お掃除ロボットではなく、お片付けロボットが登場
CEATEC JAPAN 2018にてPreferred Networks(PFN)は、家庭内の散らかったさまざまなモノを、自動で決まった場所に戻してくれる「全自動お方付けロボットシステム」を、開発中のパーソナルロボットシステムの技術デモとして公開している。
近未来のロボットが当たり前に活躍している世界をイメージして開発されたもので、トヨタ自動車が開発している生活支援ロボット「HSR(Human Support Robot)」をベースに、PFNのディープラーニング技術を組み合わせることで実現したもの。これを実現する上で、ロボット自身が、落ちているものが何であるかを判断する目と、時には家族と、その物体は、こっちに持ってきて、といったようなコミュニケーションをとるための耳と口を実現するのが難しい課題であったという。
例えば、物体認識(目)としては、従来は決まった形のものを認識することが多かったが、家庭の中であれば、脱ぎ捨てられた服や、特撮ヒーローに変身するための変身アイテムなど、形が複雑なものであっても、それが何であるかを認識する必要があった。また、自然な会話、コミュニケーションを実現するためには、言語を理解する必要があり、こっち、あっち、そっち、といった人間同士であれば、よく使うようなフレーズも、その意味も含めて、認識させる必要があったとのことで、今後もこうした研究開発は継続していくとしている。
家庭でロボットが生活を助けてくれる未来
同社の創業者 兼 代表取締役副社長である岡野原大輔氏によると、「片付けという行為には、いろいろなタスクが入っていることもあり、狙ってやったところがある」とし、「例えば、床のどこにモノが落ちているのかを認識、その落ちているモノがなんであるかを理解、それをピックアップして、決められた場所を覚えて、そこまで把持しながら運ぶ、といった一連の動作が求められる。これだけでも実現できれば、今後、いろいろな問題を解決していけると思っている」と、片付けを選んだ理由を説明する。
また、デモ展示の意図については、「今回の展示で、ロボットが家庭内に入ったら、どんな感じになるかを理解してもらえればと思う」と説明する一方で、家庭内に入るためには、認識できる日用品の数を数千点、数万点のオーダーにまで増やす必要があるなど、まだまだ課題があり、しばらく先になるとの見方を示す。
とはいえ、技術的な課題としてソフトウェア、ハードウェアともに見えてきたところもあるとのことで、今後はそうした課題を1つずつ解決していくほか、複数の用事をこなすことが求められることになるため、用事をこなせるアプリケーションを複数用意されている状態で、そこから用途ごとに選択していける状態になっている必要もあるとのことで、そうしたサービスプラットフォームの構築なども考えていきたいとしていた。