
プルデンシャル事件の教訓
不祥事が続くプルデンシャル生命保険に対し、金融庁が一部業務の停止命令を出した。今年2月から11月まで新規営業活動を自粛してきたが、それが来年1月まで延長される。同社の一部社員が関与した顧客からの金銭詐取による被害額は60億円超にのぼるという。
この数字は顧客の申告を基にしたもので、兄弟会社のジブラルタ生命保険の不正も含め、これから被害額の実態が明らかになるであろう。なぜ、このような不正が長く続いたのか?
同社では、この種の不正が1990年代から横行していたという。過度な成果主義が不正の土壌になっていたというが、安心・安全を得るための保険会社の社員が顧客の金銭を詐取するなど言語道断であり、会社のガバナンス(統治)が機能していなかったということだ。
すでに悪質な事例の社員64人を解雇したということだが、それで事が済むわけではない。ライフプランナーと呼ばれる営業部隊に対して、個人任せにしていた企業体質の改善は不可欠であり、個人も組織の一員として自らはどう生き、どう働くかを考え直す時だ。
やり手営業マンと評価される人物が、不正を働き営業実績をあげていることを、周囲が見過ごしていたとしたら、それも組織運営の不手際と言わざるを得ない。
『天網恢恢疎にして漏らさず』―─。網の目が粗く見えても、天は悪事を決して見過ごさないということは昔から言われてきたこと。人と人のつながりが弱くなり、個人の損得だけに関心が向きがちな現代にあって、1人ひとりが原点に立ち返る時である。
ビール大手4社の価格カルテル問題が指摘された。人口減、アルコール離れによる市場縮小で、各社の営業担当がカルテルを話し合っていたとしたら、これも顧客(市場)への背信行為だ。背景に原材料やエネルギー、配送コストが上昇し、収益が圧迫されているという事情があったとしても、同業者が秘密裏に相談し、価格を調整していたとしたら、これは本道から外れた行為ということになる。
天は見ている─―。今一度、この言葉に、企業のトップはもちろん、社員1人ひとりが思いを致すことが大事だと思う。