TSMCは2026年、新竹と高雄の4つの2nmプロセス対応ファブをフル稼働させ、月産6万枚規模でウェハを生産する見込みであると台湾メディアが報じている。

それによると高雄工場第1製造棟(Fab22 Phase1)は現在、月産1万枚規模で2nm生産が進められているほか、第2製造棟(Fab22 Phase2)も建設を終え、2025年8月より設備の設置作業を開始、数ヶ月以内の試験生産開始予定であり、2026年の合計生産能力は月産3万枚を見込みとする。また、新竹・宝山の2nm対応Fab20 Phase1も、試作や少量生産を経て、量産がまもなく開始される予定だが、同Phase2でも設備の設置作業が進められており、2026年にはこちらも合計で月産3万枚の生産が行われることが見込まれている。

2nmウェハ価格は最大3万ドルか?

この2nmウェハの価格は1枚あたり3nmウェハよりも50%高い最大3万ドルとなる可能性があるという。顧客の旺盛な需要への対応と、新構造となるGAAでの製造に多額の開発投資や設備投資が必要なためだが、売り上げと利益への貢献も3nmよりも高まるとされているほか、同社の主要顧客のほとんどが活用する見通しで、Appleなど複数社が2026年中に採用製品を販売することが予想されている。

歩留まりは試作段階で60%を突破

また、その歩留まりについては、試作段階ですでに60%を超え、量産に入っても十分に利益をあげられるレべルに達した模様である。

競合の2nm相当プロセスの状況については、Samsung Electronicsが2025年初頭で30%前後であったのが、最近は40%ほどになってきたとされるが、Intelは、事情に詳しい2人の関係者からの情報としてReutersがIntel 18Aについて2024年末で5%ほど、今夏時点でも10%ほどと伝えるなどTSMCほどには高まっていない模様である。

2nmプロセスの情報漏洩事件を台湾検察が捜査

TSMCの2nmプロセスについては、複数の従業員がその情報を東京エレクトロン(TEL)の台湾子会社に転職した元従業員に渡していたとして、台湾国家安全保障会議と高等検察庁が徹底的に捜査する姿勢を見せている。

TELからもこの件に関して、すでに該当する従業員を懲戒解雇し、台湾司法当局による捜査に全面協力するとの発表がされているが、台湾メディアによると、TELの台湾子会社の拠点2か所を高等検察庁が家宅捜査し、多数の証拠物件を押収した模様である。高等検察庁は、あくまでも捜査中ということで、具体的にTEL以外の社名は出しておらず、各所で情報が飛び交っているが、それらはあくまでも巷の噂に過ぎないことに注意する必要がある。

業界筋によると、台湾当局は、今回の事件だけでなく、日本と韓国の装置メーカーが関与する7~8件の事件について捜査を行っている模様である。TSMCの技術を他国が欲しがるのは、研究開発・生産が容易ではなく、設備と研究開発人材に多額の投資が必要であることを示すものであると台湾メディアは解説している。

なお、台湾政府は、先端技術の流出が台湾の産業や国家の安全に深刻な影響を及ぼすとして、2022年の国家安全法改正で国家にとっての最重要技術「国家核心関鍵技術」の営業秘密を不正に取得、漏えいしたことなどに対する処罰を追加した。半導体では14nmプロセス以降が対象で、今回の事件が初の摘発となる。違反すれば、5年以上、12年以下の拘禁刑や500万~1億NTドルの罰金が科されることになっている。