人機一体は「2025国際ロボット展」にて、多数の新型ロボットを公開。2年前の前回よりも大きなブースを構え、さまざまな現場で活躍するロボットの動作デモを行っていた。2年前のレポート記事では、同社の「零式人機」「零二式人機」「人機GSP」について紹介したが、今回は「人機カート」「一零式人機」に注目してみたい。

  • 人機一体ブース。大きな重機もあり、さながら工事現場のよう

    人機一体ブース。大きな重機もあり、さながら工事現場のよう

電線工場の仕事をより安全に

まず紹介したいのは、今回が初公開という「人機カート ver.3.0」。これは、電線ドラムのような重量物を搬送するための台車で、タツタ電線と共同開発を行っているものだ。車体には4つの車輪が付いており、後輪2つが駆動輪、前輪2つには動力がない。台車の仕組みとしては一般的だ。

  • これが「人機カート ver.3.0」。搭載しているのは電線ドラムだ

    これが「人機カート ver.3.0」。搭載しているのは電線ドラムだ

人機一体というと、人型ロボットやバイラテラルで直感的な制御といったイメージがあるため、「なぜ台車?」と思ってしまう。しかしこの人機カートにも、同社らしい高度な制御が組み込まれている。

操縦にはゲームパッドを使用。左のスティックで前後左右の移動、右のスティックで旋回ができるようになっていた。筆者も実際に試させてもらったのだが、操作は非常に簡単。駆動輪は後輪だけなのに、まるで4輪すべてで操舵しているかのように、真横にも進めるのは何か不思議な感覚だ。

  • このゲームパッドで操作する。誰でも簡単に動かすことができるだろう

    このゲームパッドで操作する。誰でも簡単に動かすことができるだろう

さらに旋回時には、ボタンで旋回の中心位置まで選択可能(前方/中央/後方)。工場内の狭いスペースでも、自在に動かして搬送しやすいだろう。所定の位置まで運んで、車体を前後方向に伸ばして電線ドラムを地面に置き、さらに車体を左右方向に広げてから後進すれば、搬送が完了するという流れだ。

  • 電線ドラムを置いて、離れたところ。そのための変形機構がある

    電線ドラムを置いて、離れたところ。そのための変形機構がある

共同開発しているタツタ電線によれば、電線ドラムは重いもので数トンもあり、現在はこれを人力で転がして移動しているという。身体的な負担が大きく、ケガのリスクもあるため、人機カートによる機械化への期待は大きい。機械化すれば、今までは難しかった女性の活用も考えられ、労働力不足への対応にもなる。

  • 実際の現場の様子。大きな電線ドラムも人力で動かす (C)タツタ電線

    実際の現場の様子。大きな電線ドラムも人力で動かす (C)タツタ電線

人機一体は技術開発に専念し、製品化やユーザーサポートなどは他社のメーカー企業と協力するビジネスモデルを採用している。人機カートは現在、実用化に向け、メーカー企業を探しているところ。フォークリフトのメーカーなどであれば現場も近く、製品ラインナップの良い拡充にもなりそうだ。

人機カートの駆動輪には、日本精工(NSK)と共同開発したアクティブキャスタ「PalGo 高荷重タイプ」が搭載されている。隣のNSKブースにはその原理を体感できる展示があったので、これについても紹介しておきたい。

  • 人機カートの後輪にはアクティブキャスタ「PalGo 高荷重タイプ」を採用

    人機カートの後輪にはアクティブキャスタ「PalGo 高荷重タイプ」を採用

PalGoは、2個のモーターを使用。これで車輪の駆動と旋回をするので、普通であれば駆動用モーター、旋回用モーターとなるところだが、PalGoは差動機構により連動、2個のモーターで駆動と旋回の両方を制御する。

【動画】PalGoの原理デモ

上記の動画を見てもらうと分かるが、2個のモーターを同じ方向に回すと旋回に、逆に回すと駆動になる。このメリットは、2個のモーターで旋回や駆動を行うため、1個に比べパワーが2倍になること。また下の車輪側にはモーターが入っていないので、水や汚れにも強いそうだ。

  • NSKブースには、より小型の「PalGo 低床タイプ」も展示されていた

    NSKブースには、より小型の「PalGo 低床タイプ」も展示されていた

異形の4腕ロボットも初公開

大きなロボットが多い人機一体のブースではあまり目立っていなかったが、「一零式人機 ver.1.0」も紹介しておきたい。これは、2腕+2足の人型モードと、脚も腕として使う4腕モードを切り替えられる変形ロボットだという。

  • 人機一体の「一零式人機 ver.1.0」。残念ながら動作デモはなかった

    人機一体の「一零式人機 ver.1.0」。残念ながら動作デモはなかった

  • 脚は腕としても使うことができて、その場合は4腕ロボットになる

    脚は腕としても使うことができて、その場合は4腕ロボットになる

ハンダ付けをするときは、片手にハンダごてを持ち、もう一方の手でハンダを添える。しかし、「部品を固定する手が足りない」と思ったことがある人は多いだろう。腕が4本あれば助かる、という用途は、じつは案外多いかもしれない。

同社が想定している用途のひとつは、電力分野の高所作業。たとえば、電気が流れた状態で電線の点検・修理を行う間接活線工法は、通常2人が協力して作業しているが、4腕ロボットなら操縦者1人だけで、2人分の作業を安全に行うことができるというわけだ。

  • 将来は一零式人機で間接活線工法も?

    将来は一零式人機で間接活線工法も?