前回は、スマートフォンのGmailアプリで、日本語入力システムのユーザー辞書を活用し、定型文を入力する方法について説明しました。しかし、この方法では改行の入った定型文を入力することができないという弱点がありましたので、今回は外部のアプリを使うなどして、より定型文を入力しやすくする方法を紹介したいと思います。

Androidの場合、機種によって標準搭載の日本語入力システムが異なりますが、まずは前回紹介したGboardをで定型文を入力しやすくする方法を紹介したいと思います。

それは「クリックボード」を使う方法です。クリップボードとは、コピーした文章を一時的に保存し、あとから何度も入力しやすくするという機能。特定の文章をピン留めして保存できることから、定型文となる文章をコピーしてピン留めし、定型文として活用できるわけです。

具体的な方法について説明しましょう。まずは定型文となる文章を入力してコピーした後、Gboardからクリップボードのアイコンをタップします。

  • Gmailテクニック 第51回

    定型文となる文章をコピーした後、Gboardからクリップボードのアイコンをタップする

するとクリップボードにコピーされた文章の一覧が現れるので、右上のアイコンをタップして編集画面を呼び出します。

  • Gmailテクニック 第51回

    クリップボードを呼び出したら編集ボタンをタップする

ここで先程コピーした文章を選択し、ピンマークのボタンを押すことで、クリップボードにピン留めすることができます。あとは先程と同じ手順でクリップボードを呼び出せば、いつでも定型文の入力が可能です。

  • Gmailテクニック 第51回

    ピン留めしたい文章(1)をタップした後、ピンマークのボタン(2)をタップすると文章のピン留めができ、次回以降この文章をタップすれば定型文を入力できる

Gboard以外の日本語入力システムで同様の機能を実現したい場合は「マッシュルーム」を使うのがよいでしょう。これは複数の日本語入力システムで共通して利用可能なプラグインで、対応する日本語入力システムとしては「PoBox Plus」「ATOK」「Shimeji」などが代表例として挙げられます。

ここではその中からATOKと、Gboardに近い仕組みを持つマッシュルームアプリ「aNdClip」(無料版)を使った方法を紹介します。まず定型文にしたい文章をコピーし後、ATOKの左下のボタンを長押しします。

  • Gmailテクニック 第51回

    定型文となる文章をコピーした後、ATOKの右下のボタンを長押しする

そのまま左下から1つ上のボタンに指を移動させて、マッシュルームに相当する「ATOKダイレクト」を呼び出し、「aNdClip Free」のアイコンを選んで指を離します。

  • Gmailテクニック 第51回

    画面を押したまま1つ上のボタン(1)に指を移動し、マッシュルームのアイコンが現れたら「aNdClip Free」(2)を選んで指を離す

するとaNdClip Freeが起動するので、先程コピーした文章を長押しし、「定型文に登録」をタップして定型文に登録します。あとはATOKから同じ操作でaNdClipを呼び出し、定型文に登録した文章を選択すれば、定型文の入力が可能です。

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    コピーした文章(1)を長押ししてから「定型文に登録」(2)をタップすることで、定型文を登録できる。後は同様の操作で登録した文章をタップすれば定型文を入力できる

では、iPhoneの場合はどうすればよいでしょうか。ここでは「CannedText」という無料アプリを使って、定型文を入力する方法を紹介しておきたいと思います。

このアプリは、あらかじめ登録した定型文を直接入力できる外部キーボードアプリ。アプリをダウンロードした後、iOSの設定からキーボードを追加することで、利用可能になります。まずは「設定」から「一般」→「キーボード」→「新しいキーボードを追加」とタップし、CannedTextを追加します。

  • Gmailテクニック 第51回

    CannedTextを使うには、アプリをインストール後に設定から新しいキーボードの追加画面を呼び出し、「CannedText」をタップする

さらに追加した「CannedText」をタップし、「フルアクセスを許可」をオンにすることで、CannedTextの利用が可能になります。

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    キーボードが追加されたら「CannedText」をタップする

  • Gmailテクニック 第51回

    この画面が現れたら「フルアクセスを許可」をオンにする

続いて定型文を登録します。ホーム画面からCannedTextのアプリを起動した後、右上の「+」をタップし、カテゴリを追加します。

  • Gmailテクニック 第51回

    ホーム画面からCannedTextを起動し、右上の「+」(1)をタップした後にカテゴリ名(2)を入力し、「追加」(3)をタップする

そして追加したカテゴリをタップし、再び右上の「+」を押します。

  • Gmailテクニック 第51回

    作成したカテゴリをタップしたらさらに「+」をタップする

すると定型文の追加画面が現れます。「表示名」はキーボードから定型文を呼び出すときの名前、「テキスト」には定型文を入力し、「追加」をタップすれば定型文の登録は完了です。

  • Gmailテクニック 第51回

    「表示名」に定型文の名前、「テキスト」に定型文となる文章を入力する

登録した定型文を入力するには、まず地球マークのボタンを押してキーボードを切り替え、CannedTextのキーボードを呼び出します。

  • Gmailテクニック 第51回

    メールの入力画面でキーボード切り替えボタンをタップし、CannedTextのキーボードに切り替える

続いて先程登録したカテゴリを選ぶと、定型文が現れるので、それをタップすれば定型文の入力ができるようになります。

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    先程登録したカテゴリ(1)をタップし、さらに定型文(2)をタップすることで、定型文を入力できる

アプリ版のGmailはパソコン版と比べ制約が多いのは確かですが、不足している機能を他のアプリで補うというのも1つの手です。さまざまな外部アプリを活用し、Gmailアプリをもっと便利に活用してみてはいかがでしょうか。