8インチSiCパワー半導体の高性能化技術を確立

ロームは4月2日、8インチSiCウェハに対応したエピタキシャル成長技術および低オン抵抗化技術を確立し、これらの要素技術を統合した8インチSiC製造ラインの開発に成功したことを発表した。

これは、2022年度に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代デジタルインフラの構築」プロジェクトの研究開発項目の1つ「次世代パワー半導体デバイス製造技術開発」における「8インチ次世代SiC MOSFETの開発」として採択された事業に対する取り組みの成果によるもの。

  • NEDOに採択された事業のイメージ

    NEDOに採択された事業のイメージ (出所:ローム)

グリーンイノベーション基金は、2020年12月25日に経済産業省が関係省庁と策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で「経済と環境の好循環」を作り出すために組成された基金で、そのうち「次世代デジタルインフラの構築」プロジェクトは、カーボンニュートラル社会の実現に不可欠なデジタルインフラの省エネ化・高性能化に向けた研究開発・社会実装を進めることを目的とした取り組みで、同社の採択事業は、次世代パワー半導体の製造技術を高めることで、電動車や産業機器をはじめとする幅広い機器・設備への普及促進を目指す取り組みとされてきた。

  • 「次世代パワー半導体デバイス製造技術開発」の全体像

    「グリーンイノベーション基金事業/次世代デジタルインフラの構築プロジェクト」における「次世代パワー半導体デバイス製造技術開発」の全体像 (出所:NEDO)

目標を2年前倒しで達成、今後は本格生産に移行

具体的にロームでは採択を受けて、SiCパワー半導体向け8インチウェハに適用可能なプロセス技術ならびに製造技術の開発として、高品質なエピタキシャル成長技術と低オン抵抗化技術という2つの技術開発を行ってきた。

今回の発表は、それらの要素技術を統合した8インチSiC製造ラインの構築と、同ラインで製造したSiCパワーデバイスを自社のモジュールへと搭載した形で性能評価を実施した結果、技術目標が達成されていることが外部の有識者によって構成されたNEDOの委員会で確認されたことを受けてのものとなる。当初の計画では2022年度~2027年度の6年間が予定されていたが、今回の目標達成の確認により、2年前倒しの形で事業を完了させたこととなる。

今後は社会実装フェーズへと移行することとなるが、ロームでも今回の事業で研究・開発された8インチSiCラインで製造されるSiC MOSFETについて、低オン抵抗化および歩留まりの向上による競争力の強化が期待されるとしており、今後、同ラインを活用した本格生産を進め、さまざまな機器の省エネ・小型化につなげていきたいとしている。