矢野経済研究所とJAPAN AIは10月22日、矢野経済研究所が保有する調査レポートなどを生成AIで検索・分析できる新サービス「YDBエージェント」を発表した。
約1,000タイトルの調査レポートを活用し、市場情報の検索やサマリーレポートの作成、経営分析、事例収集を支援する。両社は2026年4月に業務提携し、矢野経済研究所の調査データとJAPAN AIのRAG(検索拡張生成)技術を組み合わせて共同開発を進めてきた。記者会見では、サービスの特徴や4つのAIエージェントの機能、開発の背景が紹介された。
矢野経済研究所の調査データとJAPAN AIの技術を組み合わせた「YDBエージェント」
矢野経済研究所とJAPAN AIが共同開発した「YDBエージェント」は、矢野経済研究所が蓄積してきた市場調査レポートなどのデータを、生成AIを使って検索・分析できるサービスだ。矢野経済研究所が保有する調査データとJAPAN AIのRAG(検索拡張生成)技術を組み合わせることで、利用者の質問に対して出典を明示した回答を生成する。
同サービスには、必要な情報を検索・抽出する「YDB Search」、市場の全体像を把握するための「サマリー作成」、経営分析などを支援する「フレームワーク分析」、企業や市場の事例を収集する「事例収集」の4つのエージェントを搭載している。利用者は目的に応じてエージェントを選択し、自然言語で質問することで、調査データを活用できる。
矢野経済研究所 代表取締役社長の水越孝氏は、一般的な生成AIが参照する情報には品質が不確かなものも含まれると指摘。そのうえで、同社の調査データについて「専任研究員が収集・分析したもので、情報出所も明確かつ高い信頼性を持つもの」と説明し、「矢野経済研究所のブランドで収集したファクトであるということが最大のアピールポイント」と強調した。
一方、JAPAN AI 代表取締役社長の工藤智昭氏は、2026年4月に発足したプロジェクトが約半年でサービスの発表に至ったことに言及。JAPAN AIの技術と矢野経済研究所の調査データを組み合わせることで、企業が安心して調査・分析に取り組めるようになると、サービスへの自信を示した。
両社の協業は、矢野経済研究所がAIを導入する際にJAPAN AIの支援を受けたことをきっかけに始まった。2026年4月1日に業務提携し、約半年で「YDBエージェント」の提供を実現した。
開発にあたっては、JAPAN AIが技術提供に加えてエンジニアを派遣し、両社で共同開発を進めた。JAPAN AIは、課題やテーマを設計するDS(Deployment Strategist)と、現場での実装を担うFDE(Forward Deployed Engineer)を同一チームで運用する体制を採用。工藤氏は、こうした伴走型の開発支援が、約半年という短期間でのサービス提供につながったと説明した。
約1,000タイトルの調査レポートを活用、4つのAIエージェントを搭載
「YDBエージェント」は、矢野経済研究所が保有する過去5年分、約1,000タイトルの調査レポートを参照できる。年間約250タイトルが追加されるほか、有価証券報告書や政府統計も参照対象となる。最新の調査レポートも発刊直後から反映され、生成された回答には出典が明示されるという。
目的に応じて使い分ける4つのAIエージェント
「YDBエージェント」では、利用目的に合わせて4つのエージェント「YDB Search」「サマリー作成」「フレームワーク分析」「事例収集」が利用できる。
「YDB Search」は、調査レポートから必要な情報や数値を検索・抽出する機能だ。市場規模や市場シェア、営業先候補などのデータを取得でき、表やグラフによる表示のほか、ExcelやPowerPointへの出力にも対応する。
「サマリー作成」は、特定の市場・業界テーマについての情報を横断的に収集・整理しサマリーレポートを作成する機能。構成案を確認したうえで、要点・図表・出典付きのレポートを生成する。PowerPointやExcelファイルの出力にも対応しており、市場調査レポートの初稿を数分で作成可能。
「フレームワーク分析」は、経営等の課題解決を目的とする質問に対して調査レポートや有価証券報告書、政府統計などの情報を基に、12種類の経営分析フレームワークに沿って情報を整理・出力する機能。新規参入検討や業界の競合分析など経営上の意思決定の叩き台として活用できる。
「事例収集」は、全調査レポート情報から質問に関する企業・市場の事例を収集し概要や詳細説明、出典付きで一覧表示する機能。新規参入、M&A、課題、成果、市場変化などの調査に利用できる。
入力データはAIの学習に利用せず、YDB会員向けに提供
データのセキュリティについては、利用者の入力内容や生成結果をAIの学習に利用せず、分析も行わないとしている。AIモデル提供者との契約とシステムの両面で、学習への利用を防ぐ措置を講じているという。
利用はサービスサイトにアクセスして、目的のエージェントを選び、調べる内容を自然言語で入力するだけでよい。2026年10月時点ではYDB会員が利用対象となっており、10月22日から提供を開始した。利用料金は問い合わせが必要。無料トライアルも実施しており、利用には問い合わせが必要となる。





