TSMCがA14対応工場の建設を加速
TSMCのサプライチェーン関係者が、2nmプロセス(N2)の歩留まりが予想を上回っていることから、TSMCが台湾中部科学園区(中部サイエンスパーク)での1.4nmプロセス(A14)対応工場の建設を加速させる可能性があるとの見方を示していることを台湾メディアが報じている。
台湾中部科学園区の新工場は、2027年末までにリスク生産を完了し、2028年に量産を開始する予定とされている。
この新たなA14対応工場は、2025年11月初旬に基礎杭打ち工事が開始され、2026年に建屋の建設が始まる見込みである。中部科学園区管理局は以前、TSMCが土地賃貸説明会を行った際に、当初計画されていたN2がA14、あるいはより高度なプロセスに変更されることを確認したと述べていた。
サプライチェーン企業各社も続々入居
この新工場には4棟の工場棟とオフィス棟が含まれる予定で、総投資額は1兆5000億NTドル、初期収益は5000億NTドルを超えると見込まれている。工事が進むのに並行して多くのサプライチェーン企業の誘致も進んでおり、すでに半導体関連企業17社の入居が承認されたとのことで、このサイエンスパーク拡張プロジェクトは集積回路産業だけでまもなく1兆NTドルを超す収益を上げると予想されている。
TSMCのサプライチェーン関係者によると、米国アリゾナで建設中の第3工場(TSMC Fab21 Phase 3)は、2〜1.6nmプロセスを1年前倒しの2028年より製造開始する予定で、これに伴い第2工場(Fab21 Phase2)も、当初2028年に予定されていた3nmプロセスの量産が、2026年末までに開始される可能性が浮上しているという。米国政権からの強い要請で、計画が前倒される傾向にある。一方、日本では、熊本第2工場(TSMC Fab 23 Phase2)も従来の計画から最先端の2nmへの変更が検討されていると言われている。同工場の建設工事は昨秋以来進んでいないとされるが、日本の経済産業省と計画変更に伴う補助金支給に関する再交渉が必要なためとみられている。
最先端プロセスはあくまで台湾で開発・生産
なお、台湾政府の要請もあり、最先端プロセスの開発・生産はあくまでも台湾に留めつつ、地政学的なリスク分散と米国の主要顧客への近接供給のためにアリゾナでの先端製品の生産を拡大するという方針が取られる模様である。
TSMCはA14について、「より高速なコンピューティングと優れた電力効率を実現することで、AIによる変革を推進するように設計されている。また、搭載されているAI機能を向上させ、スマートフォンをさらにスマートにすることで、その性能向上も期待されている。開発は順調に進んでおり、歩留まりも予定を上回っている」と説明しており、N2比で、同一消費電力で最大15%の速度向上、または同一速度で最大30%の消費電力削減を実現するとともに、ロジック密度を20%以上向上させるとしている。また、ナノシートトランジスタの設計と技術の協調最適化における経験を活かし、TSMC NanoFlexスタンダードセルアーキテクチャをNanoFlex Proへと進化させ、性能、電力効率、設計柔軟性の向上を実現するとしている。
