Applied Materials(AMAT)は2月10日、2nmプロセス世代以降の先端ロジックチップの高性能化に向けた製造装置として、成膜装置(ALD)「Spectral」、コンダクタエッチング装置「Sym3 Z Magnum」、マテリアル改質装置「Viva」を発表した。
これらの装置は電子回路の基本的な要素であるトランジスタを原子スケールで改良し、AIコンピューティングを加速させるもので、2026年より量産が進む2nmクラスのGAAトランジスタアーキテクチャへの対応と、その後のオングストロームノードの次世代GAAトランジスタの実現に向けたイノベーションであると同社では説明しており、これらの装置を活用することで、GAAのプロセスノード移行に伴う省エネルギー性能改善に寄与するとしている。
ナノシートの精密加工を可能にするViva
GAAトランジスタを実現するうえで重要になるのが、水平に積層された数nm幅の極薄シリコンで形成される導電ナノシートであり、電荷キャリアの効率的な導電パスとなるように精緻に仕上げる必要がある。
特に重要なのはナノシート表面の原子レベルのわずかな粗さや汚染が電気性能に影響を及ぼして性能を低下させるため、その状態を良好にする必要性があり、Applied Producer Pyraサーマルアニーリングプロセスを併用する形で用いられる補助的なラジカル処理装置である「Producer Viva」は、そうしたナノシートの表面をオングストロームレベルの精度で加工するものとなる。
具体的には、超純粋ラジカル種を発生させる独自のデリバリアーキテクチャを中心に据え、リモートプラズマソースと他のハードウェアイノベーションを組み合わせることで、表面構造に損傷を与える高エネルギーイオンを除去することを可能とするほか、濃縮中性ラジカルが、ダメージのない穏やかな処理環境を形成し、深く埋め込まれたトランジスタ構造への均一な表面処理を可能にするとしている。
また、ロジックとメモリの両方に対応するアプリケーションが用意されており、すでに2nm以降のプロセスノードにおける先進的チャネル加工用途として、複数の大手ロジックチップメーカーでの採用が進んでいるとする。さらに、ラジカル処理を行うことで、銅配線の抵抗がさらに低減できるようになり、先端プロセスにおける下層金属配線にこれまでと同様に銅を利用することを可能にするともしている。
GAAトランジスタに高アスペクト比の形状を形成するSym3 Z Magnum
GAAトランジスタ特有の垂直3D構造の形成には、深く狭いトレンチを精密に彫り込む必要があるが、その加工にはトレンチの深さが均一であること、サイドウォールがまっすぐであること、そして底面が平坦で矩形であることが求められるという。
わずかなばらつきもトランジスタの速度、電力効率、全般的性能に影響を与えることから、高い精度でのプラズマエッチングが必要となるが、同社のSym3 Zシリーズの最新製品となる「Centris Sym3 Z Magnum」は、そうした加工ニーズに応えることを目指して開発されたとする。 Sym3 Zプラットフォームは、パルス電圧技術(PVT)を量産適用し、マイクロ秒スケールのイオン制御によってGAAトランジスタに高アスペクト比の形状を形成することを可能し、すでに2nmロジックプロセスでの製造における認定ツールとして250台以上が導入済みだという。
その最新世代となるSym3 Z Magnumはさらなるスケーリングの実現に向けて、第2世代となるパルス電圧技術(PVT2)を採用。これにより、これまで問題となっていたイオン方向性とウェハ近傍のプラズマ制御性のトレードオフが解消されるほか、イオン角度とイオンエネルギーを個別にチューニングすることも可能になったとする。
この新技術により、ウェハ表面に到達するイオンの軌道をこれまで以上に精密に制御できるようになり、新しいソース技術と併用することで、クリーンかつ高精度のトレンチを形成し、均一なナノシート、より速いスイッチング、より高品質のエピタキシーの実現が可能となり、トランジスタ速度と全般的なチップ性能の向上を図ることができるようになるという。
モリブデンの選択的成膜を可能とするSpectral
GAAトランジスタアーキテクチャの採用に伴い、配線工程にも進化が求められるようになっている。特に、トランジスタと配線層をつなぐメタルコンタクトもトランジスタサイズの縮小とともに細くなる一方、微細化に伴う断面積の減少などの影響からチップ全体の抵抗を高め、性能やエネルギー効率のボトルネックとなることが課題とされている。中でのナノスケールクラスでは、従来のタングステンを活用したコンタクトでは、電子を効率的に通すことが難しいという課題が生じ、タングステンの代替材料として、細く加工しても効率的な電子の流れを維持できるモリブデンの活用が求められるようになっていた。
「Centris Spectral Molybdenum」は、そうした単結晶モリブデンを選択的に成膜し、コンタクト抵抗を現在の業界ベンチマーク(Applied Endura Volta Selective Tungsten)と比べて15%ほど引き下げることを可能とする新たなALD装置シリーズ。
高精度ケミカルデリバリ機能を持つ最新鋭のクアッドリアクタ設計と、各種プラズマおよびサーマル処理機能、時間的・空間的ALD処理に特化したハードウェアを備え、先端プロセスで求められる広範かつ高度な薄膜形成が可能とのことで、すでに2nmプロセス以降での量産に向けて、複数の大手ロジックチップメーカーでの採用が進められつつあるという。



