日立システムズは10月26日、AIを活用して自治体職員の業務改革や住民サービスの高度化を支援する自治体向けソリューションを、2027年から順次提供すると発表した。自治体向けソリューション「ADWORLD」で得た業務のデータやノウハウとAIを組み合わせ、政策立案や行政評価、住民への情報提供などにAIエージェントを活用する。

「HMAX by Hitachi」の新カテゴリー「HMAX Public Services」

新ソリューションは、日立グループの次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」の新カテゴリー「HMAX Public Services」を構成するソリューションの1つとして、展開していく。

  • 次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」の新カテゴリー「HMAX Public Services」シリーズの1つとして展開する

    次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」の新カテゴリー「HMAX Public Services」シリーズの1つとして展開する

日立システムズでは、自治体が保有する人口動態や行政サービスの利用状況、施策実績・行政評価などをAIで分析し、政策決定を支援する。

また、法令や庁内文書、過去の事例データなどを利用するAIエージェントを業務プロセスへ組み込み、職員の業務改革を進める。住民向けには、一人ひとりの状況に応じた情報提供などにAIを活用する。

AIエージェントで政策立案から行政評価まで支援

自治体業務改革では、日立システムズのBPR(Business Process Re-Engineering:業務再設計)の知見にAIとデータ活用を組み合わせ、課題解決方法の提案から実行までを支援する。自治体業務の知見を持つFDE(Forward Deployed Engineer:顧客先に入り込み支援するエンジニア)チームが職員に伴走し、現場の課題やニーズを踏まえてAIエージェントを開発・実装する。

具体的には、政策立案から実行、行政評価までを、自治体が保有するデータにもとづいてAIが提言するサービスを提供する。複数の自治体との共同研究を通じ、総合計画策定時の重点分野設定から政策の立案・実行、行政評価、その結果を踏まえた次の政策立案までを一連のプロセスとしてつなぐ。

住民向けサービスにもAIを活用する。ライフイベントや家族構成などに応じ、必要な行政手続きや助成制度をAIが住民ごとにプッシュ通知する仕組みを想定する。職員向けには法令や業務ルール、過去の対応事例などをAIで利用できるようにし、必要な行政サービスを住民へ提供する業務を支援する。

マイナンバー利用事務系で使えるセキュアなAI基盤

もう1つの柱が、マイナンバー利用事務系ネットワークでAIや行政データを活用するための基盤だ。自治体では住民記録や税、福祉、保険など機微な情報を扱うため、外部の生成AIサービスでの利用にはセキュリティ上の制約がある。

日立システムズは、ガバメントクラウドの非機能要件への対応に加え、機微データの誤入力への対策やAI固有のセキュリティ運用を備えた基盤を提供する。AIを活用したセキュリティ対策や運用高度化も進め、住民情報を含む行政データをAIで利用できる環境を整備する計画だ。

  • 提供予定のサービス

    提供予定のサービス

同社はすでに自治体との実証・適用を進めており、2025年度にはAWSジャパンと奈良県奈良市でマイナンバー利用事務系ネットワークにおける生成AI活用を検証し、有用性を確認したという。また、千葉県習志野市では2026年10月から実証を開始している。

今後は自治体との実証で得たAI・データ活用の知見をADWORLDへ蓄積し、有用性と安全性を確認した取り組みから順次サービス化する。さらに、コールセンターや住民向け発送物の確認などにもAIの活用範囲を広げ、全国の自治体への展開を目指す。