2021年5月26日(水)夜8時9分から8時28分まで、日本全国、いや太平洋周辺一帯で皆既月食が見られます。皆既月食は満月がみるみる欠けていき、赤黒い不思議な色に染まる天文ショーです。南東の空さえ開け、晴れてさえいれば、簡単に観察できます。

さらに前回、日本で皆既月食が見られたのは3年前の平成30年。今回は日本では令和初の皆既月食となります。そして、特に南関東からー東北は特別な場所になります。ともあれみましょう皆既月食!

  • 皆既月食

    2018年1月の皆既月食 (編集部撮影)

皆既月食はすばらしい。思い立ったらすぐ見られる

皆既月食、それは道具なしで楽しめ、しかも完全に予想できる天文ショーです。さらに1-2年に1度はチャンスがあります。流れ星も道具はいりませんが、いつ流れるか精密にはわかりません。日食はすばらしいのですが、日食グラスなどそれなりの準備が必要です。月食は数十分も見れば、ダイナミックに変化するのも楽しめます。ええ、月食はサイコーなのでございます。なお、月食の起きる原理などは、過去の記事をごらんください。

参考:どこでもサイエンス 第107回 8月7日(月)深夜・月食を見よう!

え? ピンとこない? どんな具合か? 素晴らしい動画や写真がございます。

2018年にも紹介しましたが、こちらの動画などは、すばらしいですよー。それから、アップにしてみたこちらとかもいい。望遠鏡つかってますが、カメラの望遠やビデオカメラのズームでもそこそこいけますよ。三脚使って固定するといいですけど。

こちらは写真ですが、天気が悪くてもこういう景色だってある。あ、これAPOD(Astronomy Picture of the Day天文の本日の一枚)というNASAのサイトで、UNAR ECLIPSE(月食)で検索すればでてきますが、英語ですからね。後ろの方にリンク集でまとめておきます。

5月26日の月食、観察の3ポイント

  1. 月を見るだけの、カンタンな観察です。
  2. 時刻のチェック 夜8時9~8時28分が「皆既月食」、その前後1時間が月食です。
  3. 関東から東北、東北海道は、昇る満月が欠けていく様子が見られます。そのほかの地域は、昇った月がすでに欠けています。
  4. 曇ったら……ネット中継で楽しめますよー。

1. 月を見るだけの、カンタンな観察です

まず、月食の観察は、欠けていく満月を見るだけのカンタンなものです。道具はいらないし、特別な準備も必要ありません。なにしろ月を見るだけですから。

ただし、今回も低めの空で起こるので、南東方向がひらけているところがよいですね。ビルが立て込んでいないところなら心配ないです。新型コロナウイルス感染症の関係で、あまりあちこちにいけない感じですが家の近くで適当なところを探してみてください。月が見えればいいんです。ただ、車が入ってくる駐車場の路上とか、他人の土地に立ち入りとかはだめですよ。はい。

見える高さは、北海道では低く、沖縄では高く見えます。まんなかの新潟での見え方はこちらの図を。アストロアーツ社のステラナビゲータというソフトでシミュレートしてみました。7時40分から10分間隔で、10時20分までの月の変化ですな。地平線のあたりに木があるってな感じです。

東京? あ、国立天文台が作った図がそこら中に転載されておりますよー。

  • 皆既月食

なお、まあどうせなら、もう少し何かないの? というかたは、双眼鏡での観察や写真・ビデオ撮影がおすすめ。

参考:どこでもサイエンス 第122回 1月31日夜10時・皆既月食の観察法のコツ

前はスマホはあかんかったのですが、最新機種だと、星を撮影する要領でいけます。まあ、ダメ元で何かにスマホを固定して(三脚が良いですが、なければ壁にもたれさせてもよい)試してみてください。

2. 時刻のチェック 夜8時9~8時28分が「皆既月食」、その前後1時間が月食です

月食の時刻は、世界共通です。世界中の人が同じ瞬間に月食を見るのですな。ロマンチックでございますな。ちなみに、今回は太平洋一帯で見られます。ヨーロッパやアフリカでは見られません。見えるエリアを知りたいかたは、NASA提供の地図を見ていただくといいですよー。

今回は、夜7時30分~9時くらいまで見るとよいですよ。コアタイムが8時9分~28分です。

これ次のタイムテーブルに基づいて言っております。

午後6時44分、月食のはじまりです。

じゃあ、7時前からみたらいいんじゃないかという感じですね。

ところが、京都では月の出が6時53分、福岡では7時12分。月の出というのは、月の真ん中と地平線が重なる時刻ですので、実際完全に月が見えるのは、水平線が見えていてもさらに1-2分後なのです。

つまり、京都、福岡では(那覇や札幌でも)、月が出たときには、もう月食はじまっちゃってる! こういうのを月出帯食(げつしゅつたいしょく)といいます。天文マニア以外は、覚えなくていいですけど。つまり、月食の全部は見られないんですな。

ただ、終わりは見られます。終わるのは夜9時53分です。10時には完全に終わっていますが、月はまだまだ空高く満月で見え続けます。

3. 東京、東北、北海道の東では全部見られる。ハワイやオーストラリアでも全部見られる

ということで、今回は月出帯食なんですが、南や東の方では全部見られます。たとえば、ハワイやオーストラリア、ニュージーランド、さらにロサンゼルスあたりでは最初から最後まで見られます。さっきのNASAの地図でハッチがかかっていないところがそうです。

なお、月食はどこから見ても、同じ時刻に見えますが、とうぜん「時差」があります。ハワイは日本時+5時間(マイナス1日)ですので、日本で夜8時なら、ハワイは夜中の1時すぎが月食のピークってことになりますな。

なお、地図を見ると日本は実にビミョーな、逆に言えばレアな位置でございます。見え方は国立天文台のWebサイトで地点を選べば計算してくれますよ。

4. 曇ったら……ネット中継で楽しめますよー

ところで、今回は梅雨入り前で、しかも夜8時。子供たちにぜひ見てね! というすばらしいシチュエーションだったはずなのですが。新型コロナウイルス感染症で東京や福岡などは緊急事態宣言。また、あろうことか、東海地方より西は、平年より20日も早い梅雨入り!。もーってなもんですな。

ただ、東北などはまだ梅雨じゃないですし、ハワイは関係ないし。まあ、どこかでは見られるはず。で、あちこちで月食の中継が予定されています。リストをつくっときます。

時刻はなんかいも書きました通り、世界どこでも同じです。地球の裏側では月が昇っていないので見えませんけどね。

全国リレー

北海道

東北

関東

中部

関西

中国・四国

九州

オーストラリア・シドニー

アメリカ・ハワイ

アメリカ・カリフォルニア

次の月食は11月(微妙に皆既月食じゃないけど)

さて、今回の月食は令和初! と申し上げました。3年ぶりだったんですが、次はというと実は半年後です。11月の19日にございます。夕方早い時間なので、これまた子供たちにもお勧めしやすい! またこちらでも騒ぎますが。とりま国立天文台が早々に記事を書いているので参考にしてくださいませ。

NASA APODの月食映像・写真リンク集(もちろん、すべて、過去の記録です)

動画

望遠鏡写真

風景写真