
朝日新聞の情報発信改革
インターネットが人々の生活に入ってきて約30年。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス=交流サイト)や生成AIの発展はすさまじく、産業形態や人々の生き方・働き方に大きな影響を与えている。
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いつどこでも、誰でも瞬時に情報発信ができ、ネパールの大洪水も、世界中の人々がスマホを片手に、リアルタイムでその惨状を知る時代。すぐに情報収集ができるというメリットがある反面、偽情報や誹謗中傷もあふれ、深刻な人権問題に発展するという側面も併せ持つ。
新聞、テレビなどでもAIの活用を図る動きが出てきた。日経新聞、読売新聞と並ぶ三大紙とされる朝日新聞は、AI機能を広告、マーケティングなどのビジネス部門や管理部門に取り入れ始めている。
ネット情報やAIの登場で、テレビや新聞はオールドメディアと揶揄される昨今だが、事実(ファクト)に基づいた報道で、真実・真相に迫る活動は社会にとって不可欠なもの。
朝日新聞社社長・角田克さんはAI活用で経営改革を進めながらも、「確からしさの高い、時々間違いもあるんだけど、新聞業界が発信したものを基盤に世の中は動き出す。賛成であろうが、反対であろうが、ですね。だから、歴史的にはオールドメディアかもしれないが、エッセンシャルメディアだと思っています」と語る。
社会のトラストアンカーに
誰もが気軽に情報発信できるようになり、生活も便利になってはいるものの、偽情報や誹謗中傷も飛び交うご時世。
「エッセンシャルメディアが機能しない時代って、非常に怖いなと思っています」と角田さん。
一方で、人は便利なもの、早いもの、安いものに流れていく。
「あえて乱暴な言葉で言うと、新聞業界ごとき、あるいは出版界ごときがその潮流に竿を差すことはできないんですね。やはりその潮流をどう掴むかということに、もう少し重心を置かないと。そうでないとエッセンシャルメディア、あるいは皆が知る核となるニュースが世の中に流通しなくなる。それは大変な混迷どころか、大混乱、無秩序な社会になり得る」
角田さんはこうした危機感を持って、経営改革、情報発信改革に取り組んでいる。
AIと人間の関係の機微についても、「そのコンテンツに関わる所は、その取材過程は絶対に必要だし、デスクワークも必要です。だからこそ、トラストアンカーたるべきです。ただ、その過程においては、編集部門でもAIを活用しない手はないというのが基本的な考え方なんですね」と角田さん。
多様な価値観、モノの見方がある中で、トラストアンカー、信頼の錨たろうという角田さんのメディア論だ。