このものづくりニュースのまとめ
・名古屋大学フォーミュラチームが学生フォーミュラ日本大会のEVクラスで4連覇
・動的競技3種目で1位となり、アクセラレーションとスキッドパッドで大会記録を更新
・静的競技でもデザインとコストで1位、最軽量化賞など複数の特別賞を獲得
Mouser Electronics(マウザー・エレクトロニクス)が支援する名古屋大学(名大)フォーミュラチームが、「第24回学生フォーミュラ日本大会2026」において、動的競技と静的競技の合計得点でEVクラス総合1位を獲得し、4年連続の同クラス総合1位を達成した。
学生フォーミュラ日本大会は、大学や専門学校などの学生がレーシングカーを企画、設計、製作し、車両の走行性能だけでなく、設計、製造コスト、事業提案などを含めた総合力を競う大会。実際のものづくりに近い環境で、車両開発に必要な技術力や課題解決力、チームワーク、プロジェクト推進力を評価する。
名古屋大学フォーミュラチームは、2023年からEVクラス総合1位を続けており、今回の大会で4連覇を達成した。2026年大会では、車両の走行性能を競う動的競技に加え、設計やコストなどを評価する静的競技でも複数の種目で1位となった。
動的競技3種目すべてで1位
動的競技では、加速性能を競う「アクセラレーション」、8の字コースで旋回性能を競う「スキッドパッド」、約800mのコースを走行して総合的な車両性能を競う「オートクロス」の3種目すべてで1位を獲得した。
アクセラレーションでは4年連続の1位となり、大会記録を0.074秒更新した。短い直線区間で加速性能を競う同種目では、モーターの出力性能だけでなく、インバータやバッテリの制御、車両重量、タイヤのグリップ、駆動力の伝達効率など、EVを構成する複数の設計要素が走行タイムを左右する。
スキッドパッドでも大会記録を0.208秒更新した。同種目では、8の字コースを走行して車両の旋回性能を評価するため、タイヤやサスペンション、車体剛性、重量配分、空力設計などを含めた車両全体の完成度が問われる。
このほか、加速、旋回、制動などを組み合わせたコースで走行性能を競うオートクロスでも1位となり、動的競技3種目を制した。
一方、長距離走行によって車両の耐久性と効率を評価するエンデュランス・効率競技は、大会日程の変更により実施されなかったという。
デザインとコストでも1位を獲得
車両の設計思想や製造プロセスなどを審査する静的競技でも、名古屋大学フォーミュラチームは高い評価を得た。
車両の設計内容や採用技術、設計判断の妥当性などを審査する「デザイン」と、車両製作費やコスト計算書類の正確性、分かりやすさを評価する「コスト」の両部門で1位を獲得。静的競技の合計得点でも1位となった。
また、製作した車両を題材として事業戦略を提案する「プレゼンテーション」では2位を獲得し、前年から順位を大きく引き上げたという。
学生フォーミュラでは、単に速い車両を製作するだけでなく、なぜその設計を選択したのか、設定した性能をどのように実現したのか、限られた予算の中で製造コストをどう管理したのかといった開発プロセスも審査対象となる。
同チームが動的競技と静的競技の双方で1位を獲得したことは、車両の走行性能に加えて、設計やコスト管理を含むプロジェクト全体の完成度が評価された結果といえる。
EVクラス最軽量の車両を実現
特別賞では、EVクラスで最も軽量な車両に贈られる「最軽量化賞」を受賞した。
EVでは、走行用バッテリやモーター、インバータなどの搭載により車両重量が増加しやすい。車両の軽量化は加速性能や旋回性能、電力効率の向上につながる一方、必要な強度と剛性、安全性を確保する必要があるため、材料選定や構造設計、部品配置の最適化が重要となる。
このほか、軽量化や強度、剛性、外観などの観点からコンポジット部品の完成度を評価する「ベストコンポジット賞」で2位を獲得。ドライバーの操作性や乗降性、運転姿勢などを評価する「エルゴノミクス賞」では3位となった。
最軽量化賞とベストコンポジット賞の受賞は、炭素繊維強化プラスチックなどの複合材料を含め、重量を減らしながら車両に必要な強度や剛性を確保する設計と製造技術が評価されたことを示している。
学生によるEV開発を通じて次世代技術者を育成
学生フォーミュラ日本大会では、車両の構想から設計、部品調達、製造、組み立て、走行試験、大会運営への対応まで、学生が主体となってプロジェクトを進める。
EVクラスでは、車体やサスペンション、ブレーキといった機械系の技術に加え、モーター、インバータ、バッテリ、電源回路、センサ、制御ソフトウェアなど、電気・電子系の幅広い知識が必要となる。
また、各システムを個別に高性能化するだけでなく、限られた車体寸法や重量、予算、開発期間の中で統合し、安全かつ安定して動作させるシステムエンジニアリングの考え方も求められる。
マウザーは、次代の技術者を育成するという学生フォーミュラ日本大会の目的に賛同し、スポンサーとして大会運営を支援している。
同社は半導体や電子部品、産業用オートメーション製品の正規販売代理店として、1200社以上のメーカーブランドから680万点以上の製品を取り扱う。設計エンジニアに向けて製品データシートやリファレンスデザイン、アプリケーションノート、技術解説なども提供している。
名古屋大学フォーミュラチームは、走行性能だけでなく、設計、コスト、プレゼンテーションを含めた総合力によってEVクラス4連覇を達成した。学生が実際のEV開発を経験する取り組みは、自動車の電動化や高度化を支える次世代エンジニアの育成にもつながることとなる。
