住友化学は4月9日、EUVおよびArF向けフォトレジストの供給体制を強化することを目的に大阪府大阪市にある同社 大阪工場に製造プロセス技術・品質評価・分析に関する機能を集約した新たな技術棟を建設することを発表した。地上6階建てで延べ床面積は約3200m2、完成は2027年度末を予定している。
生成AI時代の先端プロセスニーズで高まる高性能・高品質レジスト需要
フォトレジストは、半導体製造工程において回路パターンを形成するための感光性材料で、先端ロジックならびにメモリ半導体の微細化や多層化を支える基幹材料の1つ。生成AIの普及やデータセンター投資の拡大、IoT化の進展などを背景に、先端プロセスに対応できる高性能かつ高品質なフォトレジストの安定供給体制への要求が今後、これまで以上に高まると見られており、各社が技術開発や生産能力の拡大などに向けた動きを見せている。
そうした中、住友化学はファインケミカル事業で培った有機合成技術を基盤とした世界トップクラスの技術力を強みに、先端半導体用フォトレジスト事業を拡大してきた。2022年には大阪工場に開発・評価用の新棟を建設し、先端プロセスに対応する露光機の導入を順次進めるなど、材料設計から評価までの開発力強化を進めてきた実績がある。
製造・評価・分析機能の一体化で供給信頼性を向上
一方で、開発成果をタイムリーに顧客へ供給していくためには、製造ラインにおけるプロセス管理の高度化も欠かせなくなっている。新設される新技術棟では、これまで工場内に分散していたEUVレジストおよびArFレジストの製造プロセス技術、品質評価、分析機能を一体化し、原料の先行評価から出荷に至るまでの各工程を高い精度で管理する体制を整えるとする。
これにより、量産立ち上げのスピード向上に加え、工程作り込みによる品質の一層の安定化を図ることができるようになり、より高いレベルでの品質信頼性と供給安定性の実現できるようになると同社では説明しているほか、大阪工場にて開発から量産化、そして分析までを一気通貫で担う体制を拡充することで、グローバル市場に向けた安定供給能力をさらに強化するともしている。
次世代EUV向け製品開発も加速
住友化学グループは、半導体材料事業を自社の成長ドライバーの1つに位置付けており、経営資源の重点投入を図るなど、事業の拡大を図っており、これまでにも国内工場の能力増強や先端品の開発・評価棟の新設、韓国拠点でのライン新設などを通じて、戦略品目であるフォトレジスト事業への投資を行ってきた。
同社によると現在、EUVレジストおよびArFレジストの販売は順調に拡大しており、独自の有機分子レジストなど次世代のEUVリソグラフィプロセスに向けた製品の開発も加速しているとのことで、今回の新技術棟建設は、そうした開発成果を将来の量産・市場展開へと確実につなげるための基盤整備と位置付けられる。
AIを中心とする高性能な半導体の実現のためにはプロセスの微細化が必要となるが、そこで求められる材料には、高い性能を発揮できることはもとより、量産拡大時にも耐えられる安定した供給能力と高い品質を常に維持できる再現性といった側面での競争力がこれまで以上に求められるようになっている。同社の今回の投資は、先端プロセスを活用するロジックならびにメモリの量産を足元から支える材料インフラの強化であり、世界的な潮流となっている生成AI活用を支える半導体産業の基盤整備の一端を担う動きと言えそうだ。
