2025年通期業績はWolfspeedの再建支援の影響で518億円の損失を計上
ルネサス エレクトロニクスが2月5日に2025年第4四半期および2025年通期決算を発表した。
それによると、Non-GAAPベースの同四半期業績は売上高は3509億円、売上総利益が2079億円、営業利益1080億円、親会社の所有者に帰属する当期利益900億円とするほか、通期業績が売上高1兆3185億円、売上総利益7599億円、営業利益3869億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が3293億円とする。
ただしGAAPベースで通期業績を見ると、売上高は前年比2.0%減の1兆3212億円、営業利益は同9.8%減の2012億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年の173億円の黒字から518億円の赤字となった。この損失は、2025年第3四半期に、Wolfspeed向けその他金融資産の評価利益として445億円を計上したことと、同第4四半期に、Wolfspeed向けその他金融資産の評価損失として472億円を計上したことに加え、同第2四半期に、Wolfspeedへの預託金に関する2350億円の評価損失を計上したことが影響している。
第4四半期の事業別業績をNon-GAAPベースで見ると、自動車向けが前年同期比9.8%増、前四半期比2.6%増の1633億円、産業・インフラ・IoT向けが前年同期比32.1%増、前四半期比7.1%増の1860億円。また、利益率も改善しており、その要因として製品ミックスの改善効果と製造費用の減少を挙げている。
また、自社在庫については想定通りの117日としているが、従来、DOI(Days of Inventory)を120日としていたが、AIデータセンターを中心とした半導体需要の増加、ならびに地政学をはじめとするサプライチェーンリスクに備えるためのバッファの確保の意味合いも含め、150日に更新することを決定。主に、ダイを保管するダイバンクの拡充を中心としており、2026年第2四半期に社内のITシステム(ERP)の更新も控えており、その統合時に向けた作りだめの仕掛も2026年第1四半期に行うことも含むとする。
併せてチャネル在庫についても減少傾向にあるが、AIデータセンター向けパワー半導体の需要が高い状態にあり、2026年第1四半期には上積みを図っていくとする。
2025年第4四半期の稼働率については全体平均で50%弱とするが、2026年第1四半期には50%強にまで向上することが見込まれるとするほか、設備投資についても同第1四半期に生産能力拡充に向けた投資を推進する予定とする。
同社代表執行役社長兼CEOである柴田英利氏は、2025年通期の業績を振り返り、「市場見通しとしては、自動車も産業・インフラ・IoTも、ともに緩やかな成長が見えている。特に産業・インフラ・IoT関連ではAIの需要が非常に強いが、産業分野もしっかりとした成長が見込めている」とし、2026年第1四半期についても、モバイル/コンシューマが季節的に落ち込む四半期ではあるものの、その減速を打ち返して、緩やかながらしっかりとした成長が見込める状況であり、それが全社の成長につながるとの見方を示しており、2026年通期についてもガイドラインは示していないものの、前回決算時に比べて顔を挙げることができる状況になってきたとの見方を示す。
2026年はAI関連を中心としたパワー半導体の成長に期待
同社は通期見通しは示していないが、2026年12月期第1四半期の業績については示しており、それによると売上高を3675億~3825億円、中央値である3750億円を前年同期と比較すると21.4%増としているほか、Non-GAAPベースの売上総利益率も同1.8ポイント増の58.5%、営業利益率も同4.9ポイント増の32.0%と好調に推移することを予測している。
また、パワー半導体については2025年はGPU向けが伸びたが、2026年についてはハイパースケーターのカスタムASIC向けが段階的に伸びていくと見ており、それに併せてメモリインタフェース関連なども伸びることが期待されると、AI需要の恩恵が自社にもおよぶとする。
さらに、GaNについては製造の自前化の推進を図っていくとする一方でシリコンベースのMOSFETについては慎重な見通しをしていく必要があるとする。そしてWoldspeedの支援を含めたSiCについては「悩ましい問題」(柴田氏)とし、現時点で自社で開発して作っていくという考えはないことを示し、Woldspeedをはじめとするパートナー候補の選別に基づく調達を行い、自社ソリューションに組み込む方向性を模索するとしている。
SiTimeへのタイミング事業の売却は売り切りではなくパートナーシップを想定
同社は決算発表のタイミングでタイミング事業のSiTimeへの売却を発表したが、この件について柴田氏は「まだまだ成長が見込めたが、技術トレンドとしてはMEMSに可能性があると考えている。それであれば、ベターオーナーであるSiTimeに統合して成長を指向することを決定した。ただし、売り切りではなく、同社の株を取得して、MEMSベースのタイミング製品市場が成長していく果実の一端を得られるパートナーシップを想定している」とあくまで成長が期待できる企業に自社のポートフォリオを託した形であるとする。
実際、SiTimeがルネサスの発表の少し前にリリースを出した際の当該事業の売上高は2024年12月期のもので2億140万ドルとしていたが、今回の決算発表で柴田氏は2025年12月期の当該事業の売上高を2億7-800万ドルと若干ながらも成長していることを強調していた。
また、取引は15億ドルの現金と、残り15億ドル分をSiTimeの株式の取得という形で行われるが、この株式については、長期的に保有するのか、どこかのタイミングで売却するのかについては検討中としながら、「成長に向けた投資と株主への還元の両にらみで考えている」と、市場の状況を見極めながら、大きな投資が必要と判断すればそちらに、そういった必要がないと判断すれば借り入れの返済を含めた株主への還元に充てるといった考えで見ていくとしている。
ただし、「AI分野に対する投資の必要性が日に日に高まっており、従来のナラティブとは目線を変えて必要に応じて大きく投資をすることも考えていく。それがなければ今回得る資金はバランスシートの改善と株主還元に回すが、(業績が)上に振れる要因も下に振れる要因もそこら中に転がっている」と、気を抜く暇がない状況が続いているとの見方を示しており、状況に即した事業運営をしていくともしていた。





