IPA(独立行政法人情報処理推進機構)セキュリティセンターは、「企業における営業秘密管理に関する実態調査2024」報告書を公開した。2020年度調査に続く今回の調査は、2025年1月23日~31日にWebアンケート方式で行われたもので、「情報システム関連部門」、「リスクマネジメント関連部門」、「サイバーセキュリティ関連部門」、「経営企画部門」、「経営層」、「その他セキュリティやリスクマネジメントに関する業務を実施している部門」に属する1,200人を対象としている。
前回調査(2020年 n=2161)と比較して、営業秘密の漏えい事例認識割合が35.5%(前回5.2%)と大幅に増加。明らかに情報漏えい事例と思われる事象が複数回あったが1.1%から10.7%と認識割合が増加。営業秘密の情報漏えいルートでは、外部からのサイバー攻撃によるネットワーク侵入に起因する漏えいが36.6%(前回8.0%)、現職従業員等(派遣社員含む)のルール不徹底(ルールを知らなかった等)による漏えい32.6%(前回19.5%)、同じく金銭目的等の具体的な動機をもった漏えい31.5%(前回8.0%)などが上位にならぶほか、中途退職者(役員・正規社員)による漏えいが前回36.5%から17.8%に減っている。
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営業秘密の漏えいのルート。内部不正では、現職従業員等のルール不徹底や金銭目的など具体的な動機をもった漏えいが増加傾向(報告書の概要より)
今回の調査では、対象各部門別に内部不正誘発の要因の認識状況が記されており、経営層では「当てはまる物はない」(45.1%) 、「同じ業務を同じ人が長期継続」(32.0%)、「少ない人数で業務を回している」(38.7%)が上位3つを占めるのに対し、リスクマネジメント部門やサイバーセキュリティに関わる部門では、ほかにも「人間関係等への恨みが大きい」(37.3%、43.0%)、「借金のある人が営業秘密を扱う」(18.4%、30.4%)などを要因とみる比重が高い。