様といった場合には、さらに高いアブ除け効果を発揮したという。
今回の実験で研究チームは、縞模様やチェック柄といった白黒のコントラストが強い模様こそが、ハエを遠ざける力を発揮すると考察。そのような性質を持つ場合の方が、アブの飛来阻止に効果的であることが示されたとする。
いかがだったろうか。本研究を主導したブリストル大学のTim Caro教授らは、今後について「なぜシマウマだけが白黒のストライプを残し、他の有蹄類はストライプすら残さなかったのか、その理由を突き止めたい」としている。生物の進化の歴史に迫る、興味深い研究だ。