会議が終わった後、走り書きのメモや文字起こしを整理し、決定事項やTODOをまとめる議事録作成。この作業に時間を取られている人も多いのではないだろう。

本連載では、Windows 11でAIアシスタント「Claude(クロード)」を仕事に組み込む方法を紹介している。前回はWindowsの設定をClaudeに聞くときの注意点を取り上げた。今回は、会議メモや文字起こしから議事録を作成する方法を紹介する。

議事録づくりのどこをClaudeに任せるか

議事録を作る作業は、大きく「素材を集める」「整理して書く」「確認して配布する」の3段階に分けられる。このうちClaudeに任せやすいのは、真ん中の「整理して書く」部分だ。

会議の発言は、話題が行ったり来たりして、結論が曖昧なまま進んでいくこともある。そうした雑多な素材から、決定事項、継続検討の事項、誰がいつまでに何をするのかというTODOを抜き出し、決まったフォーマットに整理する作業は意外に骨が折れるものだ。第6回でも触れたように、情報を取捨選択して短くまとめる作業はそれ自体が難しいので、そこを肩代わりしてくれる点にこそClaudeを使う価値がある。

一方で、Claude自身は会議に出席しているわけではないので、渡された素材に書かれていないことは知りようがない。それどころか、素材の表現が曖昧だと、もっともらしく補ってまとめてしまう場合もある。この場合、ハルシネーション(もっともらしい誤り)は、決まっていないことが決定事項として書かれたり、担当者が勝手に割り当てられるといった形で表れやすい。したがって、最初に素材を用意する作業と、最後に仕上がりを確認する作業は、人間の仕事として残ると考えておくとよいだろう。

素材を用意する: メモと文字起こし

議事録作成の場合、Claudeに渡せる素材は大きく分けて2種類ある。

1つは、会議中に取った走り書きメモだ。単語の羅列だけのメモでも構わないが、会議の日付、参加者、議題は必ず書き添えておきたい。特に日付は、TODOの期限などに影響する重要情報なので、年月日を明確に記載するのがよい。

もう1つは、会議の録音音声を文字に起こしたテキストである。ここで注意したいのは、2026年9月末時点のClaude(Webブラウザ版、デスクトップアプリ版)では、録音済みの音声ファイルをアップロードして、そのまま文字起こしする機能には対応していないことだ。音声ファイルは別のツールで文字起こしし、そのテキストをClaudeに渡す必要がある。

Windows環境で手軽なのは、Microsoft Teamsの文字起こし(トランスクリプト)機能だろう。会議中に「レコーディングと文字起こし」を開始しておけば、会議後に発言者名とタイムスタンプ付きのテキストをWord形式(.docx)などでダウンロードできる。ただし、利用には対応するMicrosoft 365のライセンスが必要で、会社によっては管理者が機能を無効にしている場合もある。

なお、ClaudeにはMicrosoft 365と連携する「コネクター」機能も用意されており、接続すればTeamsの会議の文字起こしをClaudeが直接読み込むこともできる。ただし、この連携を使うには組織のMicrosoft 365管理者による承認が必要になるため、会社のPCで使いたい場合はまず情報システム部門に利用可能かどうかを確認しよう。

また、会議の内容には社外秘の情報や個人に関わる情報含まれることも多い点にも注意したい。Claudeに渡してよい情報の範囲は会社のルールによって異なるので、これも事前に確認しておくことが大切である。

ケース1: 走り書きメモから議事録を作る

まずは、走り書きのメモから議事録を作る例を見てみよう。次のような展示会の準備会議のメモがあったとする。

10/6(火) 展示会準備MTG 15:00-16:00 第2会議室
出席:佐藤課長、田中、鈴木、山本(総務)、自分(杉山)

・ブース位置 → Aホールで確定、2小間
・パネル印刷 業者どこ? 前回のA社は高かった → 鈴木さん相見積もり
・デモ機2台持ち込み 搬入日11/4? 要確認
・ノベルティ 予算5万 ボールペンorエコバッグ 次回決める
・説明員シフト 田中さん案作る 来週金まで
・来場者アンケート 紙→QRにしたい 山本さん懸念(個人情報の扱い) 

これをClaudeに渡すときは、第2回で紹介した依頼の基本に加えて、「議事録の型」と「書かれていないことを補わない」ことを明確に指示しておくのがポイントだ。

以下は社内の会議中に取った走り書きのメモです。
これを社内の関係者に共有する議事録にまとめてください。

【形式】
・冒頭に会議名、日時、場所、出席者
・「決定事項」「継続検討事項」「TODO(担当者・期限)」の3つに分けて整理
・文体は体言止め中心の簡潔な書き方

【注意】
・メモに書かれていない情報を補ったり推測したりしないでください
・担当者や期限がメモから読み取れない項目は【要確認】と書いてください
・「来週金曜」などの相対的な日付は、会議日(2026年10月6日)を基準に具体的な日付に直し、元の表現もかっこ書きで残してください

(ここにメモを貼り付ける)

このプロンプトに対して、筆者の環境ではClaudeが次のような議事録を作ってくれた。

  • 走り書きのメモをClaudeに渡し、決定事項・継続検討事項・TODOに整理させた例

    走り書きのメモをClaudeに渡し、決定事項・継続検討事項・TODOに整理させた例

単語の羅列だったメモが、決定事項と未決事項、TODOに分けて整理されたことが分かる。「搬入日11/4? 要確認」という書き込みも、メモの意図どおり確定事項ではなくTODOとして扱われている。担当者や期限が書かれていなかった項目には【要確認】が付いているので、議事録を配布する前に誰に何を確認すればよいかがひと目で分かる。

