この半導体ニュースのまとめ

・MicrochipがPolarFire FPGA/SoC向けにEtherCATとTSN機能を追加
・EtherCATは10/100/1000Mbps、TSNは確定的な1Gbps Ethernet通信に対応
・産業用ロボットやモーション制御、工場自動化、AMRなどの開発を支援

Microchip Technologyは、同社の産業用エッジ ネットワーキング ソリューション スタックを拡充し、PolarFire FPGA/SoC向けにEtherCATおよびTSN機能を追加したと発表した。

Beckhoff AutomationのEtherCAT IPはPolarFire FPGAとPolarFire SoCの両方に対応し、MicrochipのTSN IPはPolarFire SoCで利用できる。

ハードウェア、IP、開発ツール、リファレンス デザインを組み合わせたソリューション スタックとして提供し、産業用ネットワーキング、AI、機械学習、セキュリティ重視のアプリケーション開発を支援する。

  • PolarFire FPGAとSoCを活用した産業用エッジ ネットワーキング ソリューション

    MicrochipのPolarFire FPGA/SoCを活用した産業用エッジ ネットワーキング ソリューションのイメージ。EtherCATとTSNによる確定的なリアルタイム通信に対応する (出所:Microchip Technology)

EtherCATは最大1Gbps、TSNも1Gbpsに対応

BeckhoffのEtherCAT IPは、10/100/1000MbpsのEtherCAT接続をサポートする。MicrochipのTSNソリューションは、IEEE 802.1 TSN規格を用いた確定的な1Gbps Ethernet通信に対応する。EtherCATは、産業用機器間における低遅延のリアルタイム通信に用いられる。TSNは、標準Ethernet上で通信時間や遅延を制御し、重要度の異なるデータが混在するネットワークでも、予測可能な通信性能を確保するための技術となる。

両技術をPolarFireプラットフォームへ統合することで、接続機器間の相互運用性を確保しながら、拡張可能な産業用ネットワークを構築できるようにする。

AIが動作する産業用エッジをリアルタイム接続

産業用システムでは、AIを活用したオートメーションやロボティクス、インテリジェント エッジ コンピューティングの導入が進んでいる。

AIによる画像認識や状態判断を生産設備の動作へ反映するには、センサ、コントローラ、ロボット、モータなどの間で、遅延や揺らぎを抑えたリアルタイム通信が必要となる。

Microchipは、産業用ネットワークがよりインテリジェントかつ分散型、データ駆動型へ移行する中、応答性と拡張性を備えたシステムの開発には確定的なネットワーク技術が必要になるとしている。

EtherCATとTSNをFPGAへ統合することで、ネットワーク処理やリアルタイム制御、AI処理などを、システム要件に合わせて組み合わせられるようにする。

不揮発性アーキテクチャで即時起動

産業用エッジ ネットワーキング ソリューション スタックの基盤には、低消費電力を特徴とするPolarFire FPGA/SoCを採用する。

PolarFireデバイスは、不揮発性アーキテクチャによる即時起動に対応する。外部メモリから設定データを読み込む構成と比べて、電源投入後に短時間でシステムを立ち上げられる。

セキュリティ機能として、セキュアブートや耐タンパ保護なども搭載する。

柔軟なFPGAファブリックを利用してEtherCATとTSNを統合できるほか、産業用ネットワークの構成や規格、接続機器の変化に応じて機能をカスタマイズできる。

リアルタイム処理、高い信頼性、エネルギ効率、セキュリティを1つのプラットフォームで提供し、産業用ネットワークの複雑化を抑える考えだ。

産業用ロボットやAMRなどを対象

主な対象アプリケーションには、モーション制御、産業用ロボット、組み込みビジョン、ファクトリ オートメーション、自律移動ロボット(AMR)が含まれる。

このほか、車載システム、スマート インフラストラクチャ、航空宇宙/防衛プラットフォームなどへの展開も想定している。

例えば産業用ロボットでは、カメラやセンサで取得した情報を基にAIが周囲の状態を認識し、その判断結果をEtherCATやTSNを介してモータ制御へ反映するといった構成に利用できる。

AMRでは、ビジョンやセンサ処理、走行制御、上位システムとの接続など、処理内容や通信要件の異なる機能を共通のFPGA/SoCプラットフォームへ実装可能となる。

Libero SoCと評価用ハードウェアを提供

PolarFire FPGA/SoC向け産業用ネットワーキング ソリューションは、Microchipの「Libero SoC」設計スイート、IPコア、リファレンス デザインによってサポートされる。

迅速な評価とプロトタイピングに向けて、Dual-Port Gigabit Ethernet FMCカード「ETH-DC-DUALGBE」と、PolarFire SoC Video Kit「MPFS250-VIDEO-KIT」も利用できる。

開発者は、EtherCATとTSNのIP、開発ツール、評価用ハードウェアを組み合わせ、産業用エッジ ネットワークの評価から試作、システムへの実装までを進められる。

Microchipは、低消費電力のPolarFire FPGA/SoCにリアルタイム ネットワーキング機能を追加することで、AIオートメーション、ロボティクス、インダストリー4.0に向けた産業用エッジ システムの開発を支援するとしている。