このものづくりニュースのまとめ
・ダッソー・システムズがNVIDIA GTC Berlin 2026でバーチャルツイン・ファクトリーを紹介予定
・バーチャルコンパニオンが要件定義から最終設計までエンジニアの意思決定を支援
・製造工程、科学研究、AIファクトリー設計へ産業AIとバーチャルツインを展開
ダッソー・システムズは、10月20日から22日まで独ベルリンにて開催されるNVIDIAの年次イベント「NVIDIA GTC Berlin 2026」において、AIを活用したバーチャルツイン・ファクトリーを紹介することを明らかにした。
同社はNVIDIAと長年にわたって協業しており、2026年2月には、バーチャルツインを支える産業AIプラットフォームの構築に向けた取り組みを発表している。
今回の展示では、バーチャルツイン、産業向け世界モデル、バーチャルコンパニオンを組み合わせ、エンジニアリング、製造、科学、AIインフラへ信頼性の高いAIを適用する方法を紹介するという。
AIが設計案を広げ、人間が主導権を維持
ダッソー・システムズは、継続的に動作するバーチャルコンパニオンとして「AURA(オーラ)」「LEO(レオ)」「MARIE(マリー)」を展開している。
これらのバーチャルコンパニオンは、複雑な産業タスクについて推論し、計画を立て、必要な作業を実行するエージェント型AIとして機能する。一方で、最終的な主導権は人間の専門家が維持する構成としている。
エンジニアリング分野では、バーチャルコンパニオンが要件定義から最終設計までエンジニアと連携する。AIが複数の設計候補を短時間で評価し、設計空間を広げることで、エンジニアがより多くの選択肢を比較できるようにして、AIが設計を一方的に決定するのではなく、設計候補の探索や比較を高速化し、その結果を基にエンジニアが判断する開発環境を目指すとする。
DELMIAで製造工程をバーチャル空間に再現
製造分野では、同社の「DELMIA」アプリケーションを活用し、生産システムのバーチャルツインを構築。展示では、製造工程をバーチャル空間に再現し、工程全体を自動化するエンドツーエンドのプロセスを紹介するという。
製造設備やロボット、作業工程の動きを現実の工場へ導入する前にバーチャル空間で検証することで、生産ラインの設計や変更による影響を確認できるようにする。物理的な設備を実際に動かす前に、設備配置や動作、工程間の連携をバーチャルツインで検証し、製造システムの構築や運用を支援する考えだ。
MARIEとBioNeMoで科学研究を支援
科学分野では、バーチャルコンパニオンのMARIEと、NVIDIAの「BioNeMo Agent Toolkit」を組み合わせた対話型ラボ環境を紹介する予定。BioNeMo Agent Toolkitは、汎用エージェント、科学分野に特化したエージェント、企業が独自開発したソフトウェアプラットフォームなどを、ライフサイエンス研究へ対応させるためのツール群となる。生物学、化学、創薬で利用できるツールに加え、それらのツールを使用して結果を解釈するための機能も提供する。
MARIEは、ダッソー・システムズが持つ科学分野の知見とBioNeMo Agent Toolkitを組み合わせ、科学研究のワークフローを支援するもので、科学文献やデータから情報を取得するだけでなく、研究者との対話を通じて必要なツールを使い、結果の解釈まで支援するエージェントの実現を目指すものとなるという。
NVIDIA DSXに基づくAIファクトリーを設計
AIインフラ分野では、バーチャルツイン、モデルベース・システムズ・エンジニアリング(MBSE)、LEOを組み合わせ、NVIDIA DSXリファレンスアーキテクチャに基づくAIファクトリーを設計、シミュレーション、検証する方法を紹介するとしている。
AIファクトリーは、AIモデルの学習や推論に必要な演算インフラを大規模に運用するデータセンターであり、コンピューティング設備だけでなく、電力供給や冷却、ネットワークなどをシステム全体で設計する必要がある。
ダッソー・システムズは、AIファクトリーを構成する複数の要素をMBSEで整理し、バーチャルツイン上でシステム全体をシミュレーションすることで、実際の建設や運用に先立って設計の妥当性を検証する取り組みを紹介する。
車両設計から工場までエージェント型AIを展開
なお、NVIDIA GTC Berlin 2026では、ダッソー・システムズの研究開発担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるFlorence Hu-Aubigny氏が、10月21日に「Virtual Companions: Industrial AI Agents at Work」と題して講演する予定で、バーチャルツイン・ファクトリーを支える技術と、バーチャルコンパニオンによる産業タスクの支援について説明するという。
また、10月22日には、DELMIA担当研究開発バイス・プレジデントのKarine Gosse氏と、SIMULIA担当研究開発バイス・プレジデントのChris Whiting氏が登壇。「Automotive’s Agentic Era: from vehicle design to the factory floor with virtual twins」と題し、産業分野の知識と物理法則に基づくモデルを活用し、車両設計から工場の製造工程までをバーチャルツインとエージェント型AIでつなぐ取り組みを紹介するとしている。
ダッソー・システムズは、バーチャルコンパニオンが設計候補を探索し、産業向け世界モデルとバーチャルツインが現実の物理現象や製造工程を再現・検証する産業AIアーキテクチャを構築することで、エンジニアリング、製造、科学研究、AIインフラの変革を支援していくとしている。