【 金融庁 】金利上昇のリスクを警戒 不動産向け融資など監視強化

金融庁が金融機関の不動産業向け貸し付けや海外ファンド向け融資などの監視を強化している。いずれも資金需要は旺盛だが、インフレや財政不安などを背景に長期金利の上昇傾向が強まる中、不動産市況が悪化したり、人工知能(AI)関連の投資ブームが変調したりすれば、融資が不良債権化するリスクがある。

 9月中旬に公表した2026事務年度(26年7月‐27年6月)の金融行政方針では、金利の上昇や資金需要の増加に伴って銀行などの融資姿勢もアグレッシブになっていると分析。「金融機関の行動変容が金融システムの安定に及ぼす影響を注視する。リスクの蓄積が金融システム全体に及ぼす潜在的な影響もモニタリングする」と打ち出した。

 日銀によると、国内銀行の不動産業向け貸出残高は6月末時点で約123兆円と、過去最高水準となっている。地価上昇や建設・人件費アップを背景に大都市圏を中心に不動産価格が高騰し、銀行の一件当たりの融資規模も膨らんでいる。

 一方で、長期金利が3%を超えて約30年ぶりの高水準となる中、不動産市況が悪化するリスクが燻る。金融庁幹部は「1990年代後半のような不動産バブル崩壊が再来するとは考えていない」としつつも、金融機関の融資方針や審査・リスク管理体制を重点的に点検する構えを示す。

 金融行政方針で掲げた政策の遂行に向けて、伊藤豊長官はAIを積極的に活用して金融機関のモニタリング業務を効率化、浮いた人員を手薄になっている検査業務に回す方針も示す。金利上昇で金融機関の経営環境が大きく変化する中、金融システムの安定化を徹底できるか。有言実行が問われる局面だ。

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