市場予測会社Counterpoint Researchの「Foundry Service Monthly Intelligence Report」によると、TSMCが台湾台南市にあるFab14の90~40nmプロセスの生産能力を2028年までに段階的に15~20%削減(合計で月産約5万枚)する見込みだという。

  • 台湾台南市にあるTSMCのFab14

    台湾台南市にあるTSMCのFab14 (出所:TSMC)

Counterpointの調査によると、Fab14の90~40nmプロセスの稼働率は概ね80%程度にとどまっており、今後の回復が望めそうにはない一方、先端パッケージングに対する需要が高まっており、この動きはそうした成熟プロセスに対する稼働率への対応と、先端パッケージニーズの高まりへの対応に向けたものだと見られるという。TSMCは現在、台南で先端パッケージング工場AP8を稼働させ、CoWoSの量産を進めている。

ただし、TSMCはこの動きについて、一部で報道されているような、成熟プロセス製品の最終需要の悪化を意味するものではないと強調しているほか、自社のグローバル製造エコシステムの中で、成熟プロセスの生産の構造的な最適化を推進するものであるとしているという。

  • TSMC Fab14の生産能力の2025年第4四半期から2028年第4四半期までの推移予測

    TSMC Fab14の生産能力の2025年第4四半期から2028年第4四半期までの推移予測 (出所: Counterpoint Foundry Market Supply Tracker)

TSMCは現在、成熟プロセスを採用する顧客の供給継続確保に向けて、台湾以外の海外工場を活用しようとしている。日本の熊本工場(Fab23)では、2026年末までに40/45nmおよび12/16nmプロセスが立ち上げる見込みで、自動車およびイメージ・シグナル・プロセッサ(ISP)向けサプライチェーンを支える役割を担うこととなる。22/28nmおよび12/16nmプロセスを採用する予定の欧州の独ドレスデン工場(Fab24)も建設が進んでおり、2027年に装置導入を開始する見込みである。Fab14の一部装置はこれらの海外拠点に再配置される見込みで、工場の稼働率を高めつつ海外での設備投資を抑制することにもつながるという。

並行して、TSMCは関連会社のVanguard International Semiconductor(VIS)も成熟プロセスの生産受け皿として重要視しつつある。VISは、NXP Semiconductorsとのシンガポールの合弁製造会社「VisionPower Semiconductor Manufacturing Company(VSMC)」を130nm~40nmプロセスへ拡張させるため、TSMCから製造装置を取得する計画を発表している。この枠組みにより、グループ内の役割分担がより明確になり、TSMCは先端ロジックおよび先端パッケージングに注力する一方、VISはより高い資本効率で、安定的かつ長期サイクルの成熟プロセス需要に対応する方向に向かうと見られる。

なお、TSMCが1月15日開催の決算説明会にて示した2025年のプロセス別売上高比率を見ると、90~40nmの割合は8%であった。また、110nm以上は2024年第4四半期の5%から2025年第4四半期には3%へと減少している。一方、先端プロセスと定義している7nm以下は、2025年第4四半期に全体の77%を占める規模となっており、2026年には2nmの売り上げも加味されることとなるため、先端プロセスの売上高比率は8割を越えそうである。

  • TSMCの過去3年間の第4四半期におけるプロセス別売上高比率

    TSMCの過去3年間の第4四半期におけるプロセス別売上高比率 (出所:TSMC決算説明会資料)