ロームがGaNパワー半導体の一貫生産体制構築を正式決定
ロームは2月26日、GaNパワー半導体事業について、自社の保有する開発能力および製造技術に、パートナーシップ先であるTSMCのプロセス技術を融合することで、自社グループ内での一貫生産体制を構築することを決定したことを発表した。
GaNパワー半導体は、高電圧対応が可能で、高い周波特性を有しており、電源システムの高効率化や小型化を図ることができるため、近年、USB PDの急速充電器を中心とした民生分野で活用が急速に進んでいるほか、AIサーバ分野や電気自動車(EV)のオンボードチャージャ―での利用も進んでおり、一部製品ではこれまでSiCの領域であった650V以上の高電圧でも利用に向けた動きが出てきている。中でもNVIDIAが提唱するAIデータセンター向け800V直流電源アーキテクチャでは、多くのパワー半導体メーカーがパートナーとしてGaNを活用した電源ソリューションを打ち出すようになっている。
ロームは2022年3月にローム浜松にて150V GaNデバイスの量産体制を確立して以降、GaNパワー半導体に本格参入。中電力/中電圧領域製品についてはTSMCとパートナーシップを締結し、2023年以降、650V GaNプロセスでの製品製造を委託してきたほか、2024年12月には車載GaNに関するパートナーシップを締結するなど、協力関係を強化してきた。
TSMCとの電源システムの効率化・小型化に向けた連携は維持
しかし、近年、中国勢の急速な生産能力の拡大とそれに伴う価格下落圧力の強まりから市場での競争が激しくなってきていることを背景に、300mmウェハベースの先端プロセスの需要が高止まりし、そちらに注力する方向性を持つTSMCは6/8インチベースのGaNパワー半導体の製造からの撤退を決定。筆頭株主であるVanguard International Semiconductor(VIS)に650Vおよび80VのGaNプロセス技術をライセンスする形で生産移管を図る方向で動いており、ロームとしてもVISへの移管と自社製造の2つの方向性で検討を進めてきた。
今回のTSMCとロームの技術融合に基づく自社グループ内での一貫生産体制構築についてロームでは、これまでのTSMCとのパートナーシップを進化させたものであると説明しており、TSMCとGaNプロセス技術のライセンス契約を締結した後、そのプロセス技術をローム浜松工場に移管を進めるとしている。
スケジュール的には2027年中の生産体制構築を目指すとしており、拡大するAIデータセンターニーズなどへの対応を図っていくとする。また、この技術移管の完了をもって、TSMCとロームの車載GaNに関するパートナーシップは発展的解消となるとするが、今後も継続して電源システムの高効率化・小型化に向けた連携の維持・強化を図っていくともしている。
ローム以外にもGaNプロセス技術をライセンス供与するTSMC
なお、TSMCのGaNプロセス技術に関しては、ロームに先駆ける形でVISのほか、GlobalFoundries(GF)がライセンス契約の締結を発表しているほか、TSMCへの製造委託元でGaNパワー半導体大手の米Navitas SemiconductorはPowerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC)との戦略的提携をすでに発表済みで、PSMC以外のサプライヤとの連携も模索を図るなど動きを見せている。