宇宙開発利用部会/調査・安全小委員会の緊急会合が12月23日開催され、前日22日に打ち上げに失敗したH3ロケット8号機の最新情報について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から説明があった。公開された情報によると、フェアリング分離時の衝撃が通常より大きかったことが分かっており、フェアリング側の問題だった可能性が出てきた。

  • H3ロケット8号機のフェアリング。この中に衛星が入っている (C)JAXA

    H3ロケット8号機のフェアリング。この中に衛星が入っている (C)JAXA

今回公開された情報で分かったのは、まず打ち上げ後225秒に実施されたフェアリング分離において、衝撃が通常よりも「かなり大きかった」(JAXA・有田誠H3プロジェクトマネージャ)ということ。そして、そのあたりから第2段の水素タンクの圧力が下がり始めていることだ。

水素タンクには、圧力を維持するための加圧弁が搭載されており、この開閉によって一定の範囲内に収まるよう制御しているが、圧力の低下が始まってからは、これが開きっぱなしになっており、圧力を戻そうとしていることが分かる。制御としては正しく動作しており、圧力を戻そうとしたものの、それ以上に漏洩が大きかったことを示唆する。

  • 今回発生した事象。より詳しいデータが出てきた(宇宙開発利用部会/調査・安全小委員会の緊急会合の配信映像より)

    今回発生した事象。より詳しいデータが出てきた(宇宙開発利用部会/調査・安全小委員会の緊急会合の配信映像より)

この圧力低下のため、第2段エンジンは1回目の燃焼開始時から推力が20%低くなっており、その後も低下が継続。2回目の燃焼が正常に立ち上がらなかったのは、前回のレポートの通りだ。時系列的にも、フェアリング分離から異常が発生しているように見え、JAXAも「事象の起点になった可能性が高い」(同)と見る。

また、ロケット側から衛星の分離信号は出ていたものの、実際に分離したかどうかを示すアンサーバック信号が確認できていないという。これは第2段エンジンの燃焼とは別の問題であるため、フェアリング分離時に何かが起きて、それによって衛星や衛星搭載部にダメージを受けた可能性もある。

現時点ではまだフェアリングが原因と断定はできないものの(原因ではなく結果である可能性もある)、フェアリング分離時に深刻な問題が発生し、水素タンク周辺や衛星搭載部などが破損したと考えれば、起きた事象の説明は付く。JAXAはフェアリング分離時の画像などを詳細に調査しているところで、その続報を待ちたい。

  • H3ロケット8号機の構成。第2段の水素タンクはフェアリングの真下に位置する (C)JAXA

    H3ロケット8号機の構成。第2段の水素タンクはフェアリングの真下に位置する (C)JAXA