エッジAIの開発を容易化するフレームワークをNXPが発表
NXP Semiconductorsは1月6日、自律的なインテリジェンスをエッジデバイスに直接実装することを可能とするフレームワーク「eIQ Agentic AI Framework」を発表した。
同フレームワークは、決定論的なリアルタイムの意志決定と複数のAIモデルの協調により、開発のボトルネックを解消するよう設計されたもので、これを活用したエッジベースのAIエージェントは、安全上のリスクが発生した際、即座に工場機器の制御、医療スタッフへの緊急通知、患者情報のリアルタイム更新、暖房換気空調システム(HVAC)の自動調整などといった行動をエッジ側で実行することが可能になるという。
同社のハードウェアに最適化されたセキュアでリアルタイムなソフトウェア・プラットフォームであり、熟練の開発者であれば、高度なマルチエージェント・ワークフローを既存のツールチェーンに統合して活用するといったことが可能なほか、経験の浅い開発者であっても効果的に機能するエッジネイティブなエージェント・システムを迅速に構築することができるため、市場投入期間と開発コストの削減につなげることができると同社では説明している。
ハードウェアとしては、同社のi.MX 8ファミリとi.MX 9ファミリのアプリケーション・プロセッサとAraディスクリート・ニューラルプロセッシング・ユニットをサポートし、スケーラブルなエージェント型ワークフローを実現することができるとする。そのため、開発において多段階のAIエージェント・ワークフローを迅速にデバイス上のエッジAIデプロイメントへ変換できるとするほか、A2A(エージェント間通信)やMCP(モデル・コンテキスト・プロトコル)などのオープンなエージェント規格に準拠しているため、デバイス上のエージェント・パイプラインを容易に導入し、迅速に構成することが可能だともしている。
また、エッジへの展開における厳しい性能要件を満たすことを目的に、ハードウェアを考慮したAIモデル準備工程と自動チューニング・ワークフローが統合されていることから、開発者はビジョン、音声、時系列、制御など複数のAIモデルを並列に実行しつつ、制約のある環境下で決定論的なパフォーマンスを維持することができるとする。さらに、インテリジェントなスケジューリング・エンジンがワークロードをCPU、NPUと統合アクセラレータに振り分け、認識、分類、意志決定のタスクを同時に実行できるため、そうした機能が求められるロボット、産業用オートメーション、スマート・ビルディング、運輸、その他のリアルタイム・システムなど、幅広いシステムで活用が期待できるとする。
加えて、セキュリティを念頭に設計されており、プロンプト・インジェクション攻撃や敵対的な入力、モデル・スプーフィング(なりすまし)などを阻止するソフトウェアレベルの保護機能に加えて、セキュア・ブート、ランタイム隔離ゾーン、ハードウェアのRoot of Trustなど同社のエッジ・インテリジェンス・ハードウェアのセキュリティ機能を組み合わせることで、データの完全性、安全性、復元性が不可欠な環境でもセキュアなデプロイメントを実現することを可能としたとする。
クラウド内のeIQ AI HubとeIQ AI Toolkitで試作を高速化
このほか同社は、エッジAI開発ツールにクラウド経由で即座にアクセスできる開発者向けクラウドベース・プラットフォーム「eIQ AI Hub」も新たに発表した。
これにより開発者は最新のツールや機能にすばやくアクセスできるようになるため、試作の高速化を図ることができるようになるという。例えば、オンプレミス・デプロイメントの選択肢を確保しつつ、クラウド接続されたハードウェア基板上に展開し、実際のパフォーマンスのレポートを取得することも可能であり、熟練の開発者にとっては効率化された変換とパフォーマンス調整パイプラインが、新規の開発者にとっては各工程を簡素化する自動化ワークフローが特に有用になると同社では説明している。
また、eIQ Time Series Studio、eIQ GenAI Flow、eIQ Agentic AI Framework、強化されたモジュール式のeIQ AI Toolkitなどのツールがすべて揃ったツール・スイートは、クラウドの場合はeIQ AI Hub経由で、オンプレミスの場合はダウンロードして利用することが可能なため、開発者はAI開発ツールキットとワークフローをパーソナライズすることができ、統合作業の効率化とソフトウェアにかかる負荷やコストの削減を図ることができるともしている。
なお、米国ラスベガスにて開催中の「CES 2026」では、GE HealthCareが持つ医療技術の専門知識とNXPのeIQ AI Toolkit、eIQ Agentic AI Frameworkを組み合わせた形で麻酔投与と乳児モニタリングのコンセプトが展示されているという。
