インターステラテクノロジズ(IST)は8月4日、幅広い連携を通じた強固な製造体制の確立による、高頻度・低コストでの打ち上げが可能な宇宙輸送サービスの実現に向け、トヨタ自動車およびウーブン・バイ・トヨタとの間で、ものづくり分野における業務提携に関する合意書を締結したことを発表した。
自動車産業の知見を活かし高頻度・低コスト化を実現へ
ロケット事業と通信衛星事業を通じ“宇宙の総合インフラ会社”を目指すISTは、観測ロケット「MOMO」で国内民間企業単独として初めて宇宙空間到達を達成。そして現在は、世界中で不足する宇宙輸送能力を担い、日本政府が目指す国内の打ち上げ能力向上に資するため、小型人工衛星専用ロケット「ZERO」の開発を進めている。
そんな同社によれば、日本の宇宙開発は市場規模が未だ小さく、設備投資や人的リソースに大きな制約があるのが現状の課題だという。その解決に向けてISTは、2025年1月にしたウーブン・バイ・トヨタとの間で資本および業務提携を締結していた。そして今般、ロケットを“一点もの”の生産から、高頻度打ち上げに耐えうる工業製品へと構造変革させるための取り組みを具体化させるべく、トヨタを含めた3者での合意書を新たに締結したとする。今回の提携開始を受け、2025年8月よりトヨタからはISTへと出向者が派遣され、ZEROの初号機開発から事業化に向けた取り組みまで、幅広いものづくり分野での支援を行うという。
ロケット「ZERO」の開発加速をトヨタが後押し
ZEROは一段目に9基、2段目にも1基と計10基のエンジンを備える2段式ロケット。そのエンジンシステムを構成する燃焼器やターボポンプはISTが独自技術を有しており、特に燃焼器に推進剤を送り込むための心臓部であるターボポンプは、ロケット開発でも最も難しい要素のひとつとされ、国内で設計・製造技術を有するのはISTを含む数社に限られる。そこで今回の提携開始を機に、ISTはトヨタおよび、自動車トランスミッションの量産製造技術を保有しかねてより連携を重ねてきたトヨタ自動車北海道とともに、初号機に向けた燃焼器やターボポンプを含むエンジン全般の製造に連携して取り組んでいくとのこと。また原価低減や工期短縮のための工法開発も進め、高い品質と安定した生産体制を両立するとしている。
さらに、ロケット燃料の液化バイオメタンと酸化剤の液体酸素を貯蔵する推進剤タンクに用いられている特殊アルミニウム合金(A2219)は、強度が高い一方で高度な溶接技術が求められることから、これまではIST内部で設計し、製缶や試験などの主要工程も自社で行っていたとのこと。しかし今後は機体能力向上を見据えた軽量化を目的とする新規工法開発や、高頻度打ち上げの実現に向けた原価低減、工期短縮に向けたサプライチェーン強化においても支援を受けるとする。
加えて、初号機打ち上げに向けて各コンポーネントの製造工程が並行して進むZEROの開発においては、1基の製造に約10万点にもおよぶ部品の管理・供給を行う必要があることから、自動車業界の知見やノウハウを積極的に取り入れ、生産体制全般の仕組みをトヨタと連携して構築するとした。
またISTは、トヨタが長年培ってきたものづくりの知見や強みを活用することを見据え、「Toyota Woven City」のインベンターとしても参画したことを明らかにした。スタートアップ企業としては初の事例となるインベンターとしての参画で、その開発場所は引き続きISTの拠点が中心となるとしている。



