富士フイルムは12月9日、2025年12月17日から19日にかけて開催される「SEMICON Japan 2025」に先駆け、同社の半導体材料事業に関する説明会を開催。半導体材料分野の新ブランドや新製品、ならびにSEMICON Japan 2025への出展意図の説明などを行った。
徹底した顧客主義で顧客の課題解決を支援
同社の半導体事材料業は2030年度に売り上げ目標5000億円の達成を目指している。そうした5000億円の売り上げに向けて、SEMICON Japan 2025では、「半導体の未来にまだ誰も出していない答えを。富士フイルムは『材料』で答えを出していく」をテーマにブースを出展。その意図として、同社取締役 常務執行役員 エレクトロニクスマテリアルズ事業部長の岩﨑哲也氏は、「顧客の課題解決に貢献する中核戦略である『ワンストップソリューション』のもと、ワンストップで次世代半導体の進化を支える富士フイルムの材料技術を紹介する」ことにあるとし、顧客の課題解決に主眼を置いた各種の展示を行う予定だと説明する。
同社の掲げるワンストップソリューションは、「徹底した顧客主義の言い換え」(同)とも言えるという。その実現のためには、幅広いラインナップで、ほぼすべての製造プロセスをカバーする形を整えること、ならびに地産地消地援という2つの軸に重点を置き、そうした取り組みを通じて得た顧客との多様なタッチポイントを通じて、顧客の課題解決につなげていくことが重要だとの考えを示す。
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幅広い製品ラインナップを地産地消地援で提供するワンストップソリューションによって顧客とのタッチポイントを増やすことで、顧客の本当の課題をいち早くキャッチし、共同でその解決を進めることが成長のための重要な要素になるとする
このため、例えば材料(製品)戦略1つとっても、半導体の製造工程のほぼすべてをカバーすることを目指すのはもちろんのこと、「量産に至るまでにかなりの期間を要する。その間、かなりの量の試験が行われることになるが、その結果をAI解析で分析して、要因をリアルタイムで把握し、顧客にフィードバックすることで、トラブルの発生を抑えるといった工夫」であったり、「単独の材料を供給するだけでは導き出せないような最適な解決策をトータルソリューションとして提供できるようになる」ことがポイントであり、「前工程から後工程まで一気通貫で顧客に製品とサービスを提供できる稀有な材料メーカーであり続けたい」(同)とする。
一方の地産地消地援についても、現地で生産、納品を行うだけではなく、同時に開発やQ&Aなども支援することで、より深い結びつきとなっていくことで新製品の共同開発などへとつなげていきたいとする。
CMOSイメージセンサのさらなる高性能化を可能とする材料を開発
そうした同社が注力する材料開発の最新の取り組みの1つが「あらゆる光をコントロールする」を製品コンセプトとする機能性材料群「Wave Control Mosaic(WCM:ウエイブ コントロール モザイク)」の新製品であるイメージセンサー向けKrF露光対応の機能性材料。イメージセンサーの高性能化としては、「超微細」「高精彩」「高感度」が求められることとなるが、センサーの画素部分を微細化すると、通常は画素サイズが小さくなるため、取り込める光の量が減少し、感度が低下するという問題があった。
これを同社は今回、従来のi線による露光ではなく、より微細な波長であるKrF露光に対応することを目的に材料開発を推進。長年培ってきた銀塩写真の研究開発に基づく機能性分子の設計技術や有機合成技術を活用することでKrF露光に最適化した添加剤を開発したとするほか、独自の処方技術により、従来の顔料に加えて、新たに耐熱性と耐光性に優れた染料を組み合わせることで、「染料間の接続を高めることで、高感度化と耐熱性、耐光性の両立を実現」(同社シニアフェローの野口仁氏)。これにより、微細化による光量低下を補うことを可能とするカラーフィルタ材料(レジスト材)を実現したという。
また、同材料はPFASフリーも実現しており、今回のノウハウを活用する形で今後のWCM製品やフォトレジスト材料もPFASフリーとしていく予定とする。
先端半導体パッケージ向け感光性絶縁膜材料ブランド「ZEMATES」
今回公開された、もう1つの取り組みが半導体後工程向けにポリイミドを中心とした感光性絶縁膜材料の新ブランド「ZEMATES(ゼマテス)」の立ち上げである。
すでに同社は液型ポリイミドを先端パッケージの再配線層や保護膜層などに向けてシリーズ展開してきたほか、PBO(ポリベンゾオキサゾール)を保護膜層などに向けてシリーズ展開してきた。ZEMATESは、これらを総合してブランドとしたものとなる。
有機インターポーザーの層間絶縁膜はほぼポリイミドが用いられており、将来的にもポリイミドが先端パッケージ分野で活用されていくことが期待されている。同社の液型ポリイミドは信頼性が評価され、さまざまな半導体パッケージで活用されているが、近年、先端パッケージの基板を300mmウェハからより大型のパネル・レベル・パッケージを活用したいというニーズが高まりを見せており、配線の微細化ニーズとも合わさって、液型ポリイミドではなく平坦性を担保しやすいフィルム型のポリイミドの実用化が求められるようになってきているという。
今回開発されたフィルム型ポリイミドは、これまでの液型ポリイミドのノウハウを活用する形で開発されたもの。高い平坦性を実現できるため、インターポーザーのみならず、ビルドアップ基板にも適用できるため、高積層化や微細パターンの基板構造を実現できるようになるとする。
すでにグローバルの顧客向けにサンプルの提供を開始。生産についても、日本では静岡工場を中心に、熊本工場にも製造ラインを構築中で2026年の早い時期には立ち上がる予定とするほか、欧米の拠点でも生産を行うことで安定供給体制を構築し、成長領域の製品として、液型ポリイミドのみの売り上げであった2024年度比で、2030年度にはフィルム型ポリイミドの売り上げも加味する形で5倍以上に引き上げたいとしている。









