TSMCが8月8日に2025年7月の月間売上高(速報値)を発表した。それによると、売上高は前月比22.5%増、前年同月比25.8%増の約3231億7000万NTドルとなり、7月単月売上高として過去最高を更新したという。売上高が前年同月比でプラスとなるのは19カ月連続である。

NTドル高ドル安という為替の逆風が続いているが、AI向け半導体の販売が好調に推移していることが背景にある。また、米トランプ大統領が予定している米国の半導体に対する輸入関税政策は、米国に工場を有している(計画含む)企業を免除する方針で、アリゾナ州に工場を構えているTSMCにとって追い風になるとの観測もでている。

  • TSMCの2025年7月の月間売上高概要

    TSMCの2025年7月の月間売上高概要 (出所:TSMC)

TSMCが3000億ドルを米国に投資とトランプ大統領が発言

米トランプ大統領は8月5日に放送された米CNBCの経済番組「Squawk Box」に声だけの形で出演。そこでTSMCが米国で総額3000億ドルを投資し、世界最大の半導体工場群を建設する予定だと発言した模様である。

しかし、この3000億ドルという数字は、TSMCが2025年3月に発表した1650億ドルの投資計画を大きく上回る数字であり、市場関係者の間で波紋を広げている。これに対して現在、TSMCはコメントを避けているため、トランプ大統領の発言の真偽は不明のままとなっている。

TSMCが計画している1650億ドルの投資は、アリゾナ州に6つの前工程ファブと2つの後工程ファブ、そして研究開発センターを建設するというもので、その一部はすでに稼働済みである。

Intel支援をトランプ大統領がTSMCに要請か?

さらにトランプ大統領は、台湾政府が要求している20%という関税率を韓国や日本並みに引き下げる条件として、「TSMCがIntel株の49%を取得してIntelを支援する」ことを挙げていると一部の台湾メディアが報じている。ただし、ホワイトハウスの確認は取れていないため、こちらも真偽のほどは不明である。

その一方、トランプ大統領は8月7日にIntelのLip-Bu Tan CEOが利益相反を抱えており、即刻辞任すべきだと自身のSNS(Truth Social)に投稿した。これに対して、Tan CEOは8月7日付けで全社員に、米国を拠点に40年以上活動してきた経歴を示す書簡を送ったほか、8月11日にホワイトハウスでラトニック商務長官、ベセント財務長官同席のもとでトランプ大統領と会談。閣僚らとの協議を経て来週にも提案を提出する予定としている。米国の半導体製造促進に沿ったIntelの貢献に関する提案と思われる。

以前もTSMCによるIntel支援要請をしていたトランプ大統領

トランプ大統領は2025年2月にも、TSMCの経営陣との会談の場で、Intelに出資したり、エンジニアを送って援助するように要請したとされるが、TSMCはその後、支援することはない向けをコメントしていたほか、Intel経営陣の一部からも援助を望まないとする姿勢が出て、頓挫したとされている。

そうした中、今回の要請は、国家安全保障上の理由で米国半導体産業の雄である半導体メーカーIntelにかつての輝きを取り戻させる必要から、Intelの再建を陣頭指揮しようとしているとの見方が広がっている。来週、Intelがトランプ大統領にどのような提案を行うか注目される。