この半導体ニュースのまとめ

・スタンレー電気傘下のHexaTechが直径100mmの単結晶AlN基板を製品化
・深紫外LEDや高電圧スイッチングデバイス、衛星通信向けRF部品などに展開
・基板の大口径化によって生産性を高め、今後は直径150mm以上を目指す

スタンレー電気は11月6日、半導体基板を開発・製造する米国子会社のHexaTechが、直径100mmの単結晶窒化アルミニウム(AlN)基板を製品化したことを発表した。

HexaTechは20年以上にわたり、単結晶AlN基板の研究開発と量産技術の高度化を進めてきた。2026年2月には直径3インチ(76.2mm)の基板を製品化しており、今回さらに直径100mmまで大口径化した。

基板の大口径化によって、1枚の基板から製造できるデバイス数を増やし、生産性の向上とデバイスコストの低減につなげる。今後は直径150mm以上の単結晶AlN基板の実現を目指すとしている。

  • 直径100mmの単結晶AlN基板

    直径100mmの単結晶AlN基板 (出所:スタンレー電気)

深紫外LEDや高電圧スイッチングデバイスに展開

単結晶AlNは、シリコン(Si)よりも広いバンドギャップを持つワイドバンドギャップ半導体材料の1つ。高い耐圧性や熱伝導性などの特性から、高電圧や高温環境で使用する次世代パワー半導体、高周波デバイス、発光デバイスへの活用が期待されている。

HexaTechは単結晶AlN基板の用途として、除菌用途に用いる深紫外LED、生物学的脅威の検知などに用いる深紫外レーザー、高効率な電力変換を担う高電圧スイッチングデバイス、衛星通信向けRF部品を挙げている。

深紫外LEDや深紫外レーザーでは、AlNと格子定数や熱膨張係数が近いAlGaN系半導体層を形成するための基板として利用できる。高品質な単結晶基板を使用することで、結晶欠陥を抑え、発光効率やデバイスの信頼性を高められる可能性がある。

また、高電圧スイッチングデバイスでは、AlNの広いバンドギャップと高い絶縁破壊電界を生かし、電力変換時の損失低減や高耐圧化につなげることが期待される。

100mm化でデバイスの量産性を向上

半導体基板を大口径化すると、1枚の基板から取得できるチップ数を増やせるほか、製造装置による処理回数や基板交換に伴う時間を抑えられる。

基板の外周部では製造条件が安定しにくく、製品として利用できない領域が生じる場合がある。基板を大口径化すれば、基板全体に占める外周部の割合を小さくし、材料の利用効率を高められる可能性もある。

一方、単結晶基板の大口径化では、結晶の成長中に生じる欠陥や応力、反りなどを抑えながら、基板の面内で品質を均一にする必要がある。

HexaTechは、単結晶AlNの材料・製造技術を20年以上にわたって蓄積してきた。今回の100mm基板の製品化により、研究開発向けの小口径基板から、量産性を重視するデバイス製造へ適用範囲を広げる。

次の目標は直径150mm以上

HexaTechは2001年に設立され、米国ノースカロライナ州を拠点に、単結晶AlN基板の開発・製造を行っている。スタンレー電気は2020年に同社を完全子会社化した。

スタンレー電気は、自社の深紫外LEDやレーザーを含む光デバイス技術と、HexaTechの単結晶AlN基板技術を組み合わせ、基板から発光デバイスまでの技術開発を進めている。

今後は直径150mm以上への大口径化を進める予定で、実現されれば、既存の150mm対応半導体製造装置や製造ラインを活用しやすくなり、AlNを用いた発光デバイスやパワーデバイス、高周波デバイスの量産拡大につながる可能性が広がることとなる。