300mmファブ向け製造装置投資額は2027年に1500億ドルを突破
SEMIは4月1日(米国時間)、300mm半導体ファブに対する2031年までの投資動向をまとめたレポート「300mm Fab Outlook」を発行した。
それによると、世界の300mmファブにおける製造装置投資額は、2026年に前年比18%増の1330億ドル、2027年も同14%増の1510億ドルとなり、半導体産業の歴史として初めて1500億ドルを超える見通しだという。
この2年連続の2桁成長という予測について、データセンターおよびエッジデバイス向けAIチップ需要が急増していることに加え、主要地域における半導体自給力強化に向けたエコシステムのローカライズやサプライチェーンの再構築を反映したものだとしており、2027年以降についても、2028年が同3%増の1550億ドル、2029年も同11%増の1720億ドルと投資が拡大し続けるとの見通しを示している。
SEMIの社長兼CEOであるAjit Manocha(アジット・マノチャ)氏は、今回のレポートを踏まえ、「AI需要によって半導体製造投資の規模はリセットされつつあります。300mmファブ装置の世界投資額は2027年に初めて1500億ドルを超えることが見込まれており、業界はAI時代を支えるために不可欠な先進的生産能力と強靭なサプライチェーンに向けて、前例のない規模の投資を進めています」とコメントしている。
最大の投資先は先端プロセスがけん引するロジック&マイクロ
投資額をセグメント別で見ると、「ロジック&マイクロ」が最大規模のセグメントで、2027年から2029年にかけて累計2280億ドルが投資されることが予想されている。特に2nm以下の最先端プロセス向け投資がけん引役となるファウンドリ分野からの需要が主な要因としており、2029年にかけて2nmプロセス、1.6nmプロセス、1.4nmプロセスなどが量産稼働する見込みとなっている。
また、エッジAIの普及が進むことで、さまざまなエッジAIデバイスの登場も期待され、それらの普及拡大に伴って、先端プロセスのみならず、すべてのプロセスノードの需要が徐々に拡大していくことも期待されており、その結果として成熟ノードに対する投資も継続して行われていくことも予想されるとしている。
投資額2位のセグメントは「メモリ」で、2027年から2029年の累計が1750億ドルに達すると予測しており、内訳としては、DRAM向け設備投資が2027年から2029年にかけて累計1110億ドルと予想されるほか、3D NAND向け設備投資は累計620億ドルとなる見込みだとしている。
また、SEMIではこの3年間について、メモリセグメントにおける新たな成長サイクルの始まりとなるとの見方を示している。具体的には、AIの学習および推論用途での活用に向けてメモリ需要が増加しており、特にAI学習の進展がHBMの需要を大きく押し上げるほか、モデル推論の拡大がストレージ容量の需要を高め、データセンターにおけるNANDの成長を後押しするとしている。こうした旺盛な需要の継続が、メモリサプライチェーンへの高水準の投資が短期および中長期にわたり継続すると見られ、従来のメモリ市況サイクルに伴う下振れリスクを緩和する効果が期待されるとする。
世界各国・地域で投資が継続
2027年から2029年にかけての300mmファブ装置投資を国・地域で見ると、投資先がどこかに偏るのではなく、主要な半導体製造地域全体に広く分散して推移することが予測されるという。
先端プロセスの製造が可能な地域の拡大(台湾・韓国から米国、日本、欧州へと拡大していく見込み)、AI需要に後押しされる形でのメモリの生産能力の増強、ならびに各国の政策支援に基づくサプライチェーンのローカライズの3つを大きな要因としてSEMIでは挙げており、当該期間中、中国、台湾、韓国、米州地域で高い水準で投資が実施される見込みとするほか、日本、欧州・中東(EMEA)、東南アジアについても、投資規模は前者に比べて場小さいものの、継続して実施されていくことが見込まれるとしている。
けん引役として見られている中国は、国内生産能力の継続的な拡張と、半導体製造基盤の強化を目的とした国家主導の施策を背景に、前工程の製造装置投資が継続する見通しとするほか、台湾は2nm以下のプロセスを中心とする最先端ファウンドリの生産能力拡張がけん引役となるとする。また、韓国は3大メモリサプライヤのうち2社が拠点を構えていることもあり、メモリ分野との連動性が強く、AI関連の需要が次の生産能力拡張および技術アップグレードのサイクルを支えると見られるとしている。さらに米州については、先端プロセスへの投資拡大に加え、国内製造エコシステムの強化に向けた幅広い取り組みが設備投資を下支えするとしている。
このほか、残りの日本、欧州・中東、東南アジアについては、2029年にかけて各国政府による各種インセンティブ、サプライチェーン強靭化に向けた戦略、ならびに半導体生産能力拡張を目的とした重点的取り組みが、装置投資を下支えする要因になると見られるとしている。