ケース2: 文字起こしから決定事項とTODOを抜き出す

次は、録音音声の文字起こしのような長いテキストを素材にする場合だ。ツールを使って自動で作成した文字起こしは、手書きのメモに比べて多くの発言を記録できるというメリットがある。一方で、「えーと」のようなつなぎの言葉や、話が脱線した部分、音声認識の誤変換なども含まれるため、メモ以上に要点を読み取りにくい。

特に注意したいのが、結論がはっきりしない発言の扱いである。たとえば次のようなやりとりがあったとする。

[00:23:15] 佐藤:じゃあノベルティはエコバッグの方向でいきましょうか。
[00:23:20] 鈴木:そうですね、ただ単価次第ですかね。
[00:23:28] 佐藤:うん、そこは見積もり見てからにしよう

この会話は、ノベルティがエコバッグに決まったようにも、まだ決まっていないようにも読み取れる。Claudeは文脈から一方に決まったように書いてしまうことがあるので、判断が分かれそうなものは分けて扱うように指示しておくとよい。それとあわせて、各項目の根拠となった発言の時刻を示させておくと、後で文字起こしの該当箇所をすぐに確認できる。

Claudeチャットにはファイルを添付できるので、文字起こしのファイルを添付した上で、次のような指示を出せばよい。

添付のファイルは、Teams会議の文字起こしです。ここから議事録を作成してください。

【形式】
・「決定事項」「継続検討事項」「TODO(担当者・期限)」に分けて整理
・各項目の末尾に、根拠となった発言の時刻を[00:00:00]の形で付記
・雑談や本題と関係のないやりとりは省略

【注意】
・会議中に決定したことが明確に読み取れるものだけを「決定事項」とし、
  「〜の方向で」「〜次第」のように条件付き・曖昧なものは
  「継続検討事項」に入れて、その理由を一言添えてください
・音声認識の誤変換と思われる箇所は、推測で直さず【誤変換?】と
  印を付けたうえで元の表記のまま残してください

このように指示すると、先ほどのノベルティの件は「エコバッグを軸に検討、単価の見積もりを見て最終判断(条件付きのため継続検討)[00:23:15]」といった形で整理してくれるはずだ。

なお、1時間を超える会議の文字起こしはかなりの分量になる。一度に渡す素材が長くなるほど、途中の細かな発言が整理の段階で抜け落ちる可能性は高くなる。長時間の会議であれば、議題ごとに文字起こしを分けて渡し、最後にまとめて議事録の形に整えさせるやり方が有効だ。

書式をそろえるための工夫

複数回にわたる会議について、議事録を継続的に作っていくのであれば、書式を毎回そろえる工夫もしておきたい。一番簡単なのは、過去に社内で配布した議事録を1つ見本として一緒に渡し、「この形式に合わせて」と指示する方法だ。部署で決まったテンプレートがあるなら、それをそのまま貼り付けてもよい。

同じ種類の会議の議事録を何度も作る場合は、Claudeの「プロジェクト」機能を使うと便利である。プロジェクトの指示欄に議事録の形式や注意事項を書き込み、見本の議事録をファイルとして登録しておけば、そのプロジェクトの中で会話をはじめるたびに同じプロンプトを入力し直す必要がなくなる。

また、Claudeは設定画面の「機能(Capabilities)」で「コード実行とファイル作成」をオンにしておくと、Word形式(.docx)のファイルを作成することもできる。社内で議事録をWordファイルで共有する決まりがあるなら、「Wordファイルとして出力して」と頼めば、ダウンロードしてそのまま体裁を整えられる。この機能は無料プランを含むすべてのプランで利用可能だ。

  • 設定画面で「コード実行とファイル作成」をオンにする

    設定画面で「コード実行とファイル作成」をオンにする

配布前に確認すべき4つのポイント

Claudeが作った議事録は、そのまま配布せずに必ず自分の目で確認する。特に次の4点は重点的にチェックしておきたい。

決定事項は本当に決まったことか

議事録で最も影響が大きい誤りは、まだ決まっていないことが「決定事項」として書かれてしまうことだ。配布された議事録は、後になって「決まったこと」の根拠として扱われてしまう。決定事項の欄は、会議での合意と一致しているかを1項目ずつ確かめたい。

担当者や期限が勝手に埋められていないか

素材に書かれていない担当者や期限が入っていないかを確認する。【要確認】と指示していても、文脈から推測して埋めてしまう場合がある。空欄のまま残っている項目は、配布前に関係者へ確認して埋めておこう。

日付や曜日、数値は正しいか

相対的な日付を具体的な日付に直す作業は、Claudeが間違えやすい部分の1つだ。「来週金曜」が本当にその日付になっているか、曜日が合っているかはカレンダーで確かめておきたい。予算や数量などの数値、人名や社名などの固有名詞も、元のメモや文字起こしと照らし合わせておくと安心だ。

発言のニュアンスが変わっていないか

整理の過程で、懸念や反対意見が弱められたり、逆に強められたりすることがある。ケース1の例でいえば、山本さんの「懸念」が反対意見のように書かれてしまうと、受け取る側の印象は大きく変わってくる。特に、他部署の人の発言をまとめた部分は慎重に読み返したい。

最終確認は必ず人間がやる

議事録づくりの手間の多くは、雑多な素材から要点を抜き出し、決まった型に並べ直す作業にある。その整理の部分をClaudeに任せれば、会議後の作業時間は短縮できるはずだ。

ただし、議事録は「会議で何が決まったか」を後から証明する文書でもある。ハルシネーションのリスクも念頭に置きながら、決定事項、担当者、期限といった重要な部分は、会議に出席した人間が責任を持って確認しよう。