Appleは、同社史上最薄の「iPhone Air」や、性能強化した「iPhone 17」シリーズをはじめとする新製品群を9月10日に発表した。ここでは、新しいiPhoneに採用された独自開発のチップや、iPhone初の“正方形”フロントカメラセンサーを駆使した興味深いフレーミングなど、半導体とカメラの技術に絞って注目ポイントを整理する。

第3世代の3nm技術で設計された「A19」シリーズ

第3世代の3nm(ナノメートル)技術によって設計したA19シリーズ。iPhone 17は6コアCPU/5コアGPUのA19、iPhone Airも同じコア数のA19 Proを備える。iPhone 17 Pro/Pro Maxは、GPUコアがひとつ多いA19 Pro(6コアCPU/6コアGPU)を搭載している。

  • iPhone 17が搭載するA19チップ

    iPhone 17が搭載するA19チップ

  • A19チップは6コアCPU/5コアGPUという構成

    A19チップは6コアCPU/5コアGPUという構成

  • iPhone 17 Proシリーズに搭載しているA19 Proチップ

    iPhone 17 Proシリーズに搭載しているA19 Proチップ

  • iPhone 17 ProシリーズのA19 Proチップは6コアCPU/6コアGPU構成。なお、iPhone AirもA19 Pro搭載だがGPUコアがひとつ少ない、6コアCPU/5コアGPUという構成になる

    iPhone 17 ProシリーズのA19 Proチップは6コアCPU/6コアGPU構成。なお、iPhone AirもA19 Pro搭載だがGPUコアがひとつ少ない、6コアCPU/5コアGPUという構成になる

各GPUコアにはNeural Accelerator(ニューラルアクセラレータ)を組み込んでおり、デバイス上での生成AIモデルの実行を支える。他にもすべてのチップで、新しい16コアNeural Engineを搭載している。

  • Neural Acceleratorを各GPUコアに搭載

    Neural Acceleratorを各GPUコアに搭載

A19シリーズには性能強化したディスプレイエンジンやApple Neural Engineなどが含まれ、独自の「Apple Intelligence」や最新世代のフォトグラフスタイルなどの機能を実現。過去機種のiPhone 13で搭載していたA15 Bionicチップと比べて、iPhone 17の6コアCPUは1.5倍、5コアGPUは2倍以上高速でグラフィックス性能も引き上げており、モバイルゲームのプレイにも最適とアピールしている。

そして、「Apple史上最も高性能なiPhoneのチップ」であり、“MacBook Proに匹敵する演算能力”を持たせたという上位のA19 Pro。iPhone 17 Proシリーズにおいては、脱イオン水を充填したApple製ベイパーチャンバーとの組み合わせで放熱処理を強化しており、前世代と比べて最大4割程度もパフォーマンスが長く持続すると強調しており、ゲームやビデオ編集、ローカル大規模言語モデルの実行に最適だという。

  • iPhone 13(A15 Bionicチップ)以降の各シリーズと、A19チップのGPUパフォーマンスの比較イメージ

    iPhone 13(A15 Bionicチップ)以降の各シリーズと、A19チップのGPUパフォーマンスの比較イメージ

ふたつの独自チップ登場。ワイヤレス通信「N1」とモバイル通信「C1X」

iPhone 17シリーズとiPhone Airの全機種で、新たにAppleが設計したワイヤレスネットワークチップ「N1」を採用。2x2 MIMO対応のWi-Fi 7(802.11be)と、Bluetooth 6といった最新の通信規格をサポートしており、スマートホームなどIoT機器のコントロールで使われるThreadネットワークテクノロジーにも対応する。さらにN1チップを採用したことで、インターネット共有やAirDropなど、既存の機能の全体的なパフォーマンスや信頼性の向上にもつながるそうだ。

  • iPhone 17シリーズとiPhone Airが備える、ワイヤレスネットワークを司る「N1」チップ

    iPhone 17シリーズとiPhone Airが備える、ワイヤレスネットワークを司る「N1」チップ

  • 2x2 MIMO対応のWi-Fi 7(802.11be)と、Bluetooth 6、Threadネットワークテクノロジーに対応

    2x2 MIMO対応のWi-Fi 7(802.11be)と、Bluetooth 6、Threadネットワークテクノロジーに対応

iPhone Airには、Appleが設計した新しいモバイル通信モデム「C1X」も搭載。4x4 MIMO対応で、5G(Sub6)とギガビットLTEをサポートしている。iPhone 16eで初搭載した「C1」よりもダウンロードの速さが最大2倍に進化し、これはiPhone 16 Proのモデムも超える速さだとアピールしている。また、全体的な消費電力を3割抑え、iPhoneで最も電力効率に優れたモデムであることも特徴とする。

これまでiPhoneではQualcomm(クアルコム)の通信チップを採用していたとされている。iPhone Airでは、モバイル通信とWi-Fi/Bluetoothを引き受けるチップをどちらもApple製のものに置き換えたことは、他社品の採用をやめて内製化する流れが進んでいることの証ともいえそうだ。

iPhone 17シリーズにC1Xが搭載されているかどうかについては、現時点では言及がない。ちなみに米国版のiPhone 17シリーズはProを含めて、Sub6に加えてミリ波(mmWave)による5G通信もサポートするようなので、そのあたりにヒントが隠れていそうではある。

