この半導体ニュースのまとめ
・TOTOが豊前工場に約600億円を投じ、半導体部材の次世代品生産施設を新設
・静電チャックとAD部材を生産し、2029年度上期の稼働開始を予定
・中津市の2工場にも約110億円を投じ、AD部材の次世代品を2028年度内に生産へ
TOTOは10月30日、福岡県豊前市の「TOTOファインセラミックス豊前工場」に、半導体製造装置向けセラミック製品の次世代品を量産する生産施設を新設すると発表した。
投資額は約600億円で、建築面積は約1万2000m2、延べ床面積は約3万6000m2。鉄骨造りの地上3階建てで、同社のセラミック事業における生産施設として最大規模の建屋になるという。
新施設では、セラミック事業の主力製品である静電チャックとAD部材の次世代品を生産する。2029年度上期の生産開始を予定している。
AI半導体向けの静電チャックを増産
静電チャックは、半導体製造装置内でシリコンウェハを固定する部材で、主にエッチング工程で使用される。
3D NANDなどのメモリでは、メモリセルの積層数増加に伴って、より深い構造を形成するためにプラズマの高出力化が進んでいる。このため、装置内部で長時間プラズマにさらされる静電チャックには、従来以上の耐久性や品質が求められる。
TOTOは、耐プラズマ性に優れた高品位な材料を用い、高純度で緻密なセラミック焼成体を形成することで、プラズマによる腐食を抑えている。
新施設では、先端半導体製造装置に求められる耐久性や機能を備えた次世代静電チャックの量産体制を構築する。
「焼かないセラミック膜」でパーティクルを抑制
AD部材は、エアロゾルデポジション(AD)法によってセラミック膜を形成した半導体製造装置向け部材である。
AD法では、セラミック微粒子をガスへ混ぜ、音速に近い速度で基材へ衝突させることで、常温環境下で緻密なセラミック膜を形成する。焼成工程を必要としないため、一般的な焼結セラミックスで生じる微細な孔が形成されにくく、プラズマによる浸食を抑えられることを特徴とする。
エッチング装置の内部部材へAD膜を形成することで、プラズマによる部材の劣化とパーティクルの発生を抑え、シリコンウェハへの付着による不良の低減につなげる。
TOTOは、AD法を用いた製品を半導体製造装置向けに世界で初めて実用化・量産化したとしている。次世代品では、ロジック半導体の微細化に伴って厳しくなるパーティクル抑制要求への対応を進める。
中津の2つの工場にも約110億円を投資
AD部材については、豊前工場の新施設に加え、大分県中津市の「TOTOサニテクノ本社・中津工場」と「TOTOファインセラミックス本社・中津工場」にも、次世代品の生産設備を導入する。
2工場への投資額は約110億円で、2028年度内の生産開始を予定する。
この投資は、2026年4月に公表したセラミック事業の成長投資計画に含まれる。既発表の焼成棟と研究開発棟を含め、同計画の投資総額は当初の約300億円から約330億円となった。
豊前工場への約600億円の投資は、この約330億円とは別に計画されていた大規模な生産増強投資に当たる。
TOTOは、AI半導体やデータセンター向けを中心とする先端半導体需要の拡大を見据え、静電チャックとAD部材の次世代品を先行して増産できる体制を構築する。生産と研究開発の双方へ継続的に投資し、半導体製造装置のキーパーツを通じて半導体の高性能化を支援するとしている。
