富士通は10月9日、米ニューメキシコ州と量子コンピューティング研究センターの設立に向けた協業を開始したと発表した。量子コンピューティング分野における技術開発に加え、専門人材の育成や産学官連携の強化を進める。協業は10月8日に開始した。

新たに設立する研究センターでは、量子コンピューティングに関するハードウェア、ソフトウェア、アルゴリズム、理論分野の研究開発を行う。また、教育や人材育成を通じて、量子コンピューティング分野の人材の裾野拡大と、産業界や学術界、政府機関、研究コミュニティとの連携強化を図る。

  • 富士通とニューメキシコ州のMOU調印式。左からマイケル・パディラ上院議員、ロブ・ブラック ニューメキシコ州経済開発局 長官、ミシェル・ルーハン・グリシャム知事、富士通 執行役員副社長 CTO、システムプラットフォーム担当 ヴィヴェック・マハジャン氏、ジョージ・ムニョス上院議員

    富士通とニューメキシコ州のMOU調印式。左からマイケル・パディラ上院議員、ロブ・ブラック ニューメキシコ州経済開発局 長官、ミシェル・ルーハン・グリシャム知事、富士通 執行役員副社長 CTO、システムプラットフォーム担当 ヴィヴェック・マハジャン氏、ジョージ・ムニョス上院議員

量子技術開発と人材育成拠点を整備

今回の協業では、富士通の量子コンピューティング技術や高度なコンピューティング技術と、ニューメキシコ州の科学・研究エコシステムを結び付ける。研究協力やインターンシップ、学術連携などを通じて、学生や研究者、エンジニアが量子コンピューティング分野へ参画する機会を創出する。

ニューメキシコ州は量子コンピューティング関連産業の集積を進めており、量子エコシステム形成に向けて1億5000万ドルの拠出を表明している。富士通は同州とともに、高度専門人材の雇用創出や民間投資の誘致も目指す。

国立研究所や大学との共同研究を検討、量子・AI・HPCを組み合わせた活用を推進

富士通は今後、サンディア国立研究所、ロスアラモス国立研究所、ニューメキシコ大学、ニューメキシコ州立大学などとの共同研究機会を検討する。また、ニューメキシコ州立大学とは2025年10月から、富士通の次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」を活用したHPC分野の共同研究を進めているという。

富士通はクオンタム・ニューメキシコ・インスティチュートとも連携し、量子コンピュータのアルゴリズムやアプリケーション、システムに関する研究を推進する。

さらに、量子コンピューティング、量子シミュレーション、AI、HPCを組み合わせたハイブリッド環境において「FUJITSU-MONAKA」ベースのHPCが果たす役割も共同で検証する。量子ワークロードの実行では、データ準備や大規模シミュレーション、最適化、検証などで古典コンピュータとの連携が不可欠であることから、両者を組み合わせた統合的なアプローチを進める。

富士通は、この取り組みにより量子技術の実用化を加速し、材料・創薬、製造、エネルギー、金融、物流など幅広い分野に向けたアプリケーション開発を推進するとしている。