この半導体ニュースのまとめ
・インフィニオンとウルフスピードが200mm SiCウェハの複数年供給契約を締結
・20年以上にわたる供給関係を150mmから200mmへ拡張し、量産移行を支援
・EVや再生可能エネルギー、AIデータセンター向けSiC需要の拡大に対応
Infineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)とWolfspeed(ウルフスピード)は10月15日、200mm SiCウェハを対象とする複数年供給契約を締結したと発表した。
両社は20年以上にわたってSiCウェハの供給関係を構築しており、2024年1月には150mm SiCウェハの長期供給契約を拡大・延長していた。今回の契約は、その対象に200mm SiCウェハを追加することで、インフィニオンが進める150mmから200mmへの製造移行を加速されるものとなる。
200mm化でSiCパワー半導体の製造効率を向上
200mmウェハは、150mmウェハと比べて1枚当たりの使用可能なダイ面積を増やせるため、パワー半導体の製造効率向上と単位当たりの基板コスト低減が期待できるが、SiCウェハは結晶欠陥の制御や加工が難しく、ウェハの大口径化に伴って品質や歩留まりを安定させる技術も必要になることからなかなか量産レベルでの大口径化が進んでこなかった。
インフィニオンは、SiC基板を複数のサプライヤーから調達するマルチソース戦略を進めているが、今回、ウルフスピードから200mm SiCウェハを調達することで、200mmウェハベースのパワー半導体量産に必要な供給基盤を広げ、需要変動への対応力とサプライチェーンの柔軟性を高めることとなる。
インフィニオンの最高執行責任者(COO)であるAlexander Gorski氏も、顧客への長期的な供給責任を果たすには、高品質で強靭な200mm基板の供給確保が不可欠だと説明しており、今回の契約により安定供給を強化するとともに、将来の成長に必要な柔軟性と拡張性が高められることとなるとしている。
マレーシア・クリムの200mm SiC工場を調達面から支援
インフィニオンは、オーストリア・フィラッハ工場とマレーシア・クリム工場にて200mm SiCパワー半導体の生産を推進している。2025年2月に、200mm SiCウェハベースのパワー半導体製品の供給開始を発表したが、今回のウルフスピードとの契約は、インフィニオンにおける200mm SiC製造能力の拡大に向けた取り組みに対する、原材料のSiCウェハの供給を強化するものとなる。
一方のウルフスピードにとっては、長期契約を通じて200mm SiCウェハの供給先を確保し、SiC材料サプライヤとしての事業基盤を強化する狙いがあるといえる。ウルフスピードのCEOであるRobert Feurle氏も、今回の契約拡大はインフィニオンとの強固な関係を基盤としたものと説明しており、200mmウェハの追加により、インフィニオンの長期的なSiC需要を支援していくと語っている。
AIデータセンターがSiCの新たな需要先に
SiCパワー半導体は、スイッチング損失を抑えながら高温・高電圧環境で動作できるため、電気自動車(EV)のドライブトレイン、太陽光発電用インバータ、蓄電システム、産業用モータードライブなどで採用が進んでいる。
両社は、こうした既存用途に加え、AIデータセンターをSiCパワー半導体の新たな需要拡大領域と位置付けるとしている。AIデータセンターは、GPUをはじめとする演算装置の消費電力増加に伴い、電源システムを含め、全体的に変換効率の向上が求められるようになってきており、従来のシリコンベースを置き換える有力な選択肢として期待されている。
Yole Groupの調査によると、世界のSiCパワーデバイス市場は2024年の34億ドルから、2031年には111億ドルへ拡大する見通し。EV充電、再生可能エネルギー、蓄電システム、AIデータセンターなどが市場成長をけん引すると予測されており、ウルフスピードも2026年6月、AIデータセンター向け電源ソリューションの専任チームを設立するなど、高密度・高効率な電力変換に向けたSiCデバイスの展開を強化している。インフィニオンも200mm SiCウェハの供給元を広げながらクリムを中心とする生産体制を強化し、ウルフスピードは基板供給とパワーデバイスの双方でSiC市場の拡大を取り込むことを目指す。両社は20年以上にわたる供給関係を200mmへ広げることで、SiCパワー半導体の需要拡大と大口径化に対応していくとしている。