〝メリハリ消費〟や〝ギルティ消費〟を取り込め! 新需要創造へ、流通各社の『あの手・この手』

企業努力で利益の取れる価格設定を実現

 

「食料品、日用品の様々な商品の価格上昇が続いており、わたしたちはお客様の暮らしに寄り添いながら品質と価格の両立を実現したい。価格と品質のバランスの良さをお客さまにも是非体感していただきたい」 

 こう語るのは、イオンリテール執行役員 衣料本部長の小田嶋淳子氏。 

 物価高による消費者の節約志向が高まる中、イオンが10月から低価格のフリースを販売する。価格はなんと税抜き1000円。昨年、同社のフリースは2980円で展開していたから、約3分の1の価格設定だ。 

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 昨今のインフレ下でも来店客が手に取ってみたいと思える価格を考えた結果、1000円という価格設定になったというが、果たしてそれできちんと利益が取れるのか? この一品だけでは赤字でも衣料品売り場に顧客を呼び込むための〝捨て身〟の作戦ではないのかと思ったが、小田嶋氏は「利益を度外視することは無い」と強調する。 

 例えば、工場の閑散期に商品を生産したり、これまで人の手で行っていた生地の裁断やファスナーをつける作業などを自動化して生産効率をアップ。「お客様に還元するのが一番で、そこに向けてどれだけコストを低減できるか」と語り、こうした企業努力があって利益の取れる価格を実現できたという。

 

フリースやジーンズなどの衣料品を1000円で販売するイオン

 イオンは9月から1000円という低価格の衣料品を相次ぎ投入している。今回のフリースは、ジーンズやスウェットに続く第3弾。先行して9月7日から開始したジーンズは2カ月で販売する予定だった数量を約1カ月で達成したという。 

 帝国データバンクの調査では、今年9月の飲食料品値上げは合計4923品目。今年1年間の値上げは2万品目に到達することが確実となり、昨年(2万609品目)を上回る見通しだ。 

 そうした状況にあって、コンビニ業界を見渡すと、2週間限定で、具材を1種類に絞ることで同サイズのお弁当よりも価格を最大5割抑えた『一点突破すぎ!』シリーズと、具材の品質や量にこだわった『贅沢すぎ!』シリーズを販売しているのがローソン。 

 前者は具材を鮭のみやトウモロコシのみにした税込み297円などの低価格弁当であるのに対し、後者では具材の量を従来品に比べて約2倍にした冷やし中華などを販売。『肉オールスター弁当』の価格は税込み994円で、コンビニ弁当で1000円近い商品は珍しい。 

 ローソン理事執行役員 商品本部 統括部長の友永伸宏氏は「日々の暮らしは節約しながらも、自分へのご褒美や贅沢したいものにはお金をかける〝メリハリ消費〟が年々顕著になっている。節約と贅沢を兼ね備えた〝一人二極化〟とも言えるような状態になっていて、お客様の選択の幅を増やすことが大事。低価格から高価格までの価格の幅と商品の品質を両立させることが必要だ」と語る。 

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