このものづくり関連ニュースのまとめ
・ミスミが次世代基幹システム「NEWTON」をグローバル全13カ国・地域へ導入
・数日から数週間かかった大口注文の見積もり・調達を数分程度へ短縮
・将来はBOMを基にAIが部品選定から注文までを担う完全自動調達へ拡張
ミスミグループ本社は11月4日、次世代基幹システム「NEWTON」の導入を、2026年9月までにグローバル全13カ国・地域の現地法人で完了したと発表した。
NEWTONは、顧客、サプライヤー、ミスミをつなぐ基幹システム。ミスミが取り扱う4000万点超の商品と、世界800社以上のサプライヤー在庫、同社の生産能力を連携させ、見積もりから注文、納期回答までを共通のシステム基盤で処理する。
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NEWTONの概略図。顧客、サプライヤー、ミスミをつなぐ次世代基幹システムであり、世界800社以上のサプライヤーの在庫とミスミの生産能力を連携させ、見積もりから注文、納期回答までを支援する (出所:ミスミグループ本社)
同社は2020年から約6年をかけて基幹システムを全面刷新した。従来のシステム保守を目的とするだけでなく、顧客の待ち時間を減らし、新たな調達サービスを迅速に提供する「攻めの事業基盤」と位置付けている。
数千点規模の大口注文を数分で処理
従来、数千点に及ぶ大口注文では、複数拠点やサプライヤーから在庫を集め、価格や納期を確認するため、見積もりと調達に数日から数週間を要する場合があった。
NEWTONでは、世界のサプライヤー在庫とミスミの生産能力をリアルタイムで統合する調達サービス「D-JIT」と連携。顧客は在庫の所在地を意識することなく、ECサイト上で納期回答を受け、数分程度で注文を完了できるようになった。
AIチャットサービスともAPIで連携し、発注後の変更やキャンセルに24時間365日対応する。これにより、顧客の待ち時間を85%削減したほか、回答数は従来比2.5倍へ増加。有人対応が必要なチャット件数は半減したという。
開発速度3倍、コストは3分の1に
旧システムは、多くの機能が一体化したモノリシック構造を採用しており、商品やサービスを追加するほど、新機能の開発や変更に時間がかかることが課題となっていた。
NEWTONでは、SAPを中心とするコアシステムの周囲に、独立した小規模な機能を配置するマイクロサービス構造を採用した。必要な機能を柔軟に組み合わせ、外部の生産管理システムやAIエージェントとAPIで接続できる。
システム刷新によって、開発速度は従来比3倍、開発コストは3分の1となった。各国・地域の商習慣や要件に応じた機能追加、新サービスの導入にも迅速に対応できるとしている。
外部の生産管理システムとミスミの商品データベースを接続すれば、見積もり、注文、納品情報の取得などを顧客側のシステム上で完結できる。担当者が複数のシステム間で情報を入力・確認する作業を減らし、購買業務の効率化につなげる。
BOMの登録だけでAIが部品を選定・発注
NEWTONでは、基幹データを安全に参照・更新するためのAPIも整備した。ミスミは、全社でAIを活用できる「AI-ready」な状態を構築したとしている。
将来は、顧客がBOM(部品構成表)をアップロードすると、AIが世界中の在庫や納期、価格などを基に適切な部品を選び、注文まで自動で完了する「完全自動調達」への拡張を目指す。
サプライヤーも、ミスミの発注予定や在庫状況をリアルタイムで把握できるようになるため、需要を予測した計画的な生産が可能になるという。
ミスミは、AIによる商品情報管理や顧客対応の自動化も進めている。NEWTONを共通基盤とすることで、個別のAI機能を調達や在庫、受注、顧客対応へ広げやすくする。
ロボティクスや航空宇宙の調達にも展開
ミスミは、NEWTONを通じて世界で同様の調達サービスを提供できる環境を整えた。
製造装置や金型向け部品だけでなく、開発速度が重視されるアグリテック、ロボティクス、航空宇宙などの成長産業にも、短納期の部品調達とデジタルサービスを展開する。
同社は、4000万点を超える品ぞろえとサプライヤー網、グローバルの生産能力、AIを接続することで、部品を探す、見積もる、納期を確認する、発注するといった調達業務の自動化を進めるとしている。