SNSを眺めていたら「浮遊惑星」なる言葉が飛び込んできました。これは恒星のまわりをまわっていない恒星でない(発光しない)天体で惑星なみの大きさがあるものですな。英語では「free-floating planet」ですが、「rogue planet(はぐれもの惑星)」とも言います。はぐれ刑事みたいですな。恒星がそばにないのでほぼ発光しません。しかし発見され、研究が進んでおるようです。勉強かたがた調べてみましたよ。

5月の大型連休があけて、完全に初夏って感じになりましたな。空も澄み渡ることがあり、以前ご紹介した第2惑星の金星も、まあ、本当によく見えております。で、金星があれほど明るい理由は以前ご紹介したとおり、地球と太陽に近い、デカい、反射率高いの3点セットでした。まあ、そもそも太陽の輝きがなければ惑星は見えません。

もし惑星が太陽系からはじきだされた惑星があったとしたら、真っ暗な宇宙で発見するのは極めて困難でしょう。でも、そんな天体も「ありうるだろう」ということでつけられたのが、「ffp(free-floating planet、自由浮遊惑星)」なんでございますな。自由浮遊惑星というと、宇宙戦艦ヤマト2199に登場した、地球とガミラスの中間にあるバラン星がそういう設定でした。まあ、でもアニメの話だよねと思っていたら、なんとこれがとっくに発見されていたのですな。

ちなみに自由浮遊惑星のことを Wikipedia先生で調べるとrogue planetと訳されています。rogueというとスターウォーズの外伝「Rogue One」を思い出しますが、ならず者とかはぐれものとか独立したとかいう意味です。お茶目なってな意味もあるようですね。しかしSFアニメでしか喩えられないのかおまえはという感じでございますな、東明は。

さて、自由浮遊惑星ですが、最も初期に可能性がいわれたのは、「OTS44」という天体です。これはカメレオン座という天の南極の近くにある星座にある星雲からみつかった天体で、木星の11倍ほどの重さがある天体です。発見グループは日本の人たちで、国立天文台の田村元秀さんらの研究グループが1998年の論文で報告しています。なお、発見時の論文では褐色矮星。つまり重水素・リチウムの核融合反応でかろうじて光る最弱の恒星とされていました。褐色矮星は理論上木星の13倍以上の質量が必要とされるので、11倍が本当なら褐色矮星未満の天体となります。

また、2002年にはオリオン座の「S Ori71」という天体が発見されました。これは木星の3倍の重さで、自由浮遊惑星としてまちがいなさそうとされた最初の天体です。場所はオリオン座のσ星の近くの星雲、というより、オリオンの三つ星の左の星のすぐ下とか、馬頭星雲のあたりというほうが、天文ファンにはなじみがあるでしょうね。こちらはZapatero-Osorioさんらの研究グループがロッホデ・ロス・ムチョース天文台というアフリカの大西洋沖にあるカナリア諸島にある天文台で発見しています。

さて、そんな光らない星がどうやって見つかったのかというと、これは「いや、赤外線だと光って見えるから」という話です。ご承知のように人間は発光しませんが、サーモグラフィー、つまり赤外線カメラでは見えます。新型コロナの発熱チェックでみなさんよくご存じのあれです。

赤外線での観測は、地球の大気、特に水蒸気がジャマをします。また、かつては赤外線をキャッチできるセンサーがないという問題がありましたが、これも半導体工学の進歩でなんとかなるようになりました。水蒸気についてはできるだけ高い山の上とか、いっそ人工衛星から観測すればいいんじゃということで解決します。

こうして自由浮遊惑星は見つかるようになりました。特に、恒星が大量に誕生する星雲や大量の天体が一緒にいる星団をねらえば、その中に紛れているのを発見する可能性が高いというわけでございます。なるほど闇雲だと無理でも、そういう手があるんですな。木を探すなら森を見ろってなわけです。

なお、星が大量に生まれる場所ですと2021年にへびつかい座ロー星付近、まあ、さそり座のアンタレスの近所に70個もの自由浮遊惑星が一気に発見されたなんて話もあるようです

一方で、地球から80光年ほどの距離の「PSO J318.5338-22.8603」は星雲や星団に関係なく発見された自由浮遊惑星です。これはパンスターズ(PS)という自動的に大量の天体を観測するシステムの観測結果データベースから異常な値を示す天体を発見したハワイ大学のMichael Liu氏が発見したもので、ハワイ島にあるCFH(Canada-France-Hawaii)望遠鏡で詳しく調べたところ自由浮遊惑星とみられるとしたものです。そういう手もあるんですな。

なお、自由浮遊惑星については色々とおもしろい話があります。なんと大気があり、なんなら表面に液体の海がある可能性があるんだそうです。どういうことなんでしょうか? 自由浮遊惑星は、名前の通り、太陽のような恒星から離れてしまった惑星なので、太陽熱のような恩恵はないはずです。太陽系でも太陽から離れた星は氷の世界ですな。地球よりちょっと遠いだけの火星など水はあるのですが、寒いため全て凍り付いてしまっています。また、木星や土星の衛星には表面が氷で覆われているものもあり、その中には衛星同士の引力が変化することで「もま」れて、内部が熱くなり、内部の氷は液体の海になっていると考えられているものもありますし、なんなら土星の衛星のエンケラドゥスなどは、水が噴水のように氷の切れ目から宇宙に噴き出しているものも見つかっています。が、表面に海ではなく、内部に海なのでございますな。

ところが自由浮遊惑星は、表面に海がある可能性があるというのです。これは、まず太陽のような恒星から離れることによって、大気が非常に冷たくなり、濃い大気が維持されること。惑星の内部の放射性物質が核分裂反応をして中から熱を出し、表面がほのかに温かくなること、つまりは温泉が湧くってことですな。大気がなければ表面の温泉は、放射冷却であっというまに冷えますが分厚い大気がそれを守るのでございます。

天体内部の熱は、地球、金星、火星などに見られ、誕生から46億年もたっていても続いています。また大気が熱を閉じ込めるのは、金星で実際に起こっていることですな。分厚い大気の原理は違いますけどね。