宇宙には予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで色々おこります。「素人でも手軽に関われる」宇宙についてのあれこれを、サクっと紹介する恒例の「宇宙、どうでしょう」。前回の星空編に続き、2025年の後半、7~12月の宇宙開発をご紹介! 

日本

ispace社のHAKUTO-Rミッション2は、月までたどりついたのですが、着陸はなされませんでしたな。その後、原因は距離を測定するレーザーレンジファインダーの不調であることがわかり、対策しつつ2027年にミッション3と4を予定通り行うという発表がございました。

また、三菱重工とJAXAがGOSAT-GW(温室効果ガス・水循環観測技術衛星)、通称「いぶきGW」を搭載して打ち上げた最後のH-IIAロケットとなる50号機は、6月29日未明に見事打ち上げに成功しました。2001年から24年間で49機が成功(2003年の6号機のみ失敗)。打ち上げ成功率が98%と、大型ロケットとは非常に高い信頼性を誇りました。今後は全面的にH3ロケットが引き受けることになります。

ほかには、あのHondaがロケット開発で、一つステップアップをしておりますね。6月17日に、自社開発のロケットを打ち上げ、それをまた着陸させるという「離着陸実験」に成功しております。Hondaは、飛行機ジャンルでもHondaJetの成功で耳目を集めましたが、2019年からロケット開発をはじめ、ここまできました。宇宙の方にも着実に手を伸ばしているようです。

さて、7月以降の予定を拾ってみましょう。SpaceFlightNowRocketLaunch.Liveを参考にしております。

7月末、油井亀美也さんが宇宙へ

JAXAの宇宙飛行士の油井亀美也さんが、SpaceXのCrew Dragonで国際宇宙ステーション(ISS)に旅立ちます。油井さんは2015年の国際宇宙ステーション長期滞在以来、2度目の宇宙飛行となります。

HTV-X

2025年度中にH3ロケットにより、国際宇宙ステーションへの新型貨物補給機「HTV-X」の打ち上げが予定されています。

ちなみに、HTV-Xは、従来のHTVではできなかった「クール便」での配達が可能になるそうで、運搬する機材に電源を入れた状態での打ち上げが可能なのだそうです。積み込みの締め切りも従来の80時間が24時間に短縮されるそうで、単純に国際宇宙ステーションで鮮度の高い野菜が食べられるというのもアナウンスされております。

成功するとステップアップという感じでございますな。

他には、次がスケジュールされていますが、もうちょい先ですかね。

  • 技術試験衛星「ETS-9
  • 火星衛星探査機MMX、月極域探査機LUPEX
  • スペースワン・カイロス

海外

SpaceX(スペースX)

米スペースX社のFalconロケットは、相変わらず毎月2~3度ほどのペースでの打ち上げが続きます。リーダーたるイーロン・マスク氏が、米国の政治に関わったり、あるいは大統領とけんかしたりとかまびすしいのですが、スペースX社が安定してロケットを打ち上げるトップ企業であることは間違いないですな。

7月16日以降 オーストラリア最初のロケット「Eris」の試験打ち上げ

2024年5月から延期を重ねていたオーストラリアのErisロケットですが、いよいよ試験打ち上げがアナウンスされています。300kgの貨物を地球低軌道に打ち上げる、日本のカイロスなどとライバルになるようなロケットです。ちなみに開発したギルモア・スペース社は衛星のベースシステム(バス)も開発しており、6月24日にスペースX社のロケットで打ち上げられています。

7月30日 開合合成地球マッピング衛星「NI-SAR」打ち上げ(インド)

インドのGSLV Mk IIロケットで、NASAとインド宇宙局(ISRO)の共同の地球探査衛星の打ち上げです。

7月中、中国の長征7型ロケット打ち上げ

中国宇宙ステーション補給機「天舟9号が打ち上げられる予定です。中国は着実に宇宙大国になっています。

8月、アリアン6ロケットがヨーロッパ気象衛星を打ち上げ

この気象衛星ですが、ひまわりのような静止衛星ではなく、極軌道衛星です。6機で一セットで、その最初です。赤道上空の静止衛星では、高緯度の気象観測に難があるので、緯度が高いヨーロッパらしい衛星といえそうですね。低軌道なので、解像度が高い気象データが取れるとのこと。同様な極軌道気象衛星には、アメリカのNOAAがありますが、相互連携をするのだそうです。

2025年中、有翼宇宙往還機「Dream Chaser1」打ち上げ

シエラ・ネバダ社の有翼宇宙往還機「Dream Chaser」の打ち上げがアナウンスされています。大分空港が着陸場所として提携するというアナウンスがあったやつでございますな。2022年からずーっと延期延期が続いてきましたが、ついにでしょうか。

2025年中、中国で長征8型、長征12型を打ち上げ

Starlinkのような通信コンステレーション。G60PolarGroupとSatNetLEOの打ち上げです。本当、中国は全方位で宇宙開発を進めています。世界2位の大国、科学技術大国だけのことはあります。

2025年中、太陽圏観測衛星「IMAP」打ち上げ

太陽から発せられる太陽風は、太陽系に広がっていきます。それをリアルタイムに調べ、太陽の太陽系空間での影響を調べる探査機です。

なかなかユニークな宇宙探査機なのですが、ちょっとテーマがとらえにくいので、ちょっと積極的に情報をとって、ご紹介できれば。と思っております。

11月、韓国のKSLV-2(ヌリ)打ち上げ

韓国が地球観測衛星「CAS500」を搭載した国産ロケット「KSLV-2(ヌリ)」の打ち上げを予定しています。ヌリは、最初は失敗しましたが、2022年と2023年にそれぞれ打ち上げ成功し、今回は4回目の打ち上げで3回目の成功を目指します。

なお、韓国は2022年にスペースXのファルコンロケットで月探査機ダヌリを月に送り込んでいます。ヌリでは無理だったのでファルコンに頼ったわけですが、次はさらに強化したロケットで自力での月探査を目指すとのことです。まだ先のことですが。

11月、ファルコンヘビーで月面着陸船「グリフィン」と月面探査車「FLIP」が打ち上げ

スペースX社の巨大ロケット「ファルコンヘビー」で、米Astrobotic Technology社の月着陸船「Griffin(グリフィン)」が打ち上げられます。重量が450kgというAstrolab社の月面探査車[FLIP」を届けます。

月面着陸はなかなか難しくAstroboticの最初のチャレンジである2024年のPeregrinミッションは着陸できませんでしたが、今回は規模を拡大して再挑戦です

なお、日本旅行がこのグリフィンにメッセージを送るというプロジェクトを創業120周年を記念して実施するそうですな。

12月24日、ソユーズ5型のテスト

ロシアも国際宇宙ステーションでの貨物や人員の輸送など、着実に打ち上げをしています。宇宙の古豪はやはり力があります。

そのロシアが新型となるソユーズ5型ロケットのテストを行います。これは中型のロケットで、これまでの(ウクライナ製の)ゼニット2やプロトン-Mロケットの後継だそうです。

大阪・関西万博でも、世界中のパビリオンが「我が国の宇宙開発が」と述べていて、ブルガリアなどはヨーグルトから宇宙開発の話を引っかけるなんてのもありました。

世の中はすっかり宇宙時代、オーストラリアや韓国などの新プレイヤー、民間企業もどんどん参入しています。これを書きながら、それを実感しております。

では。