台湾当局が熊本での3nmプロセス生産を承認

台湾の経済部は3月31日、同日開催された投資審査委員会にてTSMCが日本の熊本で建設を進めているJASM熊本第2工場(TSMC Fab 23 Phase2)の計画変更などが承認されたことを明らかにした

熊本第2工場の3nmプロセスの生産規模は月産1万5000枚規模とされており、2028年に量産を開始する予定だという。

米国では先行して2027年から3nm生産開始予定

計画変更対象となっている熊本第2工場は、熊本第1工場(TSMC Fab 23 Phase1)の隣接地に2025年第4四半期より建設が進められているファブで、当初の計画では40nmプロセスおよび6/7nmプロセスでの製造とされていたが、2026年2月、TSMCのC.C.Wei(魏哲家)会長兼CEOが日本の総理大臣官邸を訪問し、高市早苗首相に熊本第2工場が3nmプロセスに対応する計画を伝えていた。

台湾当局は、先端プロセスを用いた半導体の台湾域外での生産について安全保障上の抑止力の低下や、技術流出、人材流出などの観点からかねてより懸念を示しており、最先端プロセスについてはまずは台湾で生産を行うというスタンスを取ってきた。

今回の決定は、すでに米国で2027年の3nmプロセス量産開始に向けた動きがあること、ならびに2028年時点では、その先の世代となる2nm(N2)以降の先端プロセスが量産されていることが前提にあると言える。実際、TSMCは1.6nm(A16)プロセスについても2026年後半からの量産開始を予定していることを明らかにしているほか、2028年には次世代の1.4nm(A14)プロセスの量産開始を計画しており、2028年時点で3nmプロセスは最先端という位置づけではなくなっている。

長期間にわたって需要の持続が期待される3nmプロセス

また、3nmプロセスが選ばれたもう1つの理由として、引き合いが非常に高いこともある。2nmプロセス以降は、3nmまでのFinFETに代わって新たにGAAアーキテクチャならびに裏面電源供給(BSPDN)技術が導入され、設計における技術的な難易度が上がる一方で、性能は向上するが価格もこれまで以上に高くなることが予想される。そうなると、価格がある程度こなれていながら高い歩留まりが期待でき、かつ設計についてもさまざまなノウハウが出揃い難易度がそこまで高くなくなっているといった理由などから、2028年以降も3nmプロセスが多様な用途で活用され続けられることが期待できる。

実際、同様の動きは最後のプレーナー型トランジスタのフルノードである28nmプロセスでも見られている(その後のフルノードは16nm FinFETプロセス)。先端プロセスの売り上げに占める比率が高まりを見せる同社だが、そうした状況の中にあって2011年に量産提供を開始した28nmプロセスは2025年第4四半期で全体売り上げの6%2025年第3四半期でも7%の比率を維持しており、10年以上経った現在でも車載、産業機器、IoT、通信インフラなどさまざまな分野での活用が続いている。トランジスタのアーキテクチャ変更前の最後の世代の引き合いは長期間にわたって一定以上あるという経験則を踏まえれば、3nmプロセスでも同様の動きが起こると考えられ、また次世代の車載半導体向けに3nmプロセスを活用するという動きも出ており、自動車産業の活発な日本で3nmプロセスの生産を行うということは理にかなった戦略といえるだろう。