前回はGoogle ChromeでMicrosoft EdgeのCopilotパネルそのものを実現する「Copilot sidebar for Chrome拡張機能」について取り上げた。UIとしてはかなり理想的なものだ。今回はこの拡張機能がどこまで使えるのかを取り上げる。
連載「Google Geminiの活用方法」のこれまでの回はこちらを参照。
Copilot sidebar for Chrome拡張機能
Google ChromeでMicrosoft EdgeのCopilotパネルのようなものを実現する拡張機能として、GeminiではなくMicrosoft EdgeのCopilotパネルそのものを実現するという「Copilot sidebar for Chrome」がある。
内部構造の分析を行ったわけではないので外部からの推測となるが、Microsoft EdgeがCopilotパネルで表示しているHTMLをそのまま、ないしは、多少変更を加えて使っているもののように見える。
Microsoft EdgeのCopilotパネルはインターネットサーフィンとの相性が高い。それをそのまま実現できるCopilot sidebar for Chrome拡張機能はGoogle Chromeにとって福音となる可能性がある。早速、どこまで使えるか検証していく。
Webページの概要を生成
前回はCopilot sidebar for Chrome拡張機能を使って閲覧しているWebページの概要を生成する例を取り上げた。今回もまずはこの動作を確認する。
まず、概要を生成したいWebページを生成する。
概要を生成したWebページを表示したらCopilot sidebar for Chromeのパネルをオープンする。
Copilotパネルそのものが展開されているように見える。上記スクリーンショットのようにパネルに「ページの概要を生成する」という項目があるので、これをクリックする。
Copilotは次のように回答している。
このページは「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に関する報告書を公表しています。以下が主なポイントです:
- 総論: 策定方針や基本的事項、活用に関する事項、今後の課題について説明
- 各論: エネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素に関する詳細
- 対象特性: 妊婦・授乳婦、乳児・小児、高齢者に関する特定の栄養摂取基準
- 生活習慣病との関連: 高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)との関連性
この報告書はPDF形式で提供されており、Adobe Readerが必要です。
Webページの概要生成に関してはMicrosoft Edgeと同じように動作しているように見える。
PDFの要約を生成
今度はGoogle ChromeでPDF文書をオープンした状態で、Copilot sidebar for Chromから概要の生成を行ってみる。まず、次のように概要を生成したいPDFページをオープンした状態でCopilot sidebar for Chromパネルを開く。
上記スクリーンショットのように「ドキュメントの概要を生成する」という項目があるので、これをクリックする。Copilotは次のように回答している。
00_5_名簿_cs6_0110追加.inddを使用しています
ページで情報を検索しています
ページを分析しています…
申し訳ございません。現在 Web ページにアクセスできません。しばらくしてから、もう一度お試しください。
Copilotは「00_5_名簿_cs6_0110追加.indd」に基づいて概要を生成しようとしている。使ってほしいのは「000586553.pdf」であって「00_5_名簿_cs6_0110追加.indd」ではない。Google ChromeはPDF文書をオープンしているが、Copilot sidebar for Chrom経由ではうまく認識できていないことが分かる。
試しに他のPDF文書を開いて同じことをしてみる。Copilotは次のように回答している。
00_1_表紙_cs6_1220.inddを使用しています
ページで情報を検索しています
ページを分析しています…
申し訳ございません。現在 Web ページにアクセスできません。しばらくしてから、もう一度お試しください。
こちらも同じだ。概要を生成して欲しいのは「000586557.pdf」だが、「00_1_表紙_cs6_1220.indd」を使おうとしている。Copilot sidebar for ChromからはGoogle ChromeのオープンしているPDFをうまく認識できていないことが分かる。
YouTubeの要約を生成
最近のMicrosoft EdgeのCopilotはYouTube動画のハイライトを生成することができる。Google ChromeのCopilot sidebar for Chromからもその鱗片を感じることができる。
まず、ハイライトを生成させたいYouTubeをオープンし、Copilot sidebar for Chromパネルをオープンする。
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Detecting political deepfakes with AI | The Prompt x Microsoft's Chief Questions Officer Trevor Noah - YouTube
次のスクリーンショットのようにCopilot sidebar for Chromパネルに「ビデオのハイライトを生成する」という項目が表示されているので、これをクリックする。
Copilotは次のように回答している。
Detecting political deepfakes with AI | The Prompt x Microsoft' Chief Questions Officer Trevor Noah - YouTube を使用しています
ビデオで情報を検索しています
ビデオを分析しています…
ビデオハイライトはトランスクリプト付きのビデオでのみ利用可能で、現在は YouTube や Vimeo などのサイトに制限されています。その他の Web サイトも間もなくサポートされる予定です。他に何かお手伝いできますか?
この動画はMicrosoft EdgeのCopilotパネルからであればハイライトを生成することができる。Copilot sidebar for Chromからは使えないことが分かる。
正規のCopilot in Edgeよりもかなり時間がかかる
Copilot sidebar for Chrom拡張機能はMicrosoft EdgeのCopilotパネルで使われているのと同じHTMLを使っているのか、表示される内容に関しては本物と区別がつかない。しかしながら、Webページの概要を生成することはできても、PDFの概要を生成したりYouTube動画のハイライトを生成することができない。まったく同じ動作を実現することはできないようだ。
さらに、Microsoft Edgeで動作するCopilotと比較すると反応速度がかなり遅いように見える。どのように区別しているのか分からないが、Microsoftが想定している正規の利用以外からの利用にはなんらかのペナルティーが課される仕組みになっている可能性がある。
Copilot sidebar for Chrom拡張機能はUIとしてはGoogle Chromeに導入するものとして現時点ではかなり良い。しかしながら、Microsoft EdgeのCopilotパネルと比較すると利用できる機能が少なく、動作も遅い。代替として常用するにはかなり制限があるというのが現実的なところのようだ。