今回は、「円グラフ」の見た目を改善するカスタマイズについて紹介していこう。円グラフを見やすくするには、データラベルを自由に扱えるようになる必要がある。このカスタマイズ方法を学ぶだけで、円グラフの見た目を大幅にブラッシュアップできるはずだ。円グラフを作成する場合に備えて、必ず覚えておこう。

データ ラベルのカスタマイズ

 Excelにより自動作成される「円グラフ」は、「単に円グラフを作成しました」というだけの、訴求力に欠ける円グラフにしかならないのが一般的だ。これを改善するには、

 ・グラフの色を変更する
 ・「凡例」がなくても理解できるように工夫する

などのカスタマイズが必要となる。これらについては前回の連載で紹介した通りだ。まだ読んでいない方は、先に目を通しておくとよいだろう。これらのカスタマイズを行うと、円グラフの見た目は以下の図のようなる。

  • 前回の連載で作成した円グラフ

作業しやすくなるように、グラフのサイズを少し大きくしておこう。この操作は、四隅や上下左右にあるハンドルをドラッグすると実行できる。

  • グラフのサイズ変更

続いて、中途半端なデザインになっている「吹き出し」を何とかしていこう。そのためには「データ ラベル」の設定を最初からやり直さなければならない。「グラフ要素」のアイコンをクリックし、「データ ラベル」をOFFにして削除する。

  • 「データ ラベル」の削除

その後、もういちど「グラフ要素」をクリックし、「データ ラベル」→「その他のオプション」を選択する。

  • 「その他のオプション」の選択

すると、ウィンドウ右側に「データ ラベルの書式設定」が表示される。この設定画面を使うと、円グラフに表示する文字を自由に変更することが可能となる。

今回の例では、各データの「分類名」と「パーセンテージ」を表示したいので、これらの項目をONにする。一方、各データの「値」は不要なのでOFFにする。「引き出し線を表示する」の項目は、初期設定のままONにしておけばよい。

  • 表示する項目の指定

上記のように設定を変更すると、「分類名」と「パーセンテージ」が記されたデータ ラベルが円グラフに表示される。

  • カスタマイズした「データ ラベル」

これでシンプルかつスマートな円グラフに仕上げることが可能となる。続いては、表示された文字(データ ラベル)の書式や配置を調整していこう。

グラフ内の文字の書式指定

まずは、文字の書式を指定する。いずれかの文字(テキストボックス)をクリックすると、「データ ラベル全体」が選択される。この状態で「ホーム」タブを選択し、文字の書式を指定する。今回の例では、文字サイズを大きくし、太字を指定した。

  • 「データ ラベル」の文字の書式指定

全体のバランスをとるために、「グラフ タイトル」の書式も変更しておこう。こちらも文字サイズを大きくし、太字を指定した。

  • 「グラフ タイトル」の文字の書式指定

これで、データ ラベルの視認性を改善することができた。続いては、各ラベルの配置を調整していこう。

データ ラベルの配置調整

「データ ラベル」の配置を調整するには、それぞれのラベルを個別に選択する必要がある。この操作は、ラベルの文字を2回クリックすると実行できる。1回目のクリックで「データ ラベル全体」が選択され、2回目のクリックで「各ラベル」が個別に選択される、という仕組みだ。

  • 「データ ラベル」の個別選択

ラベルを個別選択できたら、テキストボックスの枠線をドラッグして位置を調整する。同様の操作を各ラベルで繰り返すと、以下の図のように、「データ ラベル」の配置を整えることができる。

  • 配置を調整した「データ ラベル」

もちろん、各ラベルの「テキストボックスのサイズ」を変更することも可能だ。この操作は、ラベルを個別選択したあと、四隅や上下左右にあるハンドルをドラッグすると実行できる。

  • 「データ ラベル」のサイズ変更

ここまでの作業が済むと、シンプルで見やすい円グラフの作成は完了となる。以降に紹介するカスタマイズは、状況に応じて活用していけばよい。

小数点以下の表示桁数を変更するには?

前述した手順で円グラフをカスタマイズしていくと、各データの割合を「▲▲%」と示すことが可能となる。ただし、状況によっては、この割合を「小数点以下1桁まで表示したい」という場合もあるだろう。そこで、小数点以下の表示桁数を変更する方法を紹介していこう。

「グラフ要素」のアイコンをクリックし、「データ ラベル」→「その他のオプション」を選択して「データ ラベルの書式設定」を開く。

  • 「その他のオプション」の選択

小数点以下の表示桁数は「データ ラベルの表示形式」で指定する。「ラベル オプション」の下にある「表示形式」をクリックして、設定項目を画面に表示する。続いて、カテゴリに「パーセンテージ」を指定し、小数点以下の桁数に「1」を指定する。

  • 表示形式の指定

上記のように設定を変更すると、データ ラベルの「パーセンテージ」を小数点以下1桁まで表示できるようになる。

  • 小数点以下1桁まで表示した「データ ラベル」

もちろん、同様の手順で、小数点以下を2桁や3桁に変更することも可能だ。「データ ラベルの表示形式」はデータ ラベルの表示形式を指定するもので、基本的には「セルの表示形式」と似たような考え方になる。コードを使ってオリジナルの表示形式を作成することもできるので、気になる方は研究してみるとよいだろう。

グラフに効果を指定する

最後に、「図形の効果」を追加して円グラフの見た目を改善する方法を紹介しておこう。円グラフの各データ(扇形)には、白色の枠線が描画されている。ただし、円弧の部分は「背景の白」と同色になるため、枠線を視認することはできない。

そこで、円グラフ全体に「影」を付けてみよう。いずれかのデータ(扇形)をクリックして、「データ系列全体」を選択する。

  • 「データ系列」の選択

続いて、グラフ ツールの「書式」タブを選択し、「図形の効果」→「影」→「影の種類」を指定する。

  • 「影」の効果を指定

すると、円グラフの表示が以下の図のようになり、「白の枠線」を認識しやすいデザインになる。

  • 「影」を追加した円グラフ

このカスタマイズは「個人的な趣味の問題」ともいえるが、「図形の効果」を上手に活用できるとグラフ作成の幅が広がるのも事実。こちらも、気になる方は試してみるとよいだろう。