12月22日に打ち上げに失敗したH3ロケット8号機について、文部科学省が同月25日、宇宙開発利用部会/調査・安全小委員会を開催。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が調査状況を説明した。今回、JAXAは新たに8号機のオンボードカメラの画像を公開。フェアリング分離の前後で、衛星の形が大きく変わっている状況が明らかになった。
みちびき5号機は2周目で再突入? 第2段エンジンの状況も明らかに
H3ロケット8号機は打ち上げ後、第2段エンジン「LE-5B-3」の2回目燃焼が正常に立ち上がらず、搭載した準天頂衛星システム「みちびき5号機」の軌道投入に失敗していた。衛星は本来、傾斜角36度の軌道に投入する計画だったが、2回目の燃焼ができなかったため、そのまま傾斜角30度の軌道を飛行したという。
衛星がどうなったのかは今まで明らかになっていなかったが、JAXAはテレメトリで取得していた最終軌道の情報から、その後の状況を推定。第2段と分離していたかどうかや、空気抵抗の大小により多少異なるものの、いずれにしても2周回以内に再突入する結果となり、打ち上げから4時間以内に再突入した可能性が高いと結論づけた。
第2段エンジンが正常に燃焼しなかった直接の原因は、水素タンクの圧力が低下したことだ。しかし、同ロケットは初号機が第2段エンジンの問題で失敗していたものの、今回は、この圧力低下が第1段の飛行中、フェアリング分離を起点として発生したことが判明しており、第2段以外で問題が起きた可能性が出てきていた。
今回、第2段エンジンの状況について、より詳しい情報が分かってきたが、1回目の燃焼では、燃焼圧力が通常の約65%程度まで低下。水素側のターボポンプは、これをカバーしようと、定格を40%以上も超える回転数で作動し、燃焼を完遂した。これは認定範囲を超えた過酷な条件であり、LE-5B-3エンジンはロバスト性を十分発揮したと言える。
オンボード画像が示す事態の深刻さ
現時点で最も気になるのは、フェアリング分離時に何が起きたのか、ということだ。残念ながらまだ分析が始まったばかりで、結論は出ていないのだが、今回初めて公開された取得画像からは、衛星側も大きなダメージを受けているように見える。もし衛星を分離できていたとしても、正常な動作は望めなかっただろう。
その後、第1段/第2段の分離後に撮影された画像でも、通常では見られない破片のようなものが大量に写っていた。さらに、衛星の分離信号を送ったときの画像も公開されたが、これには衛星かどうかもよく分からないぼんやりした光が写っていただけだった。衛星側の分析については今後、内閣府とも連携して進めていくという。
これらの画像から分かるように、フェアリング分離の前後で何か破壊的な現象が起きたのはまず間違いないが、それが何かについて、JAXAは現時点で推測を述べるのは避けた。「あらゆる可能性を考慮して検討を進める」としており、今後、FTA(故障の木解析)などにより、原因の究明を進めていく。
そのカギとしてJAXAが注目しているのが、フェアリング分離時に検出された加速度のデータだ。すでに、通常よりも大きな衝撃があったことが分かっていたが、特に機軸方向が大きく、その動きも特徴的だったという。
通常時も、フェアリング分離時の大きな衝撃はあるものの、0.1秒程度ですぐに収束し、そこから18Hz程度の周波数で減衰していた。しかし今回は、マイナス側のほかプラス側にも大きなピークが出ており、収束も1.5秒ほどと時間がかかっていた。周波数も6〜7Hz程度で、挙動としてはまったく違う。
原因究明はまだ始まったばかりであるが、H3とイプシロンという、日本の宇宙開発利用を支える基幹ロケットがふたつとも止まってしまうのは、かなりの異常事態だ。なるべく早く原因を特定して対策を完了させる必要があり、時間との勝負にもなっている。この件については進捗があり次第、また報告したい。










