梅雨時を彩る紫陽花(あじさい)。青、紫、赤、白と花の色が変化するのでおなじみですね。そしてその色は、植わっている土壌の性質に左右されることも、そこそこ知られています。土壌が酸性かアルカリ性かで色が変わる。まるでリトマス試験紙。なんですが、ちょっと私ハンパに覚えていて間違っていたので、みなさんもどうかなーというご紹介でございます。

花がある、なんて言葉が示すように。心を揺さぶる見た目を持つのが、花。ですなー。花とはなにかといえば、種をつくるための生殖器です。「おしべ」と「めしべ」があり、おしべの花粉がめしべにつけば種をつくれるのですが、最初からくっついていない。それを手助けするのが、時に虫や鳥などであり、この協力者を引き寄せるための印としておしべとめしべのあたりに華やかなマークをつけるのが花。そんな風に習ったわけでございます。

ただ、虫や鳥にどんな好みがあるのかどうか、花の色は色々でございますな。色はわずかな金属の吸収のしかたの違いよって変化するようですが、そのあたりは花だけでなく植物固体トータルの様々な性質が作用します。この性質は生まれながらに、つまり種の時点で決まっています。遺伝なんですな。園芸店では「こんな花を咲かす」という触れ込みの種が売っているわけでございます。

なお、他の花の花粉が、めしべにつく、遺伝情報がまざり、花の色や形が変わります。そうして植物は多様性を獲得し、花の色や形を変えるだけでなく、病気や寒さなどの問題に対応できる子孫がたまたま作られることもあるようにアップデートをはかるわけでございます。

一方、園芸店が咲く花を保障するためには、多様で「何が咲くかお楽しみ」だとあまり売れないので、自分の花粉が自分のめしべにつくようにコントロールする。つまり自分のクローンが作られるようにします。というか、植物は花ではなく球根やら挿し木やら地下茎やらといった自分をそのまま増殖するような方法で子孫を増やすことが多く、これならまあ何が咲くかを保障できるようです。

一方で、わざと違う性質の花を掛け合わせたり、時にバイオテクノロジーで遺伝操作をして、自分好みの色や形の花をつくるのも園芸の仕事でございます。バラなどは園芸で開発された品種が非常に多いことで知られています。うーん、園芸ってそう考えると複雑な仕事ですな。

さて、そんななか種や株の時点で花の色が決まらない植物もあります。その代表例が紫陽花(あじさい)ですな。紫陽花はツツジのような木ですけど、紫陽花の花とされる部分(※)は、その木が植わっている場所の土壌によって、色がかわります。写真は先日公園で見かけた紫陽花ですが、本当に色とりどりですが、植わっている場所がちょっと違うだけで、色が変わるのがよくわかります。

※ 紫陽花の花と私も思っていた部分は、種を作るおしべ、めしべがなく、花の周囲を飾るガクです。ここ書くと長くなるので、ウェザーニュースさんの解説などご参照あれ。

  • アジサイ
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そしてこの色は、土壌が酸性かアルカリ性かで決まります。そう、リトマス試験紙みたいですな。小学校などで「青だからアルく、アルカリ性」「酸は酸っぱいから梅干しの赤」なんて連想記憶でならいましたなー。しかし、さっとでてくるな、小学校の時の記憶、おそるべし。そう、紫陽花の「花」の色は土壌が酸性なら赤、アルカリ性なら青になるのではなく。

紫陽花の花の色は、土壌が酸性なら青! アルカリ性なら赤! になるのです。

リトマス試験紙と反対でございます。

ちなみに、この色が変化する原因は、アントシアニンといわれる化学物質です。紫キャベツやナス、シソなど様々な植物の色を決めている物質で、リトマス試験紙の元になるリトマスゴケも、アントシアニンを持ち、色が変わるのです。アントシアニンは酸性環境(=水素イオンが多い)では水素イオンがくっつき赤く発色し、アルカリ性では水素イオンが離れて青に発色するのでございます。

なお、リトマスゴケは日本には自生していませんが、近い性質を持つウメノキゴケを使ってリトマス試験紙っぽいものを作る実験が地衣類研究会のホームページに紹介されていました。10日間管理するなどなかなか根気がいる実験のようですが、夏休みの自由研究にはいいかもですな。

紫陽花もアントシアニンで「花」の色が変わるのです。しかし、アルカリ性で青くならず、逆に赤くなる。いったいどうして! 私、まちがって人に教えちゃったじゃないのってなものですな。

で、少し調べるといろんな人が解説しているのですが、土壌の酸性、アルカリ性がそのまま花にあがってくるためじゃないんです。土壌のアルミニウムがどれだけ吸収されるかで決まるのでございます。

アントシアニンは水素イオンがくっつくかどうかで色が変わるという話をしましたが、実は金属によっても色が変わります。アルミニウムのイオンが入り込むことで、青っぽくなるのですな。

そしてアルミニウムは土壌中の酸性が強いと、植物に吸収されやすくなります、紫陽花は土壌のアルミニウムを多く吸収し、酸性の土壌に青い花を咲かすのでございます。そして赤いのは「もともと赤っぽい状態のアントシアニンだから」。アルミニウムが吸収されないと赤いのですな。

で、同じ木でもどの花にどれだけアルミニウムがあがるかという、途中の輸送の問題でも色が変わるので、同じ木に少し色が違う紫陽花が咲くのですな。

そうだったのかー。

なお、白い紫陽花もありますが、これはアントシアニンをもたないものだそうです。そうだったのか、中性だから白とかではなく、アントシアニンがないから。これまた遺伝のたまものですな。

すっきりしたところで、梅雨の紫陽花を楽しもうと思う東明なのでございました。