独化学大手のメルクグループ(Merck Group)は12月1日、台湾南部の高雄地区に建設していた最先端の半導体材料工場が完成したと発表した。高雄では、TSMCが2nm(ナノメートル)プロセス半導体向け新工場の本格生産をはじめたばかりで、部材需要も急速に高まっている。日系電子材料大手の進出も多い台湾では、サプライヤーの競争が激化している。
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独メルクの最先端の半導体材料工場(The Merck Semiconductor Solutions Mega Site)の外観。台湾・高雄半導体科技旗艦園区に15万平方メートルの敷地を確保し、複数の重要な先進生産ラインを導入。従来輸入に依存していた薄膜材料、特殊ガス、配合材料を現地製造方式で供給する (出所:Merckニュースリリース)
台湾・高雄の新工場から、次世代ロジックやメモリ製造向け基幹材料を供給
台湾の南部科学園区高雄園区に位置する「メルク高雄半導体技術フラッグシップパーク」の第1期工場が完成し、先端半導体向けの薄膜技術や特殊ガス、配合材料などの現地化を実現した。TSMCをはじめ大手顧客を抱える台湾において、サプライチェーンのレジリエンス(再起力)強化は喫緊の課題だっただけに、過去5年間にわたって総額5億ユーロ(約170億台湾ドル)を投じてきた。これはメルクのエレクトロニクス事業において、過去最大規模の単一投資である。
同施設の敷地面積は15万平方メートル。次世代ロジックやメモリー製造に必要な基幹材料を、300メートル先にある同社第1工場と連携して供給することにしている。将来のAIアプリケーション需要に対応するため研究開発から量産までを包括的に手がける。
生産体制はデジタル技術を駆使し、シミュレーションを通して効率化を図っている。リアルタイムデータ監視とクロスシステム統合を組み合わせることで予知保全とプロセス最適化を追求。また、環境対策を重視し、再生可能エネルギーを多用することで年間エネルギー消費量の50%を相殺。さらに雨水回収やエコ材料の活用も図っていく。
メルクグループ取締役会副会長兼エレクトロニクス事業部門CEOのカイ・ベックマン博士は、「この投資によって戦略的に重要な半導体エコシステムにおける当社のグローバルな地位と影響力がさらに強化される。エレクトロニクス事業の長期的な成長目標を支え、研究開発および製造能力を強化する」と述べている。
また、台湾メルクグループの李俊隆会長は、「メルクは台湾で35年以上にわたり事業を展開してきた。新工場は次世代チップ技術の革新を効果的に加速させるとともに、増大するAIチップ需要に応えることを可能にする」としている。
1nmプロセスのロードマップを公表しているTSMCだけではなく、熟成プロセスに強い台湾ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス(UMC)、DRAMの米マイクロン・テクノロジーなどなど半導体の活況が続く台湾には、メルクのライバルになるレゾナックや住友化学、三井化学、三菱ケミカル、東京応化工業、住友ベークライトなどの日系材料大手がそろって生産能力を増強している。2nm時代が本格化する2026年以降、いちだんと競争が激化する見通しだ。
