すべての投資に経済合理性を求める方向へ
IntelのLip-Bu Tan CEOが7月24日(米国時間)、2025年第2四半期の業績発表後に全従業員に「正しい方向への歩み(Steps in the Right Direction)」と題する書簡を送り、これまでの方向性を転換することを明らかにした。
それによると、人員の約15%削減計画の過程で第2四半期中に管理職層の約50%を削減。これにより官僚主義を排除し、エンジニアがより迅速かつ集中的にイノベーションを起こせるようにしたとするほか、ファウンドリ事業の需要に見合わない投資を見直し、ドイツとポーランドで計画していた新工場の建設を中止するほか、コスタリカの後工程業務をベトナムとマレーシアの拠点への統合、米オハイオ州の新工場建設を顧客の獲得状況に応じた進度とするとしている。
また、次世代のIntel 14A(1.4nmプロセス)への投資も、顧客との注文確約に基づく経済合理性により行うなど、「白紙小切手は存在しない」とし、すべての投資に経済合理性を求めることを強調している。
Intel 14Aの開発中止の可能性も示唆
さらに同社は7月24日付で米国証券取引所に提出した四半期報告書の中で、Intel 14Aについて「外部顧客を確保できない場合、次世代プロセス技術の追求を一時停止または中止する可能性があり、これによりさまざまな重大なリスクが生じる可能性がある」と述べている。
Intel 18Aについても有力な外部顧客を確保できておらず、Intel 14Aに関しても有力顧客の確保見通しは不透明であるとしており、今後、先端プロセスで顧客を確保できずに、設計、開発、製造を一時停止または中止した場合、さまざまなリスクが生じるとの懸念を示している。
最大の懸念は、Intel 18A以降の製品開発を進めるにあたり、TSMCへの依存が強まるが、現状、同社との長期契約は結んでおらず、有利な価格条件で生産能力を確保・維持できない可能性がある点。競合他社はTSMCやそのほかのファウンドリと長期的に関係を構築しているため、競争上不利な立場に置かれる可能性があり、競合が生産能力確保をIntel以上に進めれば、Intelの製品ロードマップ、市場での地位、顧客関係に重大な悪影響を与えるとする。
また、ファウンドリ資産に関する重大な減損が発生する可能性があるともするほか、米国商務省と締結した79億ドルの政府インセンティブをはじめとする各種インセンティブを得る資格を喪失する可能性があり、契約に基く受領済みの資金の返還を求められる可能性や、共同出資パートナーへの支払いが発生する可能性があるともしている。
さらに、そうした先端プロセスに関わってきたエンジニアや科学者といった人材を雇用・維持することに支障をきたす恐れがあるともするほか、ファウンドリ事業の維持そのものの不確実性が増す可能性も指摘。自社でハンドリングできない重大なリスクの発生なども含め、Intelが先端プロセスの開発の一時停止または中止を行えば、Intelにとって取り返しのつかない事態になる可能性があると結論づけている。
なお、米ラトニック商務長官は、日米関税交渉について、トランプ大統領が国家安全保障上の観点でプロジェクトを選び、日本に資金を提供させる仕組みだと説明しており、半導体投資の具体例として「米国内で1000億ドル規模の半導体工場を建てる場合、日本にその1000億ドルを出資させるという」という趣旨の説明を行っており、これがIntelの救済を念頭に置いた話ではないかと見る向きもあるようである。