STマイクロエレクトロニクスとSpaceXは、衛星通信用の専用部品の共同設計で技術革新を進めてきた両社の協力関係が10年を迎えたと、現地時間12月15日に発表した。

これまでに生産された数十億個もの共同設計製品は、スターリンク(Starlink)向けの数百万台のユーザー端末や、最新機「V3」を含む1万基以上の人工衛星で使われており、V3衛星が1Tbps以上というフロントホールのスループットを実現していることもアピールしている。

両社の協力関係は継続しており、従来と同様に“緊密な連携モデル”を構築して、次世代の衛星やユーザー端末の開発に重点的に取り組む。その中心に、フェーズド・アレイ・アンテナを支える、STのBiCMOSテクノロジーを使ったソリューションによる次世代の先進技術を据えている。

スターリンクのユーザー端末は、“最初で唯一の消費者向けフェーズド・アレイ・アンテナ”で、数千基の専用LEO衛星に接続することで高速かつ信頼性の高いインターネットを提供。利用者が自分で設置できるように設計されており、セットアップも、電源につないで空に向けるというわずか2段階のステップで完了する。

スターリンク製品はフランスとイタリアに拠点を置くSTのエンジニアと共同で設計されており、製造はフランスの工場、パッケージングおよびテストはマレーシアとマルタの工場で行われている。

両社が協力して重点的に取り組んできたのがBiCMOSテクノロジーだ。STは、主要顧客としてスターリンクと共同で、PLP(パネル・レベル・パッケージング)技術に関連した新しい製造プロセスを開発。数量と高い品質を競争力のある価格で実現するという非常に厳しい要件をクリアしている。STがPLPプロセスの生産規模を拡大したことで、1日500万個以上のチップ供給を可能にし、スターリンク事業の“急速な立ち上がり”に対応できたという。

他にも、STM32マイコンやセキュア・エレメント、GNSSといったSTのさまざまな製品が、スターリンクのブロードバンド衛星コンステレーションや、衛星から端末への直接通信、地上インフラおよびユーザー端末で使われているとのこと。

SpaceXは、こうした複雑なアンテナを大量生産する先駆者として、堅牢なサプライ・チェーンの運営を維持。世界規模で拡大する顧客ベースに、スターリンクのハードウェアをすばやく提供できる体制を確保してきたという。

スターリンクの通信サービスに対する需要は世界的に増加しており、現在は1日2万台以上の端末が製造され、150カ国以上に出荷しているとのこと。スペースXにとって、「この需要に対応するために生産を拡大する上で、ST製品は不可欠な存在」だとしている。

  • Starlinkキットのイメージ

    Starlinkキットのイメージ

SpaceX 社長 兼 最高執行責任者(COO) Gwynne Shotwell氏のコメント

STとの協力は、Starlinkの規模、性能、信頼性を実現する上で非常に重要です。これからもSTと共に歩み続け、次世代のコネクティビティ・ソリューションを提供し、より多くの人々が信頼性の高いインターネットを利用できるようにすることで、これまで信頼できるインターネットがなかった地域における教育・医療・ビジネス機会の向上に貢献できることを大変喜ばしく思います。

ST マイクロコントローラ・デジタルIC・RF製品グループ 社長 Remi El-Ouazzane氏のコメント

SpaceXとの協力関係が10年を迎えたことを光栄に思います。初期の構想から量産に至るまで、SpaceXのビジョンを実現し、同社の掲げる非常に野心的なミッションを達成する上で、この緊密な協力関係は重要な役割を果たしてきました。私たちは、主要なチップの共同設計、エンジニアリング・サービスの提供、そして量産の実現を通じて、当社の優れたイノベーションと製造能力の価値を実証しています。当社は、Starlinkのユーザ端末向けに年間数十億個という製品を供給する一方で、Starlink衛星に搭載されている軌道上システムの重要な技術に貢献しており、宇宙グレードのアプリケーションにおける当社の長年の専門性が際立っています。