GFがMIPSを買収
GlobalFoundries(GF)は7月8日(米国時間)、AIやプロセッサIPを手掛ける米MIPSを買収することで合意し、正式契約を締結したことを発表した。
この戦略的買収により、GFはカスタマイズ可能なIPポートフォリオの拡大を図ることができるようになり、IPとソフトウェア機能によってプロセス技術のさらなる差別化が実現するとしている。
買収目的はIPポートフォリオの拡充
MIPSは、RISCアーキテクチャを中心とした演算処理分野で40年にわたる取り組みを続けてきたIPプロバイダで、自動車、産業、組み込み市場における自律プラットフォーム向けコンピューティングサブシステムなどで活用されてきた。また、現在は産業用ロボットや自動車アプリケーションにおけるフィジカルAIの導入簡素化を可能とすることに取り組んでいる。
GFの社長兼最高執行責任者(COO)であるニールス・アンダースコウフ氏は今回の買収について、「MIPSは、パフォーマンスが重要なアプリケーション向けにカスタマイズされた、効率的でスケーラブルなコンピューティングIPを提供してきた確固たる実績を有しており、多様な市場におけるAIプラットフォームの進化する需要に戦略的に合致している。今回の買収により、GFはIPに関する能力を拡大することができ、より柔軟なソリューションを提供できるようになるほか、差別化されたプロセス技術と世界クラスの製造技術を組み合わせることで、クラス最高の製品開発を支援できるようになる。今回の買収は、自動車、産業、データセンターインフラなど、幅広いアプリケーションにおいて効率性と性能の限界を押し広げるための力強い一歩となるだろう」と述べている。
買収後もMIPSは独立事業として運営を継続
MIPSは最近、オープンRISC-V仕様に基づくプロセッサIPのラインナップを拡充し、リアルタイム処理およびアプリケーション処理向けに設計された包括的なコンピューティングコア群、ならびにAIエッジ処理に特化したコア群であるAtlasポートフォリオを発表している。また、設計サイクルのシフトレフト化を支援するために、性能、消費電力、面積の最適化を可能にする仮想プラットフォームであるAtlas Explorerも発表している。
MIPSのCEOであるサミール・ワッソン氏は、「GFの一員となることは、MIPSにとって大胆な新たな章の始まりである。GFは、安全でグローバルな製造拠点を通じて差別化されたテクノロジーを提供してきた実績があり、MIPSのイノベーション加速とソリューションの拡張性をさらに高め、フィジカルAI分野における新たな機会を開拓し、顧客にとってより大きな価値を提供することが可能になる」と述べている。
なお、このGFによるMIPSの買収は、必要な規制当局の承認の取得を含む慣例的な買収完了条件が満たされることを条件としており、2025年後半に完了する予定であるという。買収後、MIPSはGF内で独立した事業として運営を継続し、幅広い技術にわたって顧客にサービスを提供するとしている。