  • iPhone Airでは、Appleの新しいモバイル通信モデム「C1X」を採用

    iPhone Airでは、Appleの新しいモバイル通信モデム「C1X」を採用

Apple初の正方形フロントカメラセンサーを全機種に搭載

新しいiPhoneの発表においては、カメラ性能の進化が毎度注目を集めるが、今回はiPhone初の正方形フロントカメラセンサーを含む、新たな「センターフレームフロントカメラ」の解説に時間を割いていた。

  • iPhone 17シリーズとiPhone Airでは、フロントカメラが大きく進化する

    iPhone 17シリーズとiPhone Airでは、フロントカメラが大きく進化する

  • Apple初の正方形フロントカメラセンサー

    Apple初の正方形フロントカメラセンサー

ごく端的にいえば、iPhoneをタテヨコのどちらで持っていても、セルフィーの被写体や構図にあわせてタテ写真/ヨコ写真が撮れるという技術で、写真では1,800万画素で精細なディテールをとらえられるという。

たとえば横向きのセルフィーを撮りたい場合、これまではiPhoneを横に回転させる必要があったが、iPhone 17シリーズとiPhone Airではその必要がなくなるというのだ。iPhoneを縦向きに持ったままでも、写真やビデオをタテヨコどちらの構図でも撮影できるため、しっかり持って目線を中央に向けて撮れるとアピールする。

  • 写真やビデオをタテヨコどちらの構図でも撮れる、「センターフレームフロントカメラ」のイメージ

    写真やビデオをタテヨコどちらの構図でも撮れる、「センターフレームフロントカメラ」のイメージ

  • センターフレームフロントカメラでは、4つの異なる構図での写真撮影に対応

    センターフレームフロントカメラでは、4つの異なる構図での写真撮影に対応

発表動画では、複数人でセルフィーを撮るグループ写真であれば、センターフレームがAIを活用して自動的に写真の視野角を広げ、全員がフレーム内に収まるように縦向きから横向きに自動で変更される様子も紹介していた。

  • 複数人でセルフィーを撮るグループ写真撮影のイメージ

    複数人でセルフィーを撮るグループ写真撮影のイメージ

手ぶれ超補正をかけた状態で4K HDR動画も撮影でき、さらにフロントカメラとバックカメラで同時に撮影する「デュアルキャプチャ」にも対応。ユーザー自身と周囲の環境を一度に撮れるというもので、特にスポーツ観戦やコンサート会場での撮影に適するとしている。センターフレームはビデオ通話にも適用され、FaceTimeや他社製アプリでの通話中も、ユーザーの姿が安定してフレーム内に収まるようにするとのこと。

  • フロントカメラとバックカメラで同時に撮影する「デュアルキャプチャ」のイメージ

    フロントカメラとバックカメラで同時に撮影する「デュアルキャプチャ」のイメージ

カメラシステムは、全機種で4,800万画素に引き上げられており、背面カメラはいずれもセンサーシフト光学式の手ブレ補正機能を装備。レンズの数と種類は各機種で異なる。

iPhone 17 Proシリーズはメイン(24mm相当/48mm相当、F1.78)、超広角(13mm相当、F2.2)、望遠(100mm相当/200mm相当、F2.8)の3つで構成した「48MP Pro Fusionカメラシステム」を装備。望遠レンズにはテトラプリズムを盛り込んでおり、最大8倍ズームで撮れることを強調している。Appleの機種比較ページや仕様ページからは、ProとPro Maxのカメラ性能に差はほぼ見当たらない。

  • iPhone 17 Proのカメラ構成

    iPhone 17 Proのカメラ構成

  • 17 Proシリーズでは、マクロ撮影を含む8種類の撮り方(画角)が選べる

    17 Proシリーズでは、マクロ撮影を含む8種類の撮り方(画角)が選べる

iPhone 17はメイン(26mm相当/52mm相当、F1.6)と超広角(13mm相当、F2.2)のふたつからなる「48MP Dual Fusionカメラシステム」を装備している。

  • iPhone 17のカメラ構成

    iPhone 17のカメラ構成

  • それぞれのカメラに専用の画像パイプラインを用意

    それぞれのカメラに専用の画像パイプラインを用意

iPhone Airは、「48MP Fusionカメラシステム」(26mm相当/52mm相当、F1.6)をひとつ備えている。広角だけのシングルレンズのように見えるがそうではなく、大きなセンサーを活用することで1,200万画素の光学2倍ズームにも対応。強化されたPhotonic Engineと機械学習を使ってさらにリアルなディテールとカラーをとらえるようになるという。

iPhone Airのカメラの詳細な仕組みについては公表していないが、iPhone 16eでは高画素センサーの中央部分を撮像範囲として切り出すことで“光学的な2倍ズーム”を実現しており、Airもこれと近い仕組みを採用したものとみられる。

  • iPhone Airは広角と2倍ズーム、2種類の撮り方(構図)が選べる

    iPhone Airは広角と2倍ズーム、2種類の撮り方(構図)が選べる

2025年の新しいiPhoneも、外観やハードウェア構成だけを見れば、前世代(16シリーズ)からの進化はパッと見では分かりにくい。だが、その実力や使い勝手は、実際に手に取ってみて初めて実感することが多そうだ。

特に、iPhoneのカメラで家族や友人と写真を撮る機会が多い人にとっては、新たな「センターフレームフロントカメラ」は魅力的かつ実用的な機能として使われていくことになるだろう。今後、続々上がる各機種のレビューに注目したい。

【動画】Apple Event September 9, 2025(※新iPhoneの説明は29分43秒以降から